表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/86

サマーバケーションウォーズ PART5

長編は今回で終了です。意外にかかったな…ではどうぞ!

ビャクオウはホワイトスイーパーからエネルギー弾を撃ち出し、ネイゼンを攻撃する。ネイゼンは尾を使ってそれをことごとく弾き飛ばし、その間に接近してビャクオウを殴り飛ばした。しかし、ネイゼンが殴ったビャクオウは偽者で、ネイゼンから攻撃を受けたとたんに消滅する。本体のビャクオウは姿を消してネイゼンの背後に回り込んでおり、ネイゼンの隙を狙って斬りかかった。だが、

「ぬぅぅんっ!!」

ネイゼンが横に一回転し、尾を振り回した。

「がっ!!」

鞭のようにしなる数本の尾に叩かれたビャクオウは迷彩が解け、吹き飛んでダメージを受ける。

「オーガテイルレーザー!!」

ネイゼンは追い討ちとばかりに、六本の尾の先から太い光線を一斉に発射した。

「ぐあああっ!!!」

ビャクオウはダメージを受けるが、戦えないほどではない。瞬時に体勢を立て直し、今度は八人に分身して同時に襲い掛かる。

「ぬぇぇいッ!!」

再び横に一回転し、尾でビャクオウ達をなぎ払うネイゼン。しかし、ビャクオウは八人とも全員消えてしまった。つまり、本体がいない。なぜなら、ビャクオウ本体は再度迷彩をかけ、時間差で死角からネイゼンに迫っていたからだ。

(もらった!!)

ネイゼンはまだ攻撃後の体勢を維持したまま。この状態のネイゼンからなら、反撃を受ける心配はない。

「エンドオブファンタズマ!!」

ビャクオウはエネルギーを込めたホワイトスイーパーで、ネイゼンの胴を斬りつけた。しかし、

「腑抜けた技だな。」

必殺のエンドオブファンタズマはネイゼンを両断できず、それどころか傷一つ付けられていない。

「ちぃっ…」

ビャクオウは反撃されないよう素早く離脱し、

「舐めるなッ!!」

二十人に分身。

「ギャラクティックエンドブレイカー!!!」

光線を掃射した。

「…」

無言のまま受けるネイゼン。だが、これでも彼がダメージを受けることはなかった。

「やはり腑抜けた技だ。」

「…くっ…!!」

一瞬唖然となったビャクオウだが、まだ終わっていない。すぐさまネイゼンに次の攻撃を仕掛ける。今度はデビルズエイリアスで二人に分身しつつ、イリュージョンナイトメアを使ってネイゼンの感覚を惑わし、姿を消しながら分身と同時に仕掛ける。

「はぁっ!!」

分身は正面から、本体は右から、攻撃した。しかし、

「ぐっ…」

分身はネイゼンの六本の尾に全身を貫かれて消滅し、本体は拳を食らって吹き飛んだ。

「馬鹿な…なぜ私の戦法を見抜けた…!?」

気付けるはずがない。ビャクオウはそう思っていたのだが、ネイゼンの口から驚くべき理由が語られる。

「勘だ。」

「…は?」

「だから勘だと言っている。貴様が分身と幻覚を使ってくることは、読めていた。しかし、本体がどこからどのタイミングで攻めてくるかはわからなかったから、勘で殴った。それだけだ」

ネイゼンはビャクオウの戦術パターンから、攻撃の際に必ず分身と幻覚を併用してくることがわかっていた。だから目に見えているビャクオウが本物ではないというところまでは見抜けたのだが、ビャクオウの幻覚操作は完璧で、ネイゼンのレーダーを使っても本体の居場所を知ることができず、仕方ないから勘で攻撃したのだ。

「勘!?そんなもので私の戦法が破られたと!?」

「貴様にとってはそんなものでも、わしにとっては重要だ。わしは幼少期から並外れた強運を持っておってな」

もちろんネイゼン自身も、自分が倒れないよう、与えられた責務を完璧に遂行できるよう努力してきた。しかし、それだけではどうしようもないことがある。だが、そういった状況に直面する度に、彼は運に助けられてきた。気が付けば、もはや戦術として使えるほどの強運を身に付けていた。

「ヴァルハラに入る前、わしはとある国の将軍をやっておった。だが部下の謀反に遭って亡命するはめとなり、死にかけたのだ。あの時はさすがに命運が尽きたと思ったが、そこをミレイヌ様に助けて頂いた。そしてわしはヴァルハラの大将軍となり、ミレイヌ様を新たな主君として、我が一生を捧げる誓いをしたのだ。」

これが、ネイゼンがヴァルハラに入り、ボーグジェネラルとなった理由である。

「強運だけではない。わしには、決して負けられぬ理由がある。貴様にはそれがあるのか?命の全てを賭してでも、勝たねばならぬ理由があるか?ないのなら、貴様がわし勝つことは絶対に不可能だ!」

そこには強い、あまりにも強い決意が感じられた。その決意がネイゼンを、ヴァルハラの大将軍たらしめているのだと、ビャクオウは理解できた。

「…あります。」

しかし、ビャクオウもまた、譲れぬ覚悟を持つ。ゆえにヘブンズエデンに来た。

「私はまだ、あの時の答えを見つけていない。それを見つけるまで、私に敗北は許されない!!」

もう負けない。どんな手段を使ってでも、必ず勝つ。そしてビャクオウは、絶対に使いたくなかった手を、使う。

(ナイアルラトホテップ。聞こえますか?)

