番外編 異世界への扉
光輝とさだめのパワーアップ回を書こうと思いましたが、断空我さんの小説、『局面のラストジョーカー』とのコラボが決まりまして、急遽そのプロローグにあたる番外編を書くことになりました。待っていた皆さんは申し訳ありません。しかし、絶対に後悔はさせません!
では、どうぞ!
(もうすぐ、か…)
教室で授業を受けながら、ゲイルは感じていた。今は三学期。それが終われば、彼は三年生になる。思えばたった一年の間に、ずいぶんといろんなことがあったものだ。改造人間としての力に目覚めて秘密結社と戦ったり、仲間の思わぬ過去を知ったり、邪神や魔術師と戦ったり、地球に彗星が衝突しかけたり、恋人や娘ができたり、最近では友人の父の死を看取ったりもした。
(剛造さん、満夫さん。どうか安らかに…)
長い使命を子供に託して眠りについた二人に、心の中で祈りを捧げる。だが、
(…俺の場合、安らかとはいかないだろうが)
そう、まだ一年は終わっていない。このまま何事もなく終わりはしないだろうということも、わかっていた。
そして、その予感は的中する。
ドガァァァァァァァンッ!!!!
ヘブンズエデンのどこかで、爆発が起きたのだ。
「な、何だ!?」
驚く狩谷。すると、
ドガァァァンッ!!!ドガンドガァァァンッ!!!
今度は小規模な爆発が、連続して起こった。
「みんな静かに!落ち着いて、爆発の原因を確かめるわよ!普通課の子達を守るのも忘れないでね!」
この学園では、唐突に爆発が起きたりしても避難する、ということはしない。少なくとも、傭兵課では。傭兵課の生徒達は事態の把握と鎮圧、普通課の生徒達の避難誘導を行うのだ。今回も、メイリンの指示で生徒達は行動を起こす。
「行くか…!!」
ゲイルも立った。レーダーで確認したところ、何者かが学園を攻撃しているらしい。ゲイルはレーダーの反応を追って、襲撃者を捜しに行く。
「ゲイル!!待って!!」
アンジェも狩谷と空子を連れて、ゲイルを追いかけた。
*
「うわぁっ!!」「ぎゃあっ!!」「ぐぇぇっ!!」
応戦しながらも爆発に巻き込まれ、吹き飛ぶ訓練生達。ゲイルはようやくそこへたどり着いた。彼が見た襲撃者は、黒いローブを羽織っており、フードを目深にかぶっているため顔が見えない。だが、男だということはわかった。
「貴様…何者だ!!」
問いかけるゲイル。しかし、襲撃者はそれに答えず、片手をゲイルに向けた。
「ッ!!アデル、起動!!」
その行動に得体の知れない危機を感じたゲイルは、アデルに変身する。直後、襲撃者の手から衝撃波が放たれ、アデルは吹き飛ばされた。
「ぐうっ…!!」
変身していたのでさほどダメージはないが、かなりの威力だ。と、アデルは気付く。襲撃者はもう片方の手に、本を抱えている。本からは強力なエネルギーが溢れ出していた。そのエネルギーが、襲撃者の力を強化しているのだ。こんな芸当ができる人種は、一つしかない。
「魔術師か…!!」
アデルが呟いた時、襲撃者は名乗った。
「…獅子座の魔法使い、レオ・ウィザードリイ。」
「魔法使い!?魔術師ではないのか!?」
レオ・ウィザードリイと名乗った襲撃者はアデルの質問に答えず、今度は自分の背後に片手を向ける。現れたのは、時空の穴。逃げるつもりだ。
「待て!!」
追いかけようとするアデル。だが、そのアデルに向かって、レオはまた手を向けた。放たれたのは光弾。あまりに突然の行動で、かわせない。
「ゲイルッ!!」
かわせないアデルの代わりに、飛び出してきたアンジェが光弾を受けた。
「ああああああーっ!!!」
光弾はアンジェの心臓を貫き、アンジェの悲痛な声がこだまする。
「アンジェェェェェェェェェェェェェェッ!!!!」
