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イグニスドライブ PART5

今回でサブタイトルの意味がわかります。

「忍法・猛吹雪の術!!」

レスティーは爆弾に両手をかざす。すると手から吹雪が発生し、爆弾を瞬く間に凍結させていった。

「…よし、凍結完了!これでもう基地の戦力がゼロになっても爆発することはないわ!おもいっきりやっちゃって!」

無線で凍結完了を伝えるレスティー。基地の戦力はもう僅かになっており、制圧までは三分とかからなかった。制圧後、一同は合流する。

「なんとかなったな。」

「ええ。」

先にたどり着いたのは狩谷と空子。

「こっちも終わったよ。」

「ヘルポーンも自動防衛システムも、全部壊した。」

少し遅れて、光輝とさだめが来る。

「だが、まだ肝心な相手を倒せておらん。」

次に皇魔が現れ、

「ボーグソルジャーダース。本当は全員係りで確実に倒したかったんだけど…」

最後にレスティーが合流した。

「…あいつに任せるしかない。」

狩谷は、今友が死闘を繰り広げているであろう空を見上げる。宇宙で戦っているので、当然ここからでは見えない。

「大丈夫よ!二人とも、絶対に帰ってくるわ!」

空子も、二人の帰還を信じて空を見る。

「…そう信じるしかあるまい。」

皇魔の意見に同意し、一同はゲイルとアンジェの帰りを待つことにした。













エドガーがアデルの通信回路に連絡を入れる。

「今リミッターを一つ解除した。その程度の相手なら簡単に倒せるはずだ」

「!?」

アデルはまだリミッターが残っていたことに驚く。

「とっくに全部解除されたと思っていたが…」

「今の君では、まだ全てのリミッターを解除したアデルの力は制御できないよ。」

エドガーの説明を聞き、アデルは自分に秘められた力の大きさに戦慄した。

「とにかく助かる!」

リミッターを解除されたことでパワーアップしたアデルは、今まで敵わなかったダースと互角の勝負を繰り広げる。

「なぜだ!?なぜそうまでして貴様はあの女を救おうとする!?アンジェ・ティーリは人間ではない!!貴様らとは決して相容れない存在なのだぞ!?」

ダースはアデルの攻撃を受け止めながら質問した。対するアデルは攻撃しながら返答する。

「アンジェが人間かどうかは関係ない!!俺はアンジェを救いたいと願った!!だからここにいる!!それだけだ!!」

そして、ダースを蹴り飛ばす。

「ぐっ!!願いだと?思い上がるな愚か者めがぁぁっ!!!」

少しだけ距離を離されたダースだが、両腕を剣に変えて斬りかかってきた。アデルはそれをチャウグナルファングで受け止める。

「貴様は所詮傭兵!!我らと同じく多くの命を手にかけてきたはずだ!!そんな存在の貴様が今さら何かを願うことなど、許されるわけがない!!」

ダースは左腕をキャノン砲に変化させ、零距離から撃つ。アデルは咄嗟に離れ、さらにクトゥルフサンクチュアリを使うことでダメージを軽減した。

「ならこれは…俺の任務だ!!」

チャウグナルファングをプライドソウルに変えて再度斬りかかるアデル。

「任務だと!?貴様どういうつもりだ!?」

ダースはそれをかわしながら尋ねた。

「任務とは願いがあるからこそ生まれるもの!!願うことが許されないのなら、俺はこの願いを任務に変えてアンジェを助ける!!」

答えつつも、アデルは攻撃の手を緩めない。

「黙れ!!貴様ごときに俺は倒せん!!」

「くっ…!!」

リミッターが外れ、確かにアデルは強くなった。だが、ダースの力は予想以上に強く、押しきれない。

(相討ちに持ち込んででも…!!)