(ん。何だい?)

(…力を貸しなさい)

そう、ナイアルラトホテップの力を、イビルゴッドモードを使うこと。これが、ビャクオウの切り札であり、絶対に使いたくなかった手。何せ、あのナイアルラトホテップに借りを作ることになるのだから。

(確かに、あれは君の手には負えなさそうだね。わかった、じゃあちょっとまた身体を…)

(勘違いしないで下さい。私はあなたの力だけ借りたいと言ったのです)

(えっ?ああ、そういうこと…)

ビャクオウは、ナイアルラトホテップを憑依させるつもりはなかった。ただイビルゴッドモードさえ使えれば、それでよかったのだ。

(でもさ、君、本当にボクの力を使いこなせるの?制御に失敗すれば、多分この星は消えるよ)

(やってみせます。さっさと力を寄越しなさい)

(いいよ。けどその前にもう一つ…)

ナイアルラトホテップはすぐには力を貸さず、言った。

(お願いしますナイアルラトホテップ様。って言って?)

(…は?)

(君っていつも高圧的だよね。それが相手にものを頼む時の態度かい?ってこと。しかも君が話し掛けてる相手は神だよ?だったらこれくらいは言わなきゃ)

ここぞとばかりに上から目線。いつもいつも適当にあしらわれているので、その仕返しだ。が、

(あなたは何を言っているのですか?)

そこで従わないのがビャクオウの変身者、エリックである。

(あなたの方こそ勝手に私の身体を使っているではありませんか。その借りを返してもらっていません)

(それならこの前アザトースの精神を退散させたので返したじゃないか)

(一回だけです。まだ全ての借りを返してもらっていませんよ)

一番最初にナイアルラトホテップが憑依した時、アザトースの精神を退散させたのはナイアルラトホテップではなく、アンジェ達だった。それでまず貸し一つ。次にクトゥルフの復活を阻止したので、また一つ。その時にアザトースの精神を退散させてもらったので一つ返したが、その時ナイアルラトホテップはエリックに断りを入れず勝手に身体を使ったので、また一つだ。結果、借りは二つ残っていることになる。

(借りを二つも残しておいて敬語で頼めだ?筋も通してねぇくせにグダグダもったいぶってんじゃねぇよゴミ邪神が!つべこべ言わずに力を貸せ!!)

本性を現して要求するビャクオウ。

(…やれやれ。わかったよ)

ナイアルラトホテップはついに折れた。彼女にとってビャクオウは貴重な存在だし、こんな所で無茶をさせて壊すのはあまりにも惜しい。

(けど、この星を破壊しそうになったらすぐにでも憑依させてもらうからね。まだ地球に消えてもらうわけにはいかないから)

そう言い残して、ナイアルラトホテップはテレパシーを切った。とたんに、ビャクオウの身体に凄まじい力が流れ込む。

(こ、こいつは…!!)

今まで自分が扱ってきたビャクオウの力の数百倍。地球どころか太陽系、銀河系の破壊も確信できるというとてつもない力だ。ナイアルラトホテップがどれだけ恐ろしい神格かを再認識させられる。最強神のアザトースはこれのさらに上を行くというのだから、全くクトゥルフ神話は地獄同然だ。

(だが…!!)

これならネイゼンも倒せるとも確信できた。

「ぅぅううう!!!」

ビャクオウは己の力を解放し、解放された力はビャクオウの肉体を、その力を行使するにふさわしい姿へと変貌させる。ビャクオウ イビルゴッドモード。ただしナイアルラトホテップの憑依ではない、エリックのイビルゴッドモードだ。

「む!?」

これにはネイゼンも驚いた。

「てめぇ、さっきは自分が強運だとか言ってたな?」

ビャクオウは構わず、ホワイトスイーパーをネイゼンに向ける。

「だったら教えてやる!!てめぇの強運は、たった今尽きた!!」











ビッグデュエルは奪還が不可能な場合、破壊するよう命令されている。

「だが、簡単ではなさそうだ。」

アデルはビッグデュエルを見上げて呟いた。実はさっきビッグデュエルに突撃した時、エンドオブソウルも一緒に使っていたのだが、命中した部分には傷一つ付いていない。不意討ちの必殺技でさえ、ビッグデュエルを転倒させるのが限界だったのだ。

(アンジェのビーストクラッシュなら…)

そうも思ったが、今アンジェはレスティーと一緒にヘルポーンの殲滅に四苦八苦している。光輝とさだめもリクソンと交戦しており、余裕はなさそうだ。

(仕方ない…!!)