アデルは何も考えずに駆け出し、倒れるアンジェを受け止めた。
「アンジェ!!アンジェ!!しっかりしろ!!」
アンジェは目を覚まさない。と、アデルは気付いた。アンジェは心臓を貫かれたはずなのに、彼女の身体には穴がない。一切の外傷がないのだ。周囲を確認するアデル。先ほどアンジェを貫いた光弾はレオの手元に戻っており、レオの手の中に吸い込まれていった。レオは何も言わずに穴をくぐり、穴も消えてしまう。逃げられた。
「ゲイル!!アンジェ!!」
そこへ、空子と狩谷が駆け寄ってくる。
「一体何があったんだ!?」
尋ねる狩谷。
「アンジェが…アンジェが俺をかばって…!!」
アデルは変身を解き、事情を説明した。
*
その後、アンジェは保健室に運び込まれた。ゲイルは彼女のそばについていたかったが、エドガーに呼び出されたため断念。理事長室には既に仲間達が集合しており、ゲイルの到着を待つばかりとなっていた。
「何の用だ。俺は今あんたに付き合えるほど暇じゃないんだが」
「そういきり立つんじゃない。君達にどうしても話しておかなければならないんだ」
「話しておかなければならないこと?」
「それって一体…」
光輝とさだめが質問し、エドガーは答える。
「先ほどの襲撃者に、ネクロノミコンを盗まれた。」
「ネクロノミコンだと!?」
皇魔は驚愕した。ネクロノミコンとはクトゥルフ神話に登場する魔導書で、アザトースを初めとする各邪神の召喚と退散の呪文や、洗脳や即死の魔術が記載された最強との呼び声高い魔導書だ。この学園には先日エドガーが手に入れた写本が保管されていたそうだが、あのレオと名乗る魔法使いに奪われたらしい。
「奴が持っていたのはネクロノミコンだったのか…強いはずだな。それで、俺達に取り返して欲しいとでも言うつもりか?ならいくらでも付き合ってやる。アンジェが回復した後でな」
今のゲイルにとっては、任務よりアンジェの方が優先順位が高い。と、エドガーのデスクの電話に連絡が来た。アンジェの容態についてわかったら電話するよう伝えていたのだ。電話の内容はこうだった。必死の介護を続けたが、彼女は目を覚まさない。生命活動が徐々に低下を続けており、原因不明で手の施しようがない。
「馬鹿な!!なぜわからない!!」
「落ち着けゲイル!!お前がキレたって何にもならねぇだろ!!」
激怒するゲイルをなだめる狩谷。
「でも、ヘブンズエデンの医療スタッフは優秀よ?治せない患者はいないって言えるくらい。」
レスティーの言う通り、ヘブンズエデンの医療スタッフは世界的に見ても超優秀だ。そのスタッフ達ですら治せないとなると、重症どころの話ではない。
「ゲイル。何かわからない?あなたは魔法使いとかいうのが何をしたのか、見てたんでしょ?」
空子に訊かれて、ゲイルはレオが使った光弾を思い出す。
「…もしかしたら、あれは魔術の類いか?」
もしそうだとしたら、いくら介護しようとわかるはずはない。完全に畑違いなのだから。
「なら、魔術の専門家に調べてもらうしかない。」
そう言ってゲイルが連絡したのは、彼が知る中で最も魔術に精通した者。すなわち、ナイアだ。
*
ナイアを呼び出したゲイルは早速アンジェの容態を見てもらう。間もなくして診察を終えたナイアは、理事長室に来て説明した。
「彼女は魂を抜き取られている。」
それは、あまりにも衝撃的だった。魂を抜かれた。そう、レオが使ったあの光弾は、対象から魂を抜き取るためのものだったのだ。
「なっ…!!」
「お、おい!!魂を抜かれたって…それじゃあアンジェちゃんは…し…死ん…!!」
激しく動揺するゲイルと狩谷。その二人を、エリックが諫める。
「落ち着きなさい。まだ死んだと決まったわけではないはずです。そうでしょう?」