自爆戦法すら決意するアデル。



だが、その必要はなかった。



巨大なエネルギー弾が直撃し、ダースを吹き飛ばしたからだ。



「うがあっ!!」

ダースは突然の攻撃にバリアも張れず、ダメージを受ける。アデルはエネルギー弾が飛んできた方向を見た。




エネルギー弾を撃ったのは、アンジェだった。




だが、今の彼女の両頬には、炎のような形をした赤い刺青が浮かび、背中には美しい純白の翼が生えて光を放っていた。




これが、エンゼリオンの外見上の特徴である。アンジェは自分の力の封印を解き、本来の姿になったのだ。




「ごめんね、ゲイル。私は自分が嫌いで、ずっと逃げてた。本当の自分を、誰にも見せたくないって思ってた。」

まさしく天使のような美しい姿で、アンジェは言う。

「だけど、もう逃げない!!私も戦う!!」

アンジェが手をかざすと、両刃の剣が現れた。


この剣は、アークスである。アークスとは本来、状況に応じて様々な形状に変化させることができる万能兵器で、アンジェの母が持っていた。アンジェは母が死ぬ間際に、母から受け継いでいたのだ。普段はアンジェの中にあり、いつでも取り出すことができる。今まで彼女はそれを隠すため、チャクラムとしてだけ使い、打撃だけで戦っていた。だが、もうそれを隠す必要はない。

「馬鹿な!!貴様は力を使えないはずだ!!」

狼狽するダース。

「それは今までの話。でも、これからの私は違う!!ゲイルが信じてくれたから、私は過去を乗り越えられたの!!」

アデルが、ゲイルが受け入れてくれたから、アンジェは自分のコンプレックスを乗り越え、戦う決意をしたのだ。

(まずい!!もし本当にあの女が戦えるのなら…!!)

エンゼリオンの力の恐ろしさは、いつもミレイヌから聞かされている。そして、アンジェはその力を使った。

「はっ!!」

離れた場所から一瞬で接近し、ダースを斬りつけたのだ。エンゼリオンの能力の一つ、瞬間移動である。

「ぐああ!!」

「まだまだぁ!!」

さらにエンゼリオンの能力、超加速を使い、自分のスピードを上げてダースを追い込んでいく。

「アンジェ…お前はこんなに強かったのか…!!」

アデルはアンジェの戦いぶりを、ただ呆然と見ていた。リミッターを外しても押しきれなかったダースを、アンジェは完全に圧倒しているのだ。だが、

「ぐっ!!」

ダースの攻撃をかわした瞬間、アンジェが苦痛に顔を歪めた。

「!!」

ダースはそこに勝機を見出だし、後退する。

「逃がさない!!」

急速に距離を離すダースを見て、アンジェは両翼を大きく広げた。

「シャインニングフェザーストーム!!!」

そこから光る羽が無数の弾丸となって発射される。ただの羽と侮るなかれ。この羽は一枚一枚がアンジェの力によって強化されており、頑丈な肉体を持つボーグソルジャーでさえ瞬時に穴だらけにしてしまえる威力を持っているのだ。


だが、ダースもただのボーグソルジャーではない。バリアを展開し、アンジェの攻撃を一発も残らず防いでしまう。

「見つけたぞアンジェ・ティーリ!!貴様の弱点を!!」

ダースが見つけたアンジェの弱点。それは、アンジェが長い間自分の力を封印していたことだ。そのため彼女の肉体にはブランクが起きており、いきなり目覚めた全力に対応しきれていない。このまま続けていては自分の力に耐えられず、潰れてしまう。少しずつ慣らしていれば、こうはならなかったのだが…。

「貴様を生け捕りにするよう命令を受けているが、こうなっては仕方ない。ヴァルハラの脅威となる前に、貴様はここで殺す!!」

言うが早いか、ダースはアンジェに襲い掛かった。どうやらまだ全力ではなかったらしく、攻撃が今まで以上に激しい。

「くうぅっ…!!」

アンジェも徐々に圧されていく。

「まずい!!」

加勢しようとするアデル。その時、エドガーから連絡が入った。

「戦闘の反応が続いているが、まだ倒せないのかね?」

「ああ。ダースは俺が思っている以上に強かった。リミッターをもう一つ解除してくれ!」

「もう一つって…十分勝てるはずだよ?」

「勝てないから言っているんだ!!」

解除してくれないエドガーに、アデルは苛立ちを感じる。

「おかしいな…イグニスドライブはちゃんと発動できるはずだが…」

「…何?」

エドガーが聞き覚えのない単語を口にした。

「イグニスドライブ?何だそれは?」

「おや?まだ使っていなかったのかね?リミッターを外したから使い方もわかるはずだが…ああ!」

「どうした!?」

「ごめんごめん。使用法のデータは別途で転送する必要があったんだ。何せ、強力すぎるからね。」

彼の話を要約すると、こうだ。今リミッターを解除したことで、イグニスドライブという能力が使えるようになったらしいが、強力すぎるため使用方法のデータは分けて保存していた。