自分一人でやるしかないとわかったアデルは、イグニスドライブを発動。武器をチャウグナルファングに持ち替えて、

「ブラッディファング!!!」

斬り掛かった。ビッグデュエルは機関銃を収納し、拳を繰り出してくる。

「ぐっ…!!」

ぶつかるアデル。パワーで押し負け、後退した。

「さすが最新型といったところか…!!」

イグニスドライブとチャウグナルファングを併用したパワー戦法も通用しない。となれば、ワールドエンドブレイカーでコックピットを潰す。アデルはそれを実行するため、武器をプライドソウルに戻して、ブラスターモードに変更。エネルギーを込める。だが次の瞬間、ビッグデュエルの目が一度だけ強く発光し、胸部のコックピット、その両側にあったハッチが開いた。ハッチの中にあったのは、パラボラ。

「なっ!?」

アデルは直感で気付いた。このパラボラは、光線を発射するためのものだと。事実、レーダーがエネルギーの収束と圧縮を感知していた。だが、もう止まれない。

「ワールドエンド…」

アデルはプライドソウルに極限までエネルギーを込め、引き金を引いた。

「ブレイカァァァァァァァァァァァ!!!!」

それと同時にビッグデュエルの胸部からも、光線が放たれる。ビッグデュエルの最終兵器、デストロイスマッシャーだ。ワールドエンドブレイカーとデストロイスマッシャーはぶつかり合い、数秒の膠着後、ワールドエンドブレイカーを押し始めた。

「くっ…!!」

押しきられそうになったアデルは咄嗟にワールドエンドブレイカーの照射をやめ、よける。拮抗する相手を失ったデストロイスマッシャーは、アデルの背後にあったビルの上半分を消し飛ばし、数十km先の海を爆発させた。

「なんて威力だ…!!」

まともに喰らえば、クトゥルフサンクチュアリを使っていても大ダメージを受けていただろう。戦慄し、動きが止まっていたアデルは、レーダーが発したアラートに気付く。ビッグデュエルは背後からミサイルを発射し、アデルを攻撃していた。反応が遅れたアデルは防御も回避も炎化もできず、吹き飛ばされ、ビルの屋上に叩きつけられる。

「ぐあああああ!!!」

ミサイルの火力も相当なものであり、アデルはダメージを受けてイグニスドライブを解除される。

「ゲイル!!」

「俺に構うな!!大丈夫だ!!」

加勢に来ようとするアンジェを下がらせ、アデルはどうにか立ち上がった。

(だが、このままでは負ける!!何か手はないのか!?)

アデルの攻撃の一切が通用せず、パワーも凌駕されてしまい、もう打つ手がない。そう思っていた時だった。



ーーオオオオアアアアアアアア!!!ーー



アザトースの声だ。

「駄目だ!!お前は出てくるな!!」

アザトースに憑依されないよう必死で意識を強く保つアデル。イビルゴッドモードになれば間違いなくビッグデュエルを倒せるが、アザトースに支配されてしまえば地球を破壊してしまう。



だが、アザトースはいつまで経ってもアデルに憑依しなかった。



「ぐっ!?」

代わりにアデルを激しい頭痛が襲い、それっきりアザトースの気配がなくなってしまう。頭痛が治まった後、アデルは妙な感覚を覚えていた。

「何だ…?」

突然頭の中に情報が流れ込んできたのだ。

「フィアーズ…イクリプス…?」

今まで自分にはなかったはずの能力。その使い方が。

「ゲイル。今君の中に妙なデータが流れてきたようだが…」

エドガーから通信が入る。

「これは…まさか、アザトースが!?」

アデルにとって信じられないことだが、そう思うより他ない。アザトースがアデルの新しい力を送り付けてきたのだ。何かの罠かもしれないと思ったが、この能力はこの場を収めるのに最適な能力だった。

「使うしかない…!!」

アデルは、こちらに向けてデストロイスマッシャーの第二射目を放とうとしているビッグデュエルのもとへ飛んでいき、コックピットにあたるハッチに触れた。

「フィアーズイクリプス!!」

すると、アデルの手を通じて光がビッグデュエル全体に行き渡り、ビッグデュエルはエネルギーのチャージを中断して完全に沈黙した。


突如として目覚めたアデルの新しい力、フィアーズイクリプス。これは、アデルが触れた物質にアザトースエナジーとアデルの思念を送り込み、支配下に置くという能力だ。今アデルは自分の支配下に置いたビッグデュエルに命じて、暴走プログラムを破壊したのである。

「…どうやら罠ではなかったらしいな。」

アデルの身体に異常は起こっていない。とりあえず一安心だ。

「よし。俺もアンジェ達に加勢を…!!」

「その前に、お客さんらしいよ。」

「何?」

またエドガーから通信が入る。アデルが見てみると、新たに数百体のヘルポーン、七体のリバイバルソルジャー、そして、奪われたはずのビッグデュエル三機が、ジャンパーホールを通って出てきていたのだった。











