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第三十三話 雨の中、古城にて

今回は、光輝とさだめ視点の物語です。

バシャッ!バシャッ!バシャッ!バシャッ!


どしゃ降りの中を二人の男女が、両手で頭を覆いながら駆け抜けていく。やがて二人は雨宿りにちょうど良さそうな建物を見つけ、そこに飛び込んだ。

「ふう…助かった…」

「あはは、ずぶ濡れだね。」

男女、光輝とさだめは服を絞ったりしながら、最低限の水を落とす。それから、今自分達がいる場所をよく見てみた。彼らがいるのは、古城の門。そこにある屋根の下。

「くしゅんっ!」

と、さだめがくしゃみをした。

「このままじゃ、二人揃って風邪引いちゃうね。中に入れてもらえないかな…」

光輝は呼び鈴を鳴らす。見たところ、人は住んでいないように見えるが…。

「どなたですか?」

と思っていると、門が開いて、一人の男性が顔を出した。

「すいません。急に雨に降られまして、雨宿りさせて頂きたいのですが…」

「それは大変だ。どうぞ上がって下さい」

光輝が頼むと、男は快く引き受け、二人を中に入れてくれる。

「「ありがとうございます。」」

二人は礼を言い、城の中に上げてもらった。











城に入れてもらった二人は、たくさんある部屋の一つに案内され、そこに用意してある服に着替えた。別々の部屋に行くこともできたのだが、二人の希望で相部屋だ。ちなみに、着替える時にはちゃんと互いに余所を向いている。

「あーあ…靴までびしょびしょ…」

さだめは愛用しているパンプスを脱ぎ、中に溜まった水を捨てる。

「ここに干しておけばすぐ乾くよ。」

光輝は部屋に備え付けてある暖炉に雷で火を点け、脱いだ服を干した。


服と靴を替えた二人は荷物を置き、男に大広間に案内される。

「申し遅れました。私はロドリゲス。これから夕食ですので、よかったらどうぞ。」

ロドリゲスは光輝達を席に着かせた。すると、メイドが料理を運んでくる。

「すいません何から何まで…」

頭を下げるさだめ。

「いえいえ。ところで、あなた方はこの辺りの人間ではありませんね?」

「えっ、どうしてわかったんですか?」

驚く光輝。

「わかりますとも。まぁ、年上の勘とでも思って下さい。」

「…お察しの通り、僕達はこの辺りの住人ではありません。日本のヘブンズエデンから、任務のために来ました。」

「ほう、あのヘブンズエデンの…よろしければその任務の内容を聞かせて頂けませんか?何か協力できるかもしれません。」

「実は…」

光輝とさだめはロドリゲスに、自分達が来た理由を告げた。











数時間前。二人はとある任務を受注した。任務の内容は、夜な夜な村に現れる化け物を討伐して欲しいというもの。被害は出ていないらしいが、恐ろしいので退治してもらいたいとのことだ。それで早速、村を訪れたのである。

「ほう、そのことでしたか。私も悩まされておりまして…」

「本当ですか?」

「何かご存知でしたら教えてください。」

二人は情報を求めてロドリゲスに質問した。今までずっと村で情報収集をしていたのだが、化け物の正体はわからず、村外れにあるこの場所に来たところで雨に降られ、現在に至るというわけなのだ。わかっているのは、人間の男性の姿をしており、夜に現れるということだけ。それでも化け物だとわかったのは、赤く光る目と鋭利な牙をはやしていたから、らしい。

「すいません。私にも化け物の正体はわからないんです」

「そうですか…」

ロドリゲスも、化け物が何者なのかは知らないそうだ。少しがっかりするさだめ。というのも、もう情報のアテがないからだ。村人には全員話を聞いたし、これ以上は実際に化け物と対峙するしかない。だが、天候はあいにくの雨。これではいざ遭遇しても、雨に紛れて逃げられてしまう可能性が高い。

「ところで、ロドリゲスさんはさっきの人と二人でこのお城に住んでおられるんですか?」

光輝は質問を変える。

「いえ、使用人があと三人います。」

「こんな大きなお城にたった五人で?」

「もし化け物が入ってきたりしたら大変なんじゃ…」

光輝とさだめはロドリゲスを心配する。

「ははは。まぁ、何とかなるもんですよ。それに、化け物は絶対にこの城には入ってきません。」

「どうしてそう言い切れるんですか?」

「この城のあちこちに魔除けを飾っていまして、そのおかげで入ってこれないんです。前に試してみました」

さだめの質問に、ロドリゲスは丁寧に答える。なるほど、化け物は魔除けに弱いらしい。

「今夜は遅いですし、外はどしゃ降りです。どうぞ泊まっていって下さい」

「えっ!?それはさすがに…」

さだめは困惑する。いくらヘブンズエデンの訓練生とはいえ、アポもなく他人の家に泊まるなど、非常識だ。例え住人が了承したとしてもである。

「…ここはお言葉に甘えた方がいいんじゃないかな?」

「光輝まで…」

「この雨じゃ化け物と戦うどころか、村にも戻れない。今夜泊まる宿もまだ決めてなかったし、ちょうどいいよ。」

「でも…」化け物は村に住み着いてからかなり長いらしい。当然土地勘もあるだろうし、視界の確保もままならないようなこんな雨の中では、いくら雷のアーミースキルを持つ二人でも不利だ。ならば、出直して明日また挑むしかあるまい。傭兵たるもの、確実に事を成し遂げられる時期を待つことも必要なのだ。だが、村に戻ろうにも雨で無理。消去法で、必然的に城に泊まるということになる。