ナイアはエリックに訊かれ、答えた。
「ああ。危険な状態には変わりないけど、魂を抜かれたからってすぐに死ぬわけじゃない。」
「よかった…まだ助かるんだ…」
安堵する光輝。しかし、ナイアの話はまだ終わっていない。
「魂を抜かれてから死ぬまでの時間は、生命力の強さによって個人差がある。彼女の生命力は普通の人間よりも遥かに強いけど、それでも長くはもたない。もって一週間だ」
「それまでの間にあの魔法使いを倒して、魂を取り戻さなければならないということか…」
ゲイルはアンジェを救う方法を見出だすが、あの魔法使いを捜す方法がわからない。レオ・ウィザードリイなどという名前は、どう考えても偽名だ。本名を調べて、なおかつどこに逃げたのかも調べなければ…。
その時、
「お困りのようだね?私が力を貸そうか?」
突然理事長室の中に、黒いローブを着た何者かが現れた。声の質(というかボイスチェンジャーを使って奇妙な声を出している)などから、ゲイルはこの人物がレオと違うと理解する。
「な、何だお前!?」
驚く狩谷。ナイアは冷静に分析する。
「これは魔術で作られたホログラフだね。本体はここにはないよ」
「さすが、かの這い寄る混沌といったところか。よくわかったね」
「…いろいろと事情に詳しいらしいな。だが、手を貸すとはどういうことだ?そもそもお前は何者なんだ?」
ゲイルは黒ローブに質問する。
「名乗るほどの者ではないさ。手を貸すというのは文字通り、君達の手助けをするという意味だよ。」
黒ローブは名乗ろうとはせず、しかし紳士のように丁寧に答えていく。
「では、あなたはこの子を救うのに協力してくださると?」
今度はアーサーが質問した。
「その通り。だが、私も慈善事業者というわけではない。君達にも私を手伝ってもらいたいのだ」
「お決まりのパターンね。そう言うと思ったわ」
レスティーは呆れた。そもそも、タイミングが良すぎるのだ。この黒ローブがあの魔法使いと繋がっている可能性さえある。だが、もしそうならなおさら手が出せない。下手な真似をしてアンジェを死なせることは絶対に避けるべきだ。
「聞くまでもないと思うが、どうするのだ?お前が決めろ。」
皇魔はアンジェの恋人であるゲイルに、意見を求めた。
「…頼む。」
当然ゲイルはそう答える。黒ローブはニヤリと笑った。
「まず、君達が追っている獅子座の魔法使いについて伝えなければならないね。本名は、相馬ナイトという。君達とさほど年齢は変わらないが、人間の魂を集めてコレクションするのが趣味という下衆な男さ。私もその理由からヤツを追っている」
「人間の魂をコレクションするなんて…狂ってる…!!」
人の魂を集めるという狂気の所業を聞き、さだめは恐怖する。
「ここからが本題なんだが、相馬ナイトはこの世界の人間ではない。こことは違うが、しかしよく似ている世界、異世界から来たんだ。そして私も、異世界からこうして語りかけている。私は相馬ナイトの居所も知っているし、君達をそこに連れていくこともできるんだ。」
「異世界…」
ゲイルは黒ローブの口から飛び出した単語を聞き、思い出す。相馬ナイトというらしいあの魔法使いは、彼の目の前で時空の穴を開いて逃げた。あれは、異世界に渡るためのものだったのだ。つまり、今相馬ナイトは異世界に戻っている。
「居場所がわかっているならどうして攻め込まないの?あなたが早く手を打たないせいで、無関係のアンジェがこんな目に!!」
「だから落ち着きなって。大切な仲間だってことはわかるけど、動揺しすぎだよ。それで?」
ナイアが空子を宥めつつ、黒ローブに説明を続けさせる。