「どうやら、我々の同士達も到着したらしい。」

リクソンは駆け付けてきた増援を見て言った。

「これだけの大部隊を動かすなんて…!!」

「一体何を考えているの!?」

光輝とさだめは尋ねた。

「知れたこと!!我らヴァルハラの存在を世に知らしめるためよ!!そのためには、より多くの破壊と死が必要なのだ!!」

今回現れたリクソン達の目的は、ヴァルハラの宣伝。世界中にヴァルハラに対する強烈なインパクトを刻み付けるため、ビッグデュエルを奪ったのだ。三将軍の一人まで動かしているあたり、この作戦の重要性が伺える。

「何てことを…光輝!あれをやろう!一刻も早くヴァルハラを止めなきゃ!!」

「よし!これ以上こいつらの好きになんてさせない!!」

さだめと光輝はヴァルハラの大部隊を全滅させるため、奥の手を使う。

「「疑似進化!!」」

二人は疑似進化し、パワーアップした。

「我らヴァルハラの崇高なこの作戦を、邪魔などさせんぞ!!」

光輝は羅刹刃を、さだめはヴォルテクスを使い、リクソンの斧と激しく打ち合う。

「はぁっ!!」

レスティーは小太刀を振り抜き、ヘルポーンを一体倒した。

「シャイニングフェザーストーム!!」

アンジェも必殺技を繰り出し、ヘルポーンを一掃する。だが、また新しく増えたこともあって、あまり効果がない。

「いすぎでしょいくらなんでも!!」

「危ない!!」

レスティーはアンジェを突き飛ばした。今二人がいた場所を、水の刃が切り裂く。今回現れたリバイバルソルジャーは、ハリー、ケイザム、ナズル、ニーダ、スクリーム、ディーネ、ラーキスの七体。

「あれ…前に倒したボーグソルジャー!」

「再生怪人ってやつでしょ。気を抜いちゃ駄目よ!」

レスティーは気合いを入れ直し、ディーネを斬りつける。しかし、ディーネは水に変身して攻撃を受け流してしまうため、ダメージがない。その間に別のリバイバルソルジャーが攻撃してくる。

「はぁっ!!」

アークスを剣に変化させてニーダを斬ったアンジェ。その直後にラーキスが背後からエネルギー弾で攻撃し、アンジェが避けた先にいたスクリームが光線を放つ。リクソンは他のリバイバルソルジャーやヘルポーンと協力して襲ってくるため、光輝とさだめも攻めきれない。ヘルポーンとボーグソルジャーでは、これだけ力の差があるのだ。しかし、劣勢もすぐに終わる。

「ウォリャァッ!!」

「ぐあっ!!」

リクソンは飛んできた何者かに蹴り飛ばされた。光輝がその者を呼ぶ。

「皇魔さん!」

そう、皇魔だった。

「皇魔!?どうしてここに!?」

「修行に来ていたのだ。お前達がさっさと片付けんせいで、わざわざ動くはめになったがな!」

レスティーの疑問に答えながら、皇魔はナズルとケイザムを殴り飛ばす。

「一気に終わらせるぞ!!」

覇気を身に纏う皇魔。纏った覇気は物質化して真紅の鎧となり、兜となり、仮面となり、皇魔の全身を覆いつくした。

「闘界覇神拳秘奥義・覇氣鎧装!!」

これぞ、覇氣鎧装。遂に秘奥義を体得したのだ。

「皇魔!あなた覇氣鎧装を!?」

「修行に来たと言ったはずだ!!」

皇魔は後ろから飛び掛かってきたヘルポーンを裏拳で殴る。大きく吹き飛んだヘルポーンは、数体の仲間を巻き添えにして爆発した。次に向かってきたのは、ケイザム。

「貴様の相手をするのは二度目だな!!」

皇魔は肘鉄一発でケイザムの頭を破壊し、残った身体を掴んでヘルポーンの群れに投げ込んだ。また爆発が起きる。

「だが弱い!!」

その後もナズルとハリーを、本来技を使わねば倒せないほどの耐久力を持つボーグソルジャー達を、ただの拳と蹴りで葬った。これが、覇氣鎧装を使った結果だ。覇気が内と外から皇魔を強化し、能力を引き上げる。ただし、これは運動能力を上げるための強化ではなく、パワーを高めるための強化だ。

「む」

皇魔にウォーターカッターが命中するが、彼の鎧には全く効かない。無論、覇氣鎧装で物質化した覇気は優れた防御力を発揮する。ただ物質化したのではなく、極限まで圧縮されているので、ウォーターカッターどころか獣哮武神拳でも切り裂けないのだ。