「今送るよ。」

「…!!」

転送されてきたイグニスドライブの使用方法。

「さあ、使いたまえ。」

「…ああ。」

使い方がわかったアデルはアンジェを救うため、能力の使用を宣言する。



「イグニスドライブ!!!」



爆発的に上昇するアデルのエネルギー。

「何だこのエネルギーは!?」

「!!」

ダースとアンジェも反応して振り向く。すると、アデルの右腕が赤く、左腕が黄色く、それぞれ変色した。



イグニスドライブとは、クトゥグアドライブとハスタードライブの同時発動のことだ。炎と風。二つの力が同調して互いを高め合い、アデルの能力を通常時の三十倍近く上昇させる。だが、

「凄まじいな…!!」

エネルギーが高すぎて制御が難しい。

「大丈夫かい?今思い出したんだが、元々イグニスドライブ使用方法のデータを分けていたのは、リミッター解除後の力に十分慣らした上で使わせるという理由があったからね…今の君ではまだ難しいかな?」

「平気だ!!一分もてばいい!!」

エドガーとの連絡を切り、

「うおおおおおおおおおおお!!!」

アデルは雄叫びを上げながらダースに挑んだ。

「チィッ!!!」

ダースは舌打ちしてブーメランブレードを装備し、アデルを迎え討つ。だが、アデルはブーメランブレード二本を、たったの一撃で破壊してしまった。

「何!?」

「おおおアアアアア!!!!」

さらに、ダースの身体を斬る。

「ウウッ!!!」

今のアデルはイグニスドライブの制御に手一杯で上手く狙いが定められず、直撃せずにダースの身体をかすった。

「おおっ!!?」

しかし、かすっただけでもダースには大きな裂傷ができる。

「くっ!!」

うかつに接近戦を仕掛けるのは危険と判断し、ダースは距離を取る。

(パワーは十分!!一撃でも確実に当てられれば、ダースを倒せる!!だが…!!)

今こうしている間にも、イグニスドライブは解除されそうだった。

「ゲイル、大丈夫!?」

そこへ、アデルの姿を気遣ったアンジェが寄ってくる。

「…アンジェ。奴の気を引いてくれ」

「えっ?」

「奴を倒すには、このイグニスドライブを使うしかない。だが制御が難しくてな、今にも解除されそうなんだ。俺が一撃当てれば、それだけで奴を倒せる。その一撃を当てるための隙を作ってくれ!」

アデルもアンジェも、長くはもたない。そして、どちらが潰れてもこの戦いには負ける。だからこその、一撃に全てを賭けた作戦。

「…うん、わかった。ゲイルが言うなら!」

アンジェは、その作戦に乗ってくれた。

「決めよう!これで!!」

アークスが、弓の形状に変化する。弓となったアークスに、アンジェはエネルギーを圧縮した光の矢をつがえた。

「面白い!!ならば、終わらせてくれる!!」

それを見て、ダースも勝負に出る。両腕を前に向けて合わせ、一つの巨大なキャノン砲に変化させたのだ。

「…!!!」

アデルも自身のエネルギーをプライドソウルに込めていく。



流れる沈黙。先に破ったのは、ダースだった。

「消し飛べぇぇぃっ!!!!」

キャノン砲から、超弩級のエネルギー弾が発射される。対するアンジェは光の弦を引き絞り、


「プラチナアローシューティング!!!」

矢を放った。光速で飛んでいく矢はエネルギー弾を破り、ダースに迫る。

「ちっ…だが!!!」

ダースはバリアを展開して、矢を防いだ。

「遠距離攻撃は効かんぞ!!!」

ダースが使うバリアは、ラーキスが使っていたものを強化したタイプ。それゆえ、遠距離攻撃に対しては無敵と言えるほどの防御力を発揮する。



しかし、このバリアは弱点を残したままだった。



遠距離攻撃には反応するが、近距離攻撃には反応しないのだ。


アンジェはそれを知っていたから、遠距離攻撃を使った。これを防がせれば、必ず隙ができるからだ。


そしてその隙を突いて、アデルは既に接近していた!


「なっ!!?」

驚くダース。だが、もう遅い!!

