表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/15

14話

「リノアス!!」


私は屋根裏部屋への階段を駆け上り彼の名前を叫んだ。


でも彼はそこにいなかった。


「嘘だよ…、だって昨日まで普通に喋って…、明るく楽しそうに一緒にいたのに…」


信じたくない、目の前の光景はきっと夢、そう信じたいけど、今は現実。リノアスがいないことも事実。信じられないけど信じるしかない。


他の解雇された使用人たちは今さっき出ていくところだった…。もしかしたら彼はまだいるかもしれない。

そう思い私は屋根裏部屋を駆け下りた。必死に使用人達の後を追いかけようと。でもそんな淡い願いは儚く消え散った。どこにもいない。他の使用人はもうとっくに出た後のようだし、全てのフロアを見て回っても見つからない。


「嫌…、嫌だ…、なんで…」


涙が零れ落ちた。今まで泣かないようにしてきたのに。国外追放される未来より辛いことはないと思っていたから。信用していた人が、この世界で唯一の味方がいなくなったことで気づいた。私の中で彼がどれほど大きな存在か。


前世の時から、友達がいなかった私は、自分を知ってもらおうとしなかった。私の居場所はなかった。

でも彼のお陰で自分が少し好きになれている気がした。彼はいつだって私を認めていてくれたから。


私は途方に暮れながら、彼の面影を探して屋根裏部屋に戻った。私が屋根裏部屋に行けば、いつもパッと顔が明るくなって、それで他愛の内話をしたりして…。そんないつもの日常を求めた。


「リノアス…」


やっぱりいない。

私は隅にしゃがみ込んだ。そこがリノアスとよく話すエリアだったから。そういえば昨日リノアスは、最後に何か言おうとしてなかった?どんな前置きか忘れちゃったけど…。


それにどうして自分の解雇の話をしてくれなかったの…?そしたらこんな急に別れにならなかったのに。…もしかしたら最後にそれを言おうとしてたのかな。でもあのタイミングは仕方がない。使用人さんも私に用があって、リリアだってあの時は既に寝ていた。本当にこれは運だった。もう少し早く行っていれば。もう誰も責めることはできない。


悪役令嬢だと運ですら味方してくれないのね。


すると足元に紙切れが一枚落ちていることに気がついた。そこには急いで書いたのか殴り書きのような筆跡があった。


『突然こんな事になって大変申し訳ございません、どうかお幸せに』


…リノアスだ、リノアスしかいない。私はもっと涙が溢れた。私こそごめんなさいリノアス…、あなたの話をもっと聞かなくて…。


お幸せにって書いたのは、私が昨日婚約の話をしたからよね。あなたは本当に優しいのね。この紙もきっと書く時間があまりなかったのかしら、なのに頑張って書いてくれたのね。この手紙は一生大事にする、あなだと思って。


ありがとう、私の大切な人










朝だ。とても天気がよく、洗濯日和の日。



「お嬢様、起きてください」

「んんー…もう起きる時間なの…?」

「そうですよ早く起きてください、それに今日はお嬢様のお誕生日ですよ」

「あっ、そうだった、もう大人になると誕生日の実感湧かなくなってくるのよね」

「…まぁとにかく、20歳のお誕生日おめでとうございます、エレノアお嬢様」


あれから10年が経った。


「ええ、ありがとう」


物語が始まる年だ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