「…じゃあ、お願いします。」

こうしてさだめも折れ、二人はロドリゲスの城に泊まることになった。











部屋に戻った二人。一応ヘブンズエデンに連絡しようとするが、

「…通じない。この雨のせいかな…」

光輝が持つ通信機の類いは全て繋がらず、連絡できなかった。さだめの通信機も、また同じだ。

「電話借りてくる。」

さだめはロドリゲスに、電話を借りに行く。固定電話ならあるはずだ。そう思い、ロドリゲスに尋ねる。

「電話ならこちらです。」

ロドリゲスは快く電話を貸し、さだめはヘブンズエデンに連絡した。

「理事長先生ですか?桐崎です。」

「ん。どうしたんだい?」

とりあえず、今の状況を伝える。

「それで、もう少しかかりそうなんですが…」

「構わないよ。明日、皇魔とレスティーをそちらに派遣しよう。彼らなら、こういった任務は得意だろうしね」

これは朗報だ。本当に皇魔達が来てくれるなら、すぐにでも片付く。

「ありがとうございます。」

さだめは連絡を終え、ロドリゲスの所へ行く。

「お電話ありがとうございました。」

「いえいえ。それで、どうでした?」

「明日私達の同僚が、協力に来てくれます。」

「それはよかったですね。私にも何かできればいいのですが、力及ばず申し訳ない…」

「いえ!ここに泊めて頂いてすごく助かってますし、これ以上お手をわずらわせるわけには…!」

「…ありがとう。あなた方のような若者を見るのは、本当に久しぶりだ。」

「ロドリゲスさん…」

「さ、もう行って下さい。お友達が待っているのではないですか?」

「あっ、すいません。本当にありがとうございました!」

急いで光輝に伝えなければならないと思い、部屋に戻るさだめ。ロドリゲスはその後ろ姿を見送り、やがて見えなくなってから寂しそうな顔をする。

「…彼らになら頼めるかもしれない…」











部屋に戻ったさだめは、明日皇魔達が来ることを光輝に伝えた。

「皇魔さんとレスティーさんが!?すごい!二人が来てくれるんだ!」

「よかったね。これで一安心かな?」

喜ぶ光輝。彼は皇魔とレスティーを師と慕い、尊敬している。その師匠が二人とも来てくれるのだから、これほど心強いことはない。あの二人はモンスターを始めとする様々な怪物と戦い慣れているし、きっといい知恵を貸してくれるだろう。加えて、ここにはさだめもいる。光輝の心の支えが、三人とも揃うのだ。これなら例えウォントが相手でも、負ける気がしない。

「そうと決まったら、今日はもう休もう。明日は忙しくなるよ」

「うん。そうだね」

用意してあった寝間着に着替え、二人はベッドに入る。




それから一時間後。

「…光輝。まだ起きてる?」

さだめは隣のベッドで寝ている光輝に話し掛けた。しかし、応答はない。

(寝ちゃったか…)

さだめはそれなりに寝つきがいい方なのだが、今夜はなぜかまだ眠れないでいた。しかし早く寝ないと大変なので、目を閉じて神経を落ち着かせる。


外ではまだ雨が降っているらしいが、だいぶ弱まってきたようで、雨音がかなり小さくなってきていた。それから、暖炉で火の粉がパチパチと爆ぜる音。これらが奏でる旋律を、さだめは目を閉じて聞いている。


やがてさだめは、その旋律に別の音が混ざってきたのに気付く。足音だ。石の床をゆっくりと歩く音が近付いてくる。

(見回りの人かな?)

と思っていると、足音は不意に止まった。そして、ガチャリとドアを開ける音。足音の主が部屋の中に入ってきたのだ。

(どうしたんだろう?)

さだめは音の主が誰であるか、何をしに来たのか確かめるべく、ベッドから上半身を起こす。部屋に入ってきたのは、ロドリゲスだった。

「…ロドリゲスさん?」

「…」

話し掛けるが、ロドリゲスは返事をしない。

「あの…どうしたんですか?」

さらに話し掛ける。そこで、初めてロドリゲスが反応した。

「…ハァァァァ…!!」

目を赤く光らせ、口を開けて息を吐くロドリゲス。その口の中には、鋭利な牙が。

「っ!?」

驚いて声を上げかけたさだめだが、そこで彼女は気付く。

(声が出ない!!身体も動かない!!)