「エンドオブ…!!!」

プライドソウルはダースの胴体の芯を捕らえ、

「ソウル!!!!」

真っ二つにした。

「ぐあああああああああああああ!!!!!」

上半身と下半身に割られたダースは爆発する。その爆発がまずかった。爆発によって吹き飛んだダースは地球の引力圏内に入ってしまい、大気との摩擦で燃えながら、さらに爆発しながら落ちていく。絶叫を上げて落ちていくダースの姿は、やがて見えなくなった。


「…うっ!」

とうとう起動を維持できなくなり、アデルはイグニスドライブを解除する。

「んっ!」

アンジェも元に戻ってしまった。だが、それを気にする必要はない。二人は勝ったのだから。ダースはもういないのだから。

「…やったね。」

「…ああ。お前もよくやってくれた」

互いの健闘を讃え合うアデルとアンジェ。

「…みんな、本当に私を受け入れてくれるのかな?」

戦いには勝ったがアンジェにはまだ気掛かりなことがある。仲間達に自分が人間ではないと知られてしまったことだ。

「…大丈夫だ。俺がなんとかする」

しかし、ここにはアンジェにとって最大の味方がいる。アデルであるゲイルさえいれば、誰も文句は言わないだろう。

「あり…がとう…」

礼を言って、アンジェは気を失う。久々に全力を使って疲れたのだ。

「よく頑張ったな、アンジェ。」

アデルはアンジェを抱き締め、頭を優しく撫でてやる。それからクトゥルフサンクチュアリを展開し、大気圏に突入。二人は仲間達の元へ戻った。二人の帰りを心待ちにしている、仲間達の元へと…。













「…ダースの反応が消えました。」

ゴーザは呟く。

「まさかダースが敗れるとは…よほど力を付けてきているようだな。」

ダースの実力をかなり買っていたネイゼンは、そのダースを打ち倒してみせたアデルの力に危機感を覚えていた。

「…安らかに眠って下さい。我が兵士よ」

また一人兵士を失ったことに心を痛め、仮面の下で黙祷するミレイヌ。


すると…


「ずいぶんと傷心の様子だな。ミレイヌ殿」


眼鏡をかけた神父風の男が、ミレイヌを訪ねてきた。

「あなたは…!!」

ミレイヌの側に寄り添っていたフィスは、現れた者に驚く。

「…イズマ殿。デザイアの副首領自ら来て頂くとは…一体どうなさったのです?」

ミレイヌは神父風の男、イズマの名を呼んだ。

「ようやく準備が整ったので、これからは本格的にそちらのサポートができるようになったと伝えに来たのだ。」

「そうですか、わざわざ申し訳ありません。」

「話はそれだけだ。我は多忙ゆえ、もう戻る。息災でな」

イズマは用件だけ伝えて、さっさと帰っていった。

「…何が多忙だ!今まで我々が失敗するのを待っておったくせに!」

イズマが帰ってから、マヴァルは陰口を叩く。

「そう怒らないで下さいマヴァル。」

「しかしミレイヌ様!!」

「確かに、デザイアは我々が失敗するのを待っていました。ですが、これで彼らから本格的な助力を得られるのです。この程度は屈辱のうちに入りませんよ」

ミレイヌはデザイアの首領の魂胆を見抜いていた。だからこの時が来ても、悔しくも何ともない。

「それに完全な失敗というわけでもありません。エンゼリオンのデータは手に入ったのですから」

ダースがアンジェからデータを読み取るために使っていた装置。あれで読み取ったデータは、全てこのクルセイドキャッスルに送られていたのだ。ダースはデータの読み取りが終わったことに気付いていなかったが、これでアンジェを生け捕る必要はもうなくなった。

「これでようやく計画を進めることができますね。」

フィスはミレイヌの顔を見て喜ぶ。

「ええ。我々の最終計画、『クロノ・クライシス計画』を…」

ミレイヌも、仮面の下で笑っていた。悲願の成就が近付き、嬉しくてたまらないといった感じで。

(そう、計画の成就が近付いたからこそ、用心せねばならん)

だが、彼は、マヴァルは気が気でなかった。

(一刻も早く始末しなければ…アデルとエンゼリオン。そして…あの男を…)