「覇道烈破!!」

反撃として覇気を放つ皇魔。覇氣鎧装を修得するということはそれだけ覇気の制御力が向上するということなので、威力も上がる。覇道烈破は一撃でディーネを消滅させた。

「私も負けてられないわね!忍法・暗影武装!!」

レスティーも暗影武装を発動させ、

「忍法・瞬獄殺!!」

ラーキスとスクリームを倒した。

「ほう、お前も暗影武装を…」

「修行してるのは皇魔だけじゃないのよ!!」

「私だって…ビーストクラッシュ!!」

アンジェもニーダを倒す。

「ぬ、ぬぅぅ…!!」

リバイバルソルジャーが全滅してたじろぐリクソン。数がいるとはいえ、ヘルポーンでは心もとない。

「行くよさだめさん!!」

「うん!!」

自分達も強くなったのだということを見せるため、光輝とさだめは技を放つ。

「「ダブルサンダースラッシュ!!」」

それは、互いの武器に電撃を宿し、同時に斬る技。

「ぐああああああああああ!!!」

とうとうリクソンも爆発した。

「その姿…使ったか。」

皇魔は二人の姿が少し変わっているのに気付き、これは自分達が渡した進化の宝珠の欠片を使ったためだと悟る。

「はい。でも、これならウォントとも戦えそうです。だから、気にしないで下さい。」

「…うむ。」

というより、今は気にしている場合ではない。こうしている間にも、ヘルポーン達は破壊と殺戮を続けているのだ。ビッグデュエルやネイゼンもなんとかしなくてはならない。

「蹴散らすぞ!!闘界覇神拳奥義・騎乗猛進撃!!」

皇魔は覇気を使い、象のような大きさの馬を作成。その上にまたがり、ヘルポーンの群れへと進撃する。真紅の馬、紅帝王こうていおうは次々とヘルポーンを踏み潰し、皇魔は笑いながら紅帝王を操る。

「うわぁ…なんかどっかで見たことある…」

「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!!」

「私達も行こう!!」

「うん!!」

若干引いたレスティー達だったが、すぐヘルポーンの掃討にかかる。











アメルダの銃撃を、まるで軽業師か何かのようにかわす空子。

「そういえば、あんたには一服盛られた借りがあったわね!」

思えば、空子に睡眠薬入りのミルクを飲ませたのはアメルダだった。

「ミルクのお代、払わなくちゃ!」

少し距離を置いた空子はエイボンブックに触れて、音声入力。

「ライフイーター!!」

データから変換され、粒子となって出てきたそれは、大口径の銃口が四つ付いたチェーンガンを構成する。ヘブンズエデンが開発した四連装対物チェーンガン、ライフイーターだ。

「おつりはいらないわ!!」

空子が引き金を引くと、通常のチェーンガンよりも大きなライフイーターの銃口から、専用の炸裂弾が雨のように打ち出された。アメルダは両手に銃を持って対抗してきたが、物量が違いすぎるため直撃を受ける。ちなみに、弾薬の収納は少し特殊で、どの弾薬をどの武器に使うかを設定しておくことができ、一度設定すれば、武器に装填してある弾が消費される度に自動的に装填される。対物チェーンガンとはいえ、アメルダはボーグソルジャー。そう簡単にダメージを受けたりはしない。しかし、六千発もの専用弾を、速射のアーミースキル付きで喰らえば、さすがにダメージを受けるだろう。

「ぐぅぅぅ…!!」

案の定、アメルダはダメージを受けていた。もう何百発喰らったかわからないが、六千発全弾を喰らえば間違いなく死ぬ。

「あああああ!!!」

仕方ないので、アメルダは奥の手を使うことにした。自分に向かって飛んでくる弾幕に、ショットガンを投げつける。ショットガンは砕けて爆発し、アメルダの姿が見えなくなった。アメルダの武器は破壊されると煙幕を発生させるのだ。一度空子の視界を塞いだアメルダは、弾幕をかわしてからピストルを抜き、空子の目の前に飛び出す。だが、アメルダの戦法を読んでいた空子は、もう次の武器を出していた。