ついでに言えば、雷も出せない。何もできなくなっていたのだ。ロドリゲスは無力となって困惑するさだめの首を片手で掴み、持ち上げる。

「ッ!!…っ…!!」

気管を圧迫され、息ができない。振りほどきたいのに腕が動かず、暴れたいのに足が動かない。抵抗したいのに雷が出せず、声も出ないので光輝に助けを求めることもできないのだ。死を覚悟するさだめ。その時、


「ロドリゲスさん!!」


愛しい人の声が響く。それはもちろん、光輝だ。ロドリゲスが放つ並々ならぬ殺気と、さだめの危機を直感で感じ取り、起きたのである。

「!!!」

光輝の声に反応したロドリゲスの目からは赤い光が消え、牙も普通の歯に戻ってさだめを離す。どうやら、正気を取り戻したようだ。

「光輝!!」

同時に金縛りも解け、自由になったさだめは恐怖のあまり光輝に抱きつく。一方ロドリゲスは、荒い息継ぎをしながら背後の壁にもたれかかっている。

「…すいません。」

少し落ち着いたのか、うつむいて謝るロドリゲス。光輝はそんな彼に言った。

「…あなただったんですね?村に現れる化け物は。」

「…はい。」











三人はとりあえず落ち着き、光輝とさだめはロドリゲスから話を聞き出した。ロドリゲスの話だと、彼は二百年以上前から生きている吸血鬼だそうだ。

「吸血鬼!?」

「そんな生き物がいるなんて…」

「信じられないかもしれませんが、事実です。」

「じゃあ、使用人の人達は!?あの人達も吸血鬼なんですか!?」

ロドリゲスは光輝の疑問に答える。

「あれは私が生み出した使い魔です。吸血鬼ではありません」

違うらしい。

「吸血鬼といっても、私は血液なしで生きられます。あとは日の光が届かない場所に住んでいれば、人の目を欺けるんですが…」

そこで、ロドリゲスの表情が曇る。

「…やはり本能には逆らえませんね。我慢すればするほど、反動が大きくなる。」

ロドリゲスは、ここ五年ほど吸血行為をしていないらしい。だが、吸血行為は吸血鬼の本能。血を吸いたいと望む衝動が徐々に彼の精神を蝕み、時折無意識のうちに村に行くようになってしまったそうだ。

「どうしてそこまで我慢するんですか?やっぱりあなたに血を吸われたら吸血鬼になってしまうからですか?」

さだめはなぜそこまで吸血を拒むのかが気になり、ロドリゲスに尋ねる。

「相手を吸血鬼に変えるかどうかは私の加減次第なので大丈夫です。しかし、それとは別に私自身が人の血を吸いたくない。傷付けてしまうから…」

二人はこの答えを聞き、ロドリゲスが途方もなく優しい吸血鬼であるということを知った。血を吸うには、当然相手を傷付けてしまう。その傷はいずれ治るが、ロドリゲスは人を傷付けるという行為自体に痛みを感じるのだ。

「…だからあなた方にお願いがあるのです。私を…殺して下さい」

「ちょっ、ちょっと待って!!」

「今の話でどうしてそうなるんですか!?」

突然の申し出に慌てる二人。

「私はもう、誰も傷付けたくない!!だからこの城に引きこもって、吸血とは無縁の生活をすることに決めたんです!!なのに、たった五年でこのザマだ!!これ以上人の血を吸って生きるくらいなら、死んだ方がマシなんです!!」

「血を飲みたいだけなら、他にもいろいろ方法があるはずです!!」

「そうですよ!!何も死ぬ必要なんて…!!」

「それだけじゃない!!」

光輝とさだめはロドリゲスを落ち着かせようとするが、彼の話はまだ終わっていなかった。

「…昔は私にも、人間の知り合いがたくさんいました。ですが、みんな老いで死んでしまったのです。私は不老不死の吸血鬼…老いで死ぬことは絶対にない。誰かに殺してもらいでもしない限り、死ねないんです。しかし、人間はそうではない。時が経てば、勝手に死んでしまう。残るのは、孤独だけ…」

ロドリゲスは、この永遠に続く孤独を終わらせたかった。だが、いざ自分から命を断とうとすると恐怖が襲い、死ねない。だから、誰かに殺して欲しかった。

「あなた方がヘブンズエデンの訓練生だと知った時、これでようやく死ねると思いました。さぁ、早く私を殺して下さい。」

普通の人間ならいくら殺して欲しいと頼んだところで、引き受けてなどくれない。だが相手がヘブンズエデンの訓練生なら、殺しは慣れている。だから大丈夫だと思った。しかし、

「…無理です…僕には…あなたを殺すことなんて…!!」

「私もできません!!こんないい人を…」

相手は限りなく常人に近い思考を持った光輝とさだめだ。そんなことはできない。

「そうですか…」

ロドリゲスは嘆息する。彼は弱り果てていた。ようやく自分を殺してくれる者達が見つかったと思ったら、無理だと言われたのだ。早く何とかしないと、村人を襲ってしまうかもしれないというのに。