「私もそうしたかったんだが、いかんせんあの男は手強くてね、下手を打てないのさ。それで、私が相馬ナイトを倒すためには、この学園のどこかに保管されているというガーネットの枝が必要なんだ。」
「ガーネットの枝?そのようなものがあるのか?」
皇魔はエドガーに尋ねる。ガーネットの枝とは、燃えるような赤い色をしたダイヤの欠片で、持ち主が相次いで不吉な死に方をしたという曰く付きな宝石だ。
「どんな呪的作用があるかと思って半年前に買ったんだが、今の今まで何も起こらなかった。隅々まで調べてみても調査結果は『ただの宝石』だし、とんだガラクタを掴まされたものだよ。」
「あなたにとってはそうでも、私にとってはとても重要なものなんだ。ガーネットの枝を提供して頂けるなら、異世界へ繋がる門を開いて差し上げよう。私は目的の物を手に入れ、君達は友人を助けられる。幸い理事長殿はもうガーネットの枝に未練がなさそうだし、何も問題はないと思うが…」
「…いいよ。私には必要ない物だし、あんなガラクタ一つで生徒が助かるなら差し上げよう。」
言って立ち上がったエドガーは、自分の研究室への扉を開く。
「すぐ戻ってくるから、しばらく待っていたまえ。アーサー、手伝ってくれ。」
「はい。」
エドガーはアーサーを連れて自分の研究室へと向かい、扉の奥に消えていった。
「…どうしてあなたは、僕達に協力して下さるんですか?」
光輝は黒ローブに質問する。
「なに。奴に奪われた魂を解放するのは、私一人では無理そうだと思ったからさ。それに、ガーネットの枝を手に入れたかった。君達は利用できそうだと思っただけだよ」
何とも、味気ない答えだ。
しばらくして戻ってきたエドガーとアーサー。アーサーは持ってきたガラスケースを開け、中身を見せる。すると、ガーネットの枝が消えて黒ローブの手の中に現れた。
「確かに本物だ。では、約束通りに門を開こう。」
ガーネットの枝を受け取った黒ローブは、片手をかざすと呪文を詠唱し、時空の穴を開く。相馬ナイトが開いたものより、一回り大きなものだ。
「この門には少し制約があるからよく聞くんだ。まず、門をくぐれるのは一度に五人まで。それ以上の人数を送る場合は、五人送った後最低一日待たなければならない。それから、あまり強い力を持つ者、特にナイアルラトホテップのような神格はくぐれない。例え力を抑制していたとしてもね」
早速最強戦力の投入を封じられた。
「でも、君達メタルデビルズは変身さえしなければ大丈夫だから安心したまえ。」
と思ったら、ゲイルとエリックは大丈夫らしい。ナイアよりずっと弱いからだろうか。
「最後に、この門は一往復しかできない。だからよくよく準備をして向かうといい。だがあまり時間はないよ?相馬ナイトに抜かれた魂は、168時間を過ぎると永遠に肉体に戻らなくなる。つまり、完全に死ぬんだ。」
タイムリミットは168時間、すなわち七日だ。
「向こうにはこのヘブンズエデンのような施設はないし、魔法使いという魔術師よりもさらに強い存在がいる。だが、私は君達が無事に友人を救えることを祈っているよ。」
黒ローブは魔術を解除し、消える。
「他人事だと思いやがって…!!」
「実際他人事なのでしょう。彼は我々を、利用できる駒としか見てはいません。」
怒る狩谷と、冷めたような目付きのエリック。だが、時間はない。慎重に、そして迅速に準備をしなければ。
「メンバーはまず俺と、それからすぐ魂を戻すためにアンジェだ。あと三人は…」
「よし、俺が行くぜ!」
「あたしも行くわ!」
ゲイルがメンバーに付いて考えていると、狩谷と空子が名乗り出た。
「私も行きましょう。」
「頼めるか。」
「ええ。」
エリックもだ。本当は全員で乗り込みたかったが、五人という制約がある以上、最も信頼できるメンバーでなければならない。