「レシートもいらないから。」

それは、超大型のハンドキャノン。ヘブンズエデンが開発した、アイアンクエイクというハンドキャノンだ。

「ごぁっ!!」

仰向けに吹き飛ぶアメルダ。

「もうあなたにおごってもらうことはないわね。」

言いながらライフイーターとアイアンクエイクを収納し、ギガトラッシュを出す。確かに、もうおごってもらうことはないだろう。アメルダはここで死ぬのだから。

「ま、待って!!」

「待たない!!」

ギガトラッシュにはもう、レールガンアタッチメントが装着してある。空子はスイッチを入れて、引き金を引いた。

「ハウリングシュート!!!」

「ぎゃああああああああああ!!!!」

胸を貫かれたアメルダは爆発し、砕け散った。




「その鎌ぶった斬ってやる!!」

ビリーが剣についているスイッチを押すと、刃が高速振動を始める。通常時でもダークハンターを破壊できる切れ味を秘めた剣が、さらに切れ味を増してしまった。

「らぁぁぁぁぁ!!」

だが、狩谷はエルダーキングで普通に受け止め、エルダーキングも壊れない。揺らぎもしない。ハスターが説明した。

「神の武器は神にしか破壊できん。例えどれほどの威力を秘めた攻撃であろうとな」

「だそうだぜ!!」

狩谷はビリーを押し返し、斬り合う。

「くそっ!!俺がこんなガキ相手に…!!」

「そのガキを舐めるとどうなるか教えてやる!!」

狩谷はビリーから離れ、エルダーキングを自分の真上に掲げた。すると、空に変化が現れる。


空間に真っ黒な穴がいくつも空いたかと思うと、穴の中から何かが飛び出してきた。


アリとコウモリを掛け合わせたような、人間サイズの異形。


その名はバイアクヘー。ハスターの眷属だ。


「さっき意識を集中した時、エルダーキングから情報が流れて来たんだけどよ、こいつの持ち主はバイアクヘーの召喚と使役の権限を得るんだと。」

狩谷が言っていることは本当のようで、現れた十数体に及ぶバイアクヘー達は、狩谷の側に付き従うようにして寄り添い、一向に襲ってくる気配がない。おぞましい見た目をしているが、知性はあるようだ。

「さて、役者も揃ったところで、大合唱でもしてみるか!!」

狩谷がエルダーキングを振るとバイアクヘー達が飛び上がり、

「モンストルオペラ!!!」

もう一度振ると、口から一斉に電磁波を放ち始めた。バイアクヘーもハスターの歌が使えるのだ。「ぐおおおおああああああ!!!」

ビリーの全身を、猛烈な電磁波が襲う。

「ぐっ…そんなバケモンの力なんか…使いやがって…!!」

ビリーは悪態をつくが、狩谷は気にしない。

「お前も仕事のためにボーグソルジャーなんてバケモンになったんだろ?お互い様だよ。」

ハスターから力を与えられた自分は、はっきり言って人間なのか怪物なのかわかっていない。ハスターはああ言ったが、もしかしたら契約されて、怪物になっているのかもしれない。だが、今やるべきことは一つだ。

「まぁ何にせよ、お前を倒さなくちゃならないってことは変わらないけどな!!」

エルダーキングに宿したのは、風ではなく魔力。

「エクストリームエクスタシー!!!」

狩谷はエルダーキングを振り下ろし、光り輝く魔力の斬撃を飛ばし、ビリーの姿は見えなくなった。











「おおおああああ!!!」

ビャクオウはネイゼンに向けてホワイトスイーパーの一撃を放ったが、かわされた。しかし、間髪入れずに拳を繰り出す。

「ぬん!!」

ネイゼンはその拳を掴み取ると、さらに手刀を叩き込んで腕を切り落とし、後ろに放り投げた。

「脆い。遅い。弱い。パワーアップしてもその程度か」

「調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

「何?」

次の瞬間、切り落とした腕が破裂し、破片が全て無数の剣に変化して飛んできた。

「ちぃっ!!」

このためにわざと弱く遅い攻撃を繰り出したのだと気付いたネイゼンは、素早く剣を尾で弾き飛ばす。その間に腕の再生を済ませたビャクオウは、ネイゼンにエネルギー弾を発砲。

「ぬぅっ!!」

今までのエネルギー弾より遥かに威力の大きいそれを受けて、ネイゼンの動きがダメージで止まる。

「あああああああ!!!」

その隙を逃さず、先ほど以上の力を込めたホワイトスイーパーの一撃を放つビャクオウ。だが、

「うっ…!!」

検討違いの方向を斬ってしまった。ホワイトスイーパーからは衝撃波が飛び、その先にあったビルを破壊する。ネイゼンは距離を取った。

「まだ力をうまく制御できんようだな。やはりわしの命運は尽きておらんらしい」

確かに、ビャクオウはまだイビルゴッドモードの力を制御できていなかった。それが攻撃の方向、タイミングを誤らせたのである。

「威力は申し分ないが、当てられねば何の意味もないぞ。貴様とてそれは承知しておろう?」

「うっせぇんだよ死に損ないのジジイが!!」

口答えするビャクオウ。と、

「ネイゼン。」

ネイゼンの目の前にモニターが現れ、マヴァルが連絡してきた。

「ミレイヌ様からの命令だ。撤退しろ」

「撤退?」

「既に宣伝は果たした。それにミレイヌ様は大将軍たるお前を、あまり危険にさらしたくないそうだ。」

「了解した。」

通信を終わるネイゼン。

「というわけだ。わしは退かせてもらう」

「待ちやがれ!!」

ネイゼンはジャンパーホールを開き、ビャクオウが追い縋ろうとするが、ネイゼンは逃げてしまった。

「…ちっ!!」

舌打ちするビャクオウ。だが、今の彼にはまだやるべきことがあった。











ビッグデュエル三機を相手に戦うアデル。

「死ね!!メタルデビルズ!!」

今度の三機は自動操縦ではなく、ボーグソルジャーが搭乗しており、それなりに技術もあるのかただ数が多いだけなのか、アデルを追い詰めていた。アデル側の反撃方法はフィアーズイクリプスしかないのだが、触れてから対象の物質を支配下に置くまでは少しだけタイムラグがあり、その間に攻撃されてしまう。