「僕達にはあなたを殺すことなんてできません。けどその代わりに、ヘブンズエデンに来て下さい。」

「…え?」

光輝はロドリゲスに申し出た。ヘブンズエデンのエドガーなら、何とかできるかもしれない。

「…そういえばあなた方の理事長は、エドガー・サカウチでしたね。でもいくら彼とはいえ…」

「とにかく来て下さい!そうすれば、きっとあなたにも生きる希望が出てきます!」

「そうです!諦めないで下さい!」

「白宮さん…桐崎さん…」

ロドリゲスは驚いた。自分は危うくさだめを手にかけてしまうところだったというのに、それを許し、しかも自分を生かそうとしているのだ。

「とにかく、今夜はお互いにもう休みましょう。」

「明日理事長先生に連絡してみます。だから、もう死にたいだなんて言わないで下さい。」

「…わかりました。私はあなた方を信じます」

こうして三人は和解し、明日を待つことになった。











ロドリゲスの自室。

「…」

彼の部屋には、就寝用の棺桶が置いてある。ロドリゲスはその蓋を開けて、中からある物を取り出した。



赤く輝く宝玉、それは、進化の宝珠と呼ばれる物だ。



同時にロドリゲスは、一週間前に起きた出来事を思い出す。




一週間前、ロドリゲスの城にある男が訪ねてきた。

『どちら様でしょうか?』

『突然押し掛けて申し訳ありません。私は、イズマという者です。お訊きしますが、あなたは吸血鬼だそうですな?』

『!!誰からそのことを…』

イズマと名乗った男は、ロドリゲスが吸血鬼であることを知っていた。

『風の噂ですよ。ところで、あなたに一つ耳寄りなお話があるのですが…』

ロドリゲスはイズマを追い返そうと考えたが、イズマはただ者ではないということがわかったので、下手に抵抗するのは危険と考えた。しかも、時刻は真昼。圧倒的に不利である。

『…お入り下さい。』

仕方ないので、ロドリゲスはイズマを招き入れることにした。



『実は私はデザイアという組織の副首領でして、今簡単なボランティアをしているんですよ。』

『ボランティア?』

イズマはロドリゲスに説明しながら、進化の宝珠を取り出す。

『それは?』

『これは進化の宝珠といいまして、あらゆる存在に望んだ進化を与えることができるのです。私は現在あなたのような者にこれを提供し、悩みから救っています。聞く所によると、あなたは自分が吸血鬼であることに苦痛を感じているとか…』

『そ、それは…』

『ご安心を。この進化の宝珠を使えば、あなたを現在の悩みから救うことができます。ただし、その代わりにデザイアに加入して下さい。』

『えっ!?』

ロドリゲスにとっては、願ってもない話だった。この進化の宝珠を使えば、自分は吸血鬼をやめ、別の存在になることができる。だが、デザイアと言えば犯罪組織だ。そのために大勢の人間を殺すことになるのは絶対に嫌だった。『少し猶予を差し上げましょう。しばらくしたら、私はまたここに来ます。その時までに答えを決めておいて下さい』

イズマはロドリゲスに進化の宝珠を渡し、去っていった。これが一週間前の出来事だ。




(やはり彼らにこのことを話すべきだったろうか…)

だが、あのイズマという男は得体の知れない何かを秘めている。こんな危険なことに、彼らを巻き込むわけにはいかない。

(そうだ。明日私がヘブンズエデンに行けば、いかにデザイアの副首領でも手は出せないはず。それから考えよう)

そもそも、イズマは自分がヘブンズエデンに行くことを知らない。人知れず亡命してしまえば、捜しようがないだろう。ロドリゲスは、そう思っていた。










翌日。

雨はすっかり上がり、空は晴天。吸血鬼のロドリゲスにとってはあいにくの日だが、人間の光輝とさだめにとってはとてもいい日だ。が、浮かれてもいられない。今日はロドリゲスをヘブンズエデンに保護する日なのである。光輝達は早速エドガーに連絡を取り、許可を得た。これで一安心だ。