「…そうだ。ナイア、俺を寮に連れていってくれないか?」
ゲイルはナイアに頼む。理由は、ネリーにしばらく寮を留守にすると伝えるためだ。
「了解。」
二人は転移魔術で消える。
「私達は、アンジェちゃんをここまで連れて来ましょう。皇魔、手伝って。」
「うむ。」
レスティーと皇魔が、アンジェを連れ出しに行く。
*
転移魔術で戻ってきた二人。
「ただいま、ネリー。」
「おかえりなさい、パパ、ナイア。今日は早かったんだね?ママは?」
二人を迎えるネリー。
「…ごめんな。俺とアンジェは、しばらくここを留守にする。その間はナイアがお前の面倒を見てくれるが、お留守番できるな?」
「…うん。少し寂しいけど、我慢する。」
ネリーは頷いた。ゲイルは微笑み、ネリーの頭を軽く撫でてやる。
「行こう。」
「ああ。」
「じゃあ行ってくる。」
「いってらっしゃい、パパ。」
二人は再び転移魔術でヘブンズエデンに戻り、ネリーはゲイルを送り出す。
*
「これでよしと。」
空子はエイボンブックを操作し、持っていく武器をチェックしていた。メシアジャケットにギガトラッシュとライフイーターにアイアンクエイク。ティンダロスにデッドブリンガー。スモークグレネード、スタングレネード、焼洟手榴弾、破片手榴弾。それから各種弾薬(弾薬と武器は別項目)と、今回は弾薬の補給ができないので、白兵戦用にビームソードに高周波ソード、コンバットナイフ、トンファーを持って行く。残った欄には、弾薬を考えて四連装ロケットランチャーを選んでおいた。
「待たせたな。」
そこへ、ゲイルとナイアが戻ってきた。
「ゲイル。アンジェさんはこっち」
光輝が、ソファーに寝かされているアンジェを指差す。
「ありがとう。」
ゲイルはアンジェを運んできてくれた皇魔とレスティーに礼を言う。それから、ロケットを持って自分の額に当てた。
「ミライさん。どうか俺に力を…俺にアンジェを助けさせて下さい」
もう二度と大切な人を失いたくない。アンジェだけは、何があっても必ず助け出す。その決意を込めたゲイルは、アンジェを背負って門に向かう。
「行こう。」
「ああ!」
「ええ!」
「了解しました。」
狩谷、空子、エリックが続き。
「みんな、気を付けてね!」
「こっちの世界は私達が守るから!」
「必ず戻ってこい。俺が言えるのはそれだけだ」
「絶対にアンジェちゃんを助けなさいよ!」
「お嬢様はボクに任せてくれ。」
「ネクロノミコンも忘れずにね。君達の無事を祈ってるよ」
「頑張って!」
光輝、さだめ、皇魔、レスティー、ナイア、エドガー、アーサーが見送る。
(相馬ナイト…お前だけは許さない!!)
ゲイルは門をくぐりながら、アンジェの魂を奪った相馬ナイトに怒りの念を向けた。
*
相馬ナイトは変身魔術を解き、自分がアジトにしている屋敷の中で、奪ったネクロノミコンを見ながら、ある存在を待っていた。そして、それは現れる。
「うまくいったようだな、クヴァシル。」
それはナイトをナイトとは呼ばず、クヴァシルと呼んだ。クヴァシルはそれを見てお辞儀をする。
「全てあなたのお計らいのおかげです。イゴールナグ様」
クヴァシルが頭を下げた相手は、太った全裸の大男。それだけならただの変質者で済むのだが、当然それだけでは済まない。大男には首がなかった。だがその代わりに、両手の平についている口が喋ったのだ。この異形の怪物は、クトゥルフ神話に登場する邪神、イゴールナグである。
「この後も、わしが教えた手順の通りにな。」
「はい。」
二つの存在が、暗い屋敷の中で笑っていた。
続きは断空我さんの小説、局面のラストジョーカーでどうぞ!断空我さん。こんな感じでよかったですか?次回は今度こそ本編です。お楽しみに!