「…こうなったら…!!」

アデルは攻撃をかわしながら打開策を考え、そして思い付いた。

「目には目を、歯には歯を…」

彼が向かったのは、自分が沈黙させたビッグデュエル。

「ロボットにはロボットだ!!」

アデルはビッグデュエルのコックピットに乗り込んだ。しかし、彼はロボットなど操縦したことがない。だが、それでもビッグデュエルを使う方法はあった。

「フィアーズイクリプス!!!」

自分の支配下に置いてしまうこと。それも、自分の手足のように扱えるほどにだ。アデルの全身からコードが伸び、ビッグデュエルのコックピット中に張り巡らされた。対象を自分の手足のように扱うほど強力な支配を行う場合は、こんな具合にコードを伸ばして対象の中に侵入させるのだ。

(ただ操るだけでは駄目だ。こいつを強化する!)

コードを介して自身の思念とエネルギーを大量に送り込むアデル。今彼はビッグデュエルの第二の動力となり、脳となることで、命を吹き込んでいるのだ。


同時に、ビッグデュエルの外観にも変化が現れる。ビッグデュエルのボディーが一部ずつ黒く変色し、形を変えて、そして最終的に巨大なアデルそのものへと変化したのだ。

「完成だ。名付けて、アデル ギガンティックデビルズ!!」

アデル ギガンティックデビルズは、巨大なプライドソウルを出して、敵のビッグデュエルが持つビームソードと斬り結んだ。しかし、今やビッグデュエルはアデルの身体そのものとなっている。思って操縦して動かさねばならないのと、思ったらそのままダイレクトに動かせるのとではどちらが強いか。比べるまでもないだろう。

「すごいすごい!!アデルロボだ!!」

ヘルポーンを蹴散らしながら大はしゃぎするアンジェ。

「あやつめ…また一歩強くなりおったか。」

皇魔もアデルが強くなったことを、少し喜んでいるようだった。

「エンドオブソウル!!!」

必殺技でビッグデュエルのコックピットを潰すアデル。

「ミ、ミレイヌ様ぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわああああああああ!!!」

「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

連続攻撃によって、ボーグソルジャーは全滅する。アデルの完全勝利だ。











「うっ…ぐっ…」

変身が解けたビリーは、片腕を押さえて苦しんでいる。

「終わりだな。今とどめ刺してやる!!」

エルダーキングを振りかぶって突撃しようとする狩谷。だが、

「余計なことしてんじゃねぇよ。」

そこへ、ビャクオウが来た。

「エリック…!!」

ビャクオウは狩谷を無視してビリーの前に立つ。

「…よお」

「…訊きたいことは一つだ。」

ホワイトスイーパーを突きつける。

「…なぜキャスリン王女を殺した?」

「お前の口からそんな質問が飛び出すとは思わなかったぜ。」

展開していくホワイトスイーパーを見て、自分はもう助からないと知りながら、ビリーは話す。

「俺が傭兵で、そういう仕事を任されたからさ。傭兵が戦うのに理由はそれだけだって、お前自分で言ってたじゃねぇか。」

命じられた任務を遂行しただけ。陰謀も何もない、シンプルな答えだった。

「…そうだったな。じゃあ、死ね。てめぇの面なんざもう見たくもねぇ」

ビャクオウはホワイトスイーパーにエネルギーを込めた。あとは、引き金を引くだけ。

「…あの世でキャスリンに言っとくぜ。エリックは元気だってな」

死ぬ直前だというのに抵抗せず、ビリーは軽口を叩くだけ。

「黙れ」

ビャクオウはそれを一蹴してギャラクティックエンドブレイカーを放ち、ビリーを細胞一つ残らず消滅させた。



三年間続いた因縁は、今ここに幕を閉じたのだ。











クルセイドキャッスル。

「ただ今帰還しました。」

ネイゼンが帰還してきた。

「おかえりなさいネイゼン様。」

「よくやってくれましたね。」

いつも通り、ミレイヌの側で寝そべるフィス。ミレイヌはフィスを撫でながらネイゼンをねぎらう。

「ヘルポーンもボーグソルジャーもリバイバルソルジャーも全滅。ビッグデュエルも奪い返されましたが、これでよろしいのですか?」

マヴァルはミレイヌに尋ねたが、

「ええ。これでいいのです。これで…」

ミレイヌはいいと言う。今ヴァルハラは、最終計画に向けて可能な限り戦力を増強しなければならないのだ。今回の宣伝でヴァルハラの力を知った多くの犯罪者やテロリストが、ヴァルハラに干渉してくるだろう。ビッグデュエルのデータも取れたので、結果的にはプラスになる。