「お二人とも、私のためにありがとうございます。」

「いえ。救える存在がいるなら、救わなきゃ。」

「何も気にすることなんてありません。」

朝食の席で、ロドリゲスは改めて礼を言った。あと数分か数十分後に、ヘブンズエデンからの迎えが来る。このまま、何事もなければ…。


その時、呼び鈴が鳴った。


「参られたようですね。」

「あ、僕も行きます!」

「私も!」

三人で迎えることに。ドアの外には皇魔とレスティーがいる、はずだった。


しかし、


「おはようございます。」


ドアの外に立っていたのはイズマだった。

「あなたは…」

立ち尽くすロドリゲス。

「…あの、お知り合いですか?」

光輝が尋ねた。ロドリゲスは答えず、イズマが光輝を見る。

「おやぁ?白宮光輝がいるとは、ずいぶんと意外ですねぇ。」

「ど、どうして僕の名前を?」

「当然知っておるわ。汝の親を殺したのは我の部下、ウォントなのだからな。」

「お前…デザイアか!!」

光輝は羅刹刃を抜いて、イズマに斬りかかる。しかし、

「ふん。」

イズマは後ろに飛び退いてかわした。光輝はそのままイズマを追って飛び出す。

「光輝!!」

さだめもヴォルテクスを出して、光輝の側に駆け寄る。

「我はイズマ。デザイアの副首領」

「副首領!?」

「そんな大物がどうして!?」

「小僧ども、汝らは消え失せい。我はロドリゲスという吸血鬼に用があって来たのだ」

ロドリゲスには礼儀を払っていたイズマだが、光輝達には全くと言っていいほど礼儀を払わない。彼にとって光輝達は邪魔者でしかないのだから当然だ。

「ロドリゲス殿。あれは、まだ持っておられますかな?」

「…」

ロドリゲスは無言のまま、進化の宝珠を出す。ヘブンズエデンに持っていこうと思って持ち出していたのだ。「それは…進化の宝珠!!」

「どうしてロドリゲスさんが!?」

「一週間前、我はロドリゲス殿をデザイアに勧誘しに来た。あれはその時提供したものだ」

イズマはルーラーから、強力なエボリュータントを生み出すための人材を捜すよう命令を受けている。これはナイアルラトホテップのような強大な力を持つ邪神に対抗するためだ。普通に兵士をエボリュータント化しても、強力なエボリュータントにするのは難しい。そこで、元から強大な力を持つ者を勧誘し、エボリュータントにするという作戦を取ったのだ。ヴァルハラのボーグソルジャーと同じで、エボリュータントも進化前の個体が強ければ、より強力なエボリュータントに進化する。吸血鬼は強い力を持つ生物なので、かなり強力なエボリュータントになるのだ。

「決断はできましたか?」

ロドリゲスは答えない。

「…あなたは思ったより優柔不断な方なようだ。それでは仕方ありませんな…」

それを見てニヤリと笑ったイズマは空中に手をかざす。すると何もない空間から錫杖が出現し、イズマはそれを手に取って真上に突き上げた。錫杖から光がほとばしり、その光を浴びたイズマは怪人態に変身する。

「あなたにお見せしましょう。進化の宝珠がもたらす力の素晴らしさを…」

言うが早いか、イズマは光輝に襲い掛かった。横薙ぎに振るわれた錫杖の一撃。光輝は羅刹刃でそれをガードするが、そのあまりの重さに吹き飛ばされる。

「もっともその過程で、この二人は死ぬかもしれませんが。」

「や、やめて下さい!!その二人は、デザイアと何の関係もないはずだ!!」

「関係はあります。一口では説明できませんが」

言いながら、今度は錫杖からエネルギー弾を飛ばし、二人を攻撃する。

「この二人を助けたければいつでもどうぞ。できればの話ですけどねぇ?」

「くっ…!!」

今は朝。しかも天候は雲一つない晴天。吸血鬼にとって最大の弱点は、日光だ。日光を浴びた吸血鬼は、灰になって死んでしまう。今ロドリゲスは日光が届かない城の中にいるが、一歩でも外に出たが最後だ。そして、今光輝達とイズマは城の外にいる。助けられない。しかし、二人を助ける唯一の方法は、既に持っている。進化の宝珠だ。進化の宝珠を使って日光を克服したエボリュータントになれば、二人を助けられる。だが、それはデザイアのメンバーになってしまうということ。

「心配しないで下さい!!」

「私達なら大丈夫です!!絶対に勝ちます!!」

光輝とさだめは、何としてもロドリゲスをエボリュータントにさせてはならないと感じ、

「「疑似進化!!」」

疑似進化した。

「ふん、アプリシィから聞いておるぞ。汝らは進化の宝珠の欠片を使い、不完全な進化を遂げたとな。」

「えっ!?」

イズマの発言に驚くロドリゲス。二人は言い放つ。

「勘違いするな!!これはお前達を倒すための力だ!!」

「これ以上、あなた達の思い通りにはさせない!!」

「…良かろう。そのような不完全な力で、何ができるか見せてもらうぞ。」

戦いが始まった。まず光輝が斬り掛かる。イズマはそれを錫杖で受け止めた。

「はぁっ!!」

時間差で挑むさだめ。イズマは光輝が押さえているので、この攻撃は防げない。と思いきや、イズマは羅刹刃を流し、バランスを崩して前のめりになった光輝の延髄に肘を喰らわせて転倒させ、それからさだめの一撃を防いだ。

「ぬん!!」

「ああっ!!」

しかし、直後に錫杖から謎の力がほとばしり、さだめを弾き飛ばす。

「やああああ!!」

復帰した光輝が再度挑戦するも、簡単に止められてしまう。さだめも体勢を立て直し、二人で何度も斬り掛かるが、イズマは巧みな棒術で翻弄し、一撃も当てられない。

「ぬえあっ!!」

「わっ!!」

「きゃっ!!」

イズマが放った錫杖の一撃で、二人とも吹き飛ばされた。

「連携で不足しておる力を補うか。なるほど、侮り難い。だがその程度では下級のエボリュータントには通じても、上級エボリュータントである我は倒せぬ。」

光輝とさだめの戦法を見抜き、評価したうえで、それでも自分には敵わないと言うイズマ。

「なら…!!」

二人はアイコンタクトで合図し、

「「バスターブリッツ!!!」」

全力の雷を飛ばす。だが、

「無駄だ!!」

イズマが錫杖を突き出すとドーム状のバリアが発生し、防がれてしまった。

「まだだ!!」

光輝は再度アイコンタクトを交わしてから羅刹刃を地面に突き刺し、さだめもヴォルテクスを地面に突き立てて、

「「エレクトリックバイト!!!」」

雷を流す。昨晩は豪雨で、地面がまだ濡れている。雷が地面を伝わる速度は飛躍的に向上し、濡れていることで地面の下からも攻撃できる。つまり、バリアが張られていないはずの地中から攻撃を当てることが目的なのだ。空中に逃げる以外にやり過ごす方法はない。飛んだ瞬間にブルーライジングとゴールドライジングを発動し、一気に仕留める。それが二人の作戦だった。これは事前に打ち合わせしたわけではなく、アイコンタクトをした結果だ。二人の気持ちは、深く通じ合っている。


しかし、イズマは二人の絆、愛を遥かに凌駕する力の持ち主だった。


イズマは逃げることもせず、錫杖を地面に突き刺した。すると、二人のエレクトリックバイトが、錫杖に吸収されていくではないか。

「そのような粗末な贈り物はいらん。だが、礼儀は通さねばな。」

その言葉を聞き、何をするつもりか察した二人は逃げようとする。

「十倍返し」

しかし、遅かった。

「ワイズマンリフレクション!!!」

吸収された雷が、錫杖の頭部から撃ち出されたのだ。その威力はイズマの宣言通り、十倍。回避が間に合わず、二人は倒れる。だが、彼らは雷のアーミースキルを持つため、イズマの雷を操ることで威力をかなり軽減した。もっとも、十倍となれば二人を行動不能にするには十分だが。

「あの杖には…エネルギーを増幅して…撃ち返す力があるのか…!!」

光輝はイズマの錫杖が持つ予想外の性能に驚く。

「そうだ。この賢者の杖は、我が首領より賜りしもの。ただの杖だと思っておったのなら、その認識は撤回してもらわねばな。」

ここで初めて明らかになる、イズマの錫杖の名前。賢者の杖。名前に違わぬ強力な武器だ。

「まだ…ロドリゲスさんを…渡すわけには…!!」

ヴォルテクスを杖にして立ち上がるさだめ。

「やめておけ。既に力の差は歴然…汝らがデザイアに入るというのなら、命を奪うことはせんが…」

「誰が…お前達なんかに…!!」

光輝も立つ。ロドリゲスは何もできず、ただ見ていることしかできない。



その時、



「イズマァァァァァァァァァ!!!」



「むっ!?」

女性の声が響き、イズマが声が聞こえてきた方向に賢者の杖を振った。その女性、レスティーは賢者の杖を弾き、さらに数度イズマの胴体を斬りつけてから、光輝達の側に駆けつける。

「レスティーさん!!」

「レスティー!!」

「遅くなってごめんなさい。私も戦うわ!」

ようやくレスティーが到着した。

「ふん、腑抜けた攻撃だな。その程度で我は傷など負わぬ」

イズマはレスティーの攻撃を受けたにも関わらず、無傷だ。上級エボリュータントにも多少は通じる攻撃なのだが、全く通じていないところを見ると、さすがにルーラーに次ぐ進化を遂げていることが伺える。