「これでまた、計画の成就が近づく…」

そう語るミレイヌを、

「…」

ゴーザは黙って見ていた。











狩谷はバイアクヘー達を帰し、エルダーキングを黄の印に戻して、ハスターに返した。

「やっぱ返すわ。薄気味悪いし」

だが、

「遠慮するな。」

と押し返された。返されたとはいえ狩谷は黄の印を手放すことができたので、やはりハスターは本当に狩谷に力を与えるつもりらしい。

「何で俺に力を貸してくれるんだ?」

狩谷はハスターに訊く。

「…俺もお前のように、女のために戦ったことがある。」

「それって、シュブ=ニグラスか?」

「そうだ。」

シュブ=ニグラスとはクトゥルフ神話に登場する邪神で、多くの神を生み出した女神だ。ハスターと恋仲になったというエピソードもある。ナイアルラトホテップに並ぶ強大な力の持ち主で人化も可能だが、ハスター以上に人化が下手で、人化すると力も知能も人間並みに落ちてしまう。恐らく、その時彼女を守るために戦ったのだろう。ハスターは狩谷とその時の自分を重ねていたのだという。

「俺はしばらく行方をくらます。お前はあの女を守ってやれ」

ハスターは一迅の風とともに、いずこかへと消えた。狩谷はゲイル達のもとへ戻り、今あったことを、自分が空子が好きだということを隠して話す。

「まさかハスターまでいるとはな…」

「クトゥルフがいるって聞いた時からそんな予感はしてたけど…」

「実際にいるってわかると、ね…」

ゲイル、アンジェ、レスティーの三人は、かなり衝撃を受けたようだった。

「そういえばエリックは?」

「もう帰っちゃったよ。」

光輝がさだめに聞いたところ、エリックは一足先に帰ったらしい。

「あの野郎…」

怒る狩谷。

「狩谷、エリックを許してあげて。」

空子が狩谷をなだめた。

「確かにあたしはエリックに弱いって言われたけど、それって事実だし、反論もできない。」

「空子…」

「でも、あたしももっと強くなる。弱いって言わせないようにするには、あたし自身が強くなるしかないの。エリックはそれを教えてくれただけ。だから…」

「…わかったよ。お前に言われちゃしょうがねぇ」

「ゲイルも、いい?」

「…ああ。お前が言うなら」

こうして、ゲイルと狩谷はエリックを許すことになった。

「何があったか知らんが、俺は今から荷物を取りに帰る。次は休み明けで会おう」

荷物を取りに戻る皇魔。

「…あっ!!レポート!!早く帰らなきゃ!!」

夏休みの宿題のことを思い出し慌てるアンジェ。一同はヘブンズエデンに戻り、ゲイル達は最後の宿題に取り掛かった。光輝達もそれぞれ帰り、登校の準備を始める。ちなみに、ビッグデュエルは全て元の施設に戻され、アデルに変化したビッグデュエルはちゃんと元の形に戻しておいた。





中国の路地裏。

「まったく…あんまり派手に動かないでって言ったろう?」

魔術で現れたナイアルラトホテップが、ハスターを諫めていた。ずっと見ていたのだ。

「あんなに派手なことしたら、旧神達に気付かれちゃうよ。」

「俺には俺の考えがある。お前は何も心配するな」

「考えって?」

ナイアルラトホテップから訊かれ、ハスターは説明する。

「奴には俺の力を込めた黄の印を渡した。それが陽動になってくれる」

狩谷に自分の姿を重ねていたというのは本当だが、邪悪の皇太子と恐れられたハスターがそんなことで人間に、しかも無償で力を与えるなどということはしない。ハスターは旧神達の気を引く囮として、黄の印を渡したのだ。

「なるほどね。やっぱり、君を復活させてよかったよ。」

「わかったら行け。お前を見ていると不愉快になる」

「はいはい。」

ナイアルラトホテップは消えた。

もしかしたら、狩谷は旧神達に狙われるかもしれない。アザトースやナイアルラトホテップの力を使うゲイル達も。だが、

「…奴らがどうなろうと、俺には関係のない話だ。」

ハスターはやはり邪神なのだった。











数日後、空子は狩谷を呼び出した。

「話って何だ?」

「…いろいろ考えたんだけど、やっぱりあたし、ゲイルを諦めたくない。」

「…」

覚悟していた答えだった。それはそうだ。思ってもいない相手からいきなり告白されたら、誰でもそうなる。しかし、話にはまだ続きがあった。

「でも、狩谷の気持ちも無下にできない。あたしにとっては狩谷も大切で…だから、もう少し待って欲しいの。ちゃんと決心が着くまで…」

空子も空子で、狩谷のことは考えていた。

「…ああ。待ってる」

狩谷はそれが堪らなく嬉しかった。例えこの気持ちが無意味なまま終わっても構わない。空子が自分を大切な存在だと思ってくれているのなら、それでいいのだ。




明日は始業式。新しい日々が始まる。きっと今まで以上の何かが待っているだろう。



しかし、彼らは進み続ける。



その何かが欲しいから…。




次回は座談会です。裏話などもしますので、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