「ならばこれも受けてもらおう。」

「ぬ!?」

だが、戦う相手はレスティーだけではない。到着した皇魔が、イズマを殴り飛ばした。だが賢者の杖で防がれ、軽く飛んだだけで終わる。

「皇魔さん!!」

「奴がイズマか。俺達が来るまでよく耐えたな」

皇魔は光輝の身を案じつつも、イズマから目を離さない。

「…鬼宝院と霊宮寺の子が両方揃ったというわけか。面白い…コレク!!」

「は。」

役者が揃ったと見るや、イズマはこの場にいないはずの幹部の一人、コレクの名を呼んだ。すると、コレク 怪人態が現れる。イズマの命令で、万一に備えて待機していたのだ。

「…貴様も来ていたのか。」

「そうだ。副首領の命でな」

「レスティー。コレクは俺が抑える。お前は白宮達とともに、イズマを倒せ。」

「わかったわ。光輝くん、さだめちゃん、まだ戦える?」

「はい!」

「大丈夫だよ。」

四人は役割を分担する。

「闘界覇神拳秘奥義・覇氣鎧装!!!」

「忍法・闇影武装!!!」

皇魔は覇氣鎧装を発動し、レスティーも闇影武装を使った。

「ほう、秘奥義と秘伝を修得したか。」

「行くぞコレク!!」

ぶつかり合う皇魔とコレク。

「行くわよ!!今度は倒す!!」

「来るがいい!!」

光輝とさだめを連れてイズマに立ち向かうレスティー。



コレクは薙刀を生成し、パワーで皇魔と拮抗する。

「わしとサシで戦えるようになったか。少しは力を増したようだな?」

「当然だ!!今までのようにはいかんぞ!!」

皇魔は怒涛炸裂拳を繰り出し、コレクは薙刀で全て防ぐ。



「忍法・瞬獄殺!!」

「「ダブルサンダースラッシュ!!」」

三人は同時に仕掛けるが、

「ぬるいわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

イズマが賢者の杖を振るうと巨大な竜巻が起き、三人を吹き飛ばす。

「コメットボンバー!!!」

さらに賢者の杖を突き上げると、超小型の隕石が無数に降り注ぐ。

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

「はあああああああああああああ!!!」

それを破壊していく光輝とさだめ。防御を二人に任せたレスティーはイズマに突っ込むが、

「ふんんん!!」

イズマが手をかざすとレスティーの動きが止まり、

「ああっ!!」

吹き飛ばされた。




イズマとコレクの恐るべき力。光輝達の危機を目の当たりにして、ロドリゲスの焦りは頂点に達しようとしていた。

「…こうなったら…」

そして、彼は決意する。

「駄目だ!!それを使っちゃ駄目だ!!ロドリゲスさん!!」

光輝は止めるが、聞かない。

「うああああああああああああ!!!!」

ロドリゲスは自分の胸に、進化の宝珠を叩きつける。あらゆる存在を進化させる宝玉の力を浴びた彼の身体は、変化した。背中にコウモリのような羽を持ち、吸血鬼をそのまま怪物に変えたかのようなエボリュータントだ。

「あれが、光輝くんの言ってた吸血鬼…?」

イズマに夢中で気付かなかったレスティーは、今やっとロドリゲスの存在に気付く。ロドリゲスは一同が見守る中で歩き出し、城の外へ、太陽の下へ、出た。だがロドリゲスは灰にならない。それは彼が吸血鬼をやめ、エボリュータントになったからだ。

「やっと受け入れられましたか、我らの力を。」

それを見たイズマは、両手を広げてロドリゲスを受け入れる。

「歓迎しますぞ。新たなる同志よ」

「クックック…これで新しい戦士が増えたわ。」

喜ぶコレク。皇魔は唖然としている。

「な、なんと…」

「そんな…ロドリゲスさん!!」

必死に呼び掛けるさだめ。次の瞬間、


「ふんっ!!」

「ごあっ!!」


ロドリゲスはイズマの顔面を殴った。

「な、何を!?」

驚愕し、困惑するイズマ。

「私は確かに、あなた方の力を受け入れました。しかし、心まであなた方を受け入れたわけではない!!私は戦う!!私を真に思ってくれた人達のために!!」

ロドリゲスはエボリュータントとなることで、デザイアに入るのではなく、光輝達を助ける道を選んだ。

「ロドリゲスさん…!!」

「白宮さん、桐崎さん、私も戦います。」

二人の側に立つロドリゲス。長い歳月の中で生きる意味を完全に見失っていた彼が、再び生きる意味を見つけた瞬間だった。

「…この痴れ者めが…」

しかし、イズマは怒り心頭である。これだけの力の差を見せつけたというのに、ロドリゲスは従うどころか反逆するという選択肢を取ったのだ。自分の好意と作戦を踏みにじられて、怒らないはずはない。

「貴様ら全員!!!鏖殺してくれるぅぅぅゥゥァァァァァァァァァァ!!!!!」

激怒したイズマは、嵐や地割れ、炎や吹雪を巻き起こし、周囲を手当たり次第に攻撃し始めた。イズマは理を操るエボリュータントで、天変地異を起こしたり、場合によっては隕石を落としたりもできる。今までやっていたのがそれだ。

「い、いかん!!このままではこの辺り一帯が消滅する!!」

イズマの怒り様を見て危機を感じたコレクは、皇魔との戦闘を放棄してイズマの側に駆け寄った。

「副首領!!どうかお静まり下さい!!」

「だぁぁぁまぁぁぁれぇぇぇぇい!!!!」

「ぐああっ!!」

しかし、イズマは静まるどころか攻撃の矛先をコレクにまで向け、衝撃波を出して吹き飛ばす。

「何て凄まじいんだ…これじゃ近寄ることもできない!!」

光輝はイズマの攻撃をかわしながら、その凄まじさに戦慄する。これ以上一歩でもイズマに近付けば、荒れ狂う天変地異によって一瞬で消滅する。

「私が行きます!!」

飛び出したのは、ロドリゲス。手からエネルギー弾を連射し、天変地異のパワーを弱めながらイズマに接近している。光輝とさだめの力を合わせても、こんなことはできない。吸血鬼をエボリュータント化した結果だ。

「援護するわよ!!忍法・鉄大砲の術!!」

「うん!!」

「はい!!」

三人はロドリゲスを援護するため、それぞれ攻撃してイズマの天変地異を弱める。

「無駄だ。ああなった副首領はもう止まらぬ…それに副首領は、まだ本気を出しておらんのだ…」

イズマは怒り狂っているだけであり、本気を出しているわけではない。本当に本気を出せば、もっととんでもない大破壊が起きる。

「他人の心配をしている場合か?」

「ちっ!!」

皇魔は再びコレクと戦う。彼とて、光輝達を心配していないわけではないのだが、心配してどうなるわけでもない。だから、信じて任せる。信じているからこそ、何も気にせず拳を振るえる。

「闘界覇神拳奥義・岩山破砕!!!」

「ぐううっ!!」

皇魔は覇気を込めた拳を叩き込み、コレクにダメージを与えた。



ひたすら援護する光輝達。

「ふんっ!!」

遂にロドリゲスは、イズマを押さえつけた。だが、ロドリゲスは言う。

「…ここでお別れです。」

「「!?」」

言っていることの意味がわからない光輝とさだめ。しかし、レスティーだけがそれを理解した。

「まさか…自爆するつもり!?」

押さえつけてからすぐに攻撃したのなら、レスティーも自爆するために近付いたのだとは思わなかった。だが、こんなこと言うのは完全に自爆する流れだ。

「はい。我々の力では、彼に勝てない。だが、私の命を犠牲にすれば倒せるはず!!」

「そんな…駄目です!!それだけは絶対に!!」

「せっかく生きる意味を見出だしたじゃないですか!!」

光輝とさだめは、イズマを道連れにしようとするロドリゲスを見て、説得しようとする。だが、ロドリゲスは聞かなかった。

「あなた方を守り、未来へと導く。それが、私が見つけた生きる意味です。」

そのためなら、自分がどうなろうと構わない。今まで自ら命を断つことを恐れていた彼は、守るべき者達のために命を捨てる決意をしたのだ。

「あなた方に会えてよかった。これで私も、ようやく生を終えることができます。白宮さん、桐崎さん、本当にありがとう!!」

抵抗を続けるイズマを必死に押さえ込みながら、自身の中のエネルギーを暴走させるロドリゲス。


そして、


「さようなら…!!」


ロドリゲスは自爆した。


「ぶるあああああああああああああああああああ!!!!!」

イズマの姿が、閃光と爆発で見えなくなる。

「ロドリゲスさん!!!」

「ロドリゲスさぁぁぁぁぁぁぁんッ!!!」

叫ぶさだめと光輝。やがて、爆発による衝撃波は治まった。しかし、

「う…ううあああ…!!」

イズマはまだ死んでいない。

「そんな…これでもまだ死なないなんて…!!」

全力を尽くし、自爆戦法を用いてもなお生存しているイズマ。だがさすがに無傷ではなく、もう虫の息だった。

「副首領!!くっ!!」

コレクは皇魔を弾き飛ばし、イズマの側に再び駆けつけて支える。

「お、おのれ…こ、小賢しい、痴れ者どもめが…よくも、我を…!!!」

「その傷では、もう戦闘は不可能です!!帰還しましょう!!」

「…致し方あるまい…」

今度はコレクの言うことを聞いた。少しは頭が冷えたらしい。

「…帰還する…次は…必ず…!!」

イズマが賢者の杖の石突で地面を突き、二人は光となって消えた。

「…ロドリゲスさん…」

ひとまず脅威は去った。だが、この戦いには大きな犠牲を払ってしまった。彼の自爆で瓦礫の山となった城。もう、使い魔達もいない。

「…忘れません。あなたが生きたことを」

「…ロドリゲスさん…ありがとう。」

光輝とさだめは、自分達のために命を投げ出してくれたロドリゲスに心の底から感謝した。




こうして、とある村で起きた化け物騒ぎは終わった。



そこであったのは、優しい吸血鬼との出会いと別れ。この経験を経た光輝とさだめ、そして皇魔とレスティーは、打倒デザイアの意志を強く心に刻みつけたのだった。




心優しき吸血鬼ロドリゲス。光輝とさだめに出会えた彼はきっと、幸せだったと思います。


今回で初めてイズマが戦闘を行いましたが、いかがでしたでしょうか?その圧倒的な力に絶望感を味わって頂けたなら、幸いです。


次回はまた違う視点の物語を展開しようと思うので、お楽しみに。



それでは。

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