ダースを倒した二人と、最近ヴァルハラの拠点を次々に陥落させている、とある男の存在を、その男が戦闘時に浮かべる薄ら笑いを思い出す。



マヴァルは、密かに震えていた。













戦いの後、アンジェを蔑む者は誰もなく、むしろ仲間達は前よりも彼女を受け入れるようになっていた。ようやく自分達を信用してくれた、と喜ぶ者もいる。


そして、いつもの帰り道。

「私ね、パパに言われたの。お前はママの力を受け継いでるんだから、そのことに誇りを持たなくちゃいけないぞって。」

アンジェは、父に言われたことを語る。

「でも私は、どうしても誇りなんて持てなかった。邪魔だとさえ思ったくらい」

それは邪魔だったろう。ただ普通を望んでいるのに、こんな力を与えられては。挙げ句友人に怪我までさせたのだ。

「…けどわかったの。世界には、こんな私でも受け入れてくれる人達がいるって。だから…」

アンジェは振り向く。

「改めて、これからよろしくね!」

振り向いて、握手を求めた。

「ああ。こちらこそ、よろしく頼む。」

まず握手したのは、ゲイル。

「よろしくな!もう隠し事なんてするんじゃねぇぞ?」

次に狩谷が握手し、

「もちろん、あたしはアンジェを受け入れるわ。」

最後に空子が握手した。

「まだ決着だってついてないしね。」

「うん!」

意中の彼を巡った戦いの約束も。

「…何の話だ?」

ゲイルは意味がわからず、狩谷を見た。

「…さあな。自分で考えろよ」

しかし、狩谷は教えない。

「帰ろっ!」

アンジェを先頭に、一同は帰路につく。明日からは、また任務に挑む日々だ。



だが、彼らはきっと乗り越えていくだろう。



ゲイルとアンジェが、互いの過去を乗り越えたように。



二人はもう、孤独を感じてはいなかった。















夜。どこかの街の路地裏で、呻く者がいた。


ダースだ。上半身だけになっても、まだ生きている。だが、その姿は人間のもの。ゲイルがやったように、ダースもまたオーバーロード現象を起こしていたのだ。


(発信装置と通信機能が壊れてしまった…これでは救援は期待できない…だが…)

ダースには、まだ明かしていない能力があった。再生能力だ。ラーキスのものとはまた別の再生能力で、オーバーロードのせいで再生も遅いが、一日もあればほぼ再生は終わる。そうすれば、クルセイドキャッスルへの帰還が可能だ。そして、帰ったあとは自分をさらに強化改造するつもりでいる。

「まだ…終わらんぞ…必ず…貴様らを…!!」


だが、それは果たせなかった。


目の前に、足があったから。


「あ?」

間の抜けた声を出して、足の持ち主の顔を見ようとダースが顔を上げた時、



サクッと音がして、ダースの顔の中心に何かが刺さった。



刃物の刃だ。それから、なぜか銃口も見える。ダースの顔に刺さっているものの正体は、ガンブレード。だが、ゲイルのものとは違う。プライドソウルは射撃機能を潰してあるが、このガンブレードは銃口が見えるから、それを潰していない。それにプライドソウルはリボルバー式だが、こちらは自動拳銃型だ。



で、そこまで見えたということは、当然顔も見えたことになる。自分にガンブレードの刃を突き刺している者の顔を見て、ダースは恐怖に震えた。思わず、その者の名を呼ぶ。



「エリック!!エリック・アンダーソン!!!」



最近いくつもの拠点を潰している、ヘブンズエデンでも最強と謳われる訓練生、エリック・アンダーソン。それが、今ダースの目の前にいた。

「…ゴミが私の名を呼ばないで下さい。不愉快です」

対するエリックは心底不機嫌そうに答えたあと、ガンブレードの引き金を引いた。


発射された弾丸はダースの頭を吹き飛ばし、残った身体は情報隠蔽のために起爆する。



至近距離から爆発に巻き込まれてもなお無傷なエリック。だが、

「!」

愛用している白いコートが、埃で汚れてしまった。

「まったく…ゴミは何をどうしてもゴミですね。」

よく払って、埃を落とす。

「さてと、報告を兼ねて、一度ヘブンズエデンに戻りましょうか。」

エリックがガンブレードから手を放すと、ガンブレードは光の粒子になって消えた。

「…」

それを確認してからエリックは思い出す。久しぶり戻るヘブンズエデン。そこで自分を敗北させた、唯一の人間。

「ふ…ふふ…はははははは…」

思い出して、笑いが込み上げてきた。そして、憎しみを込めた目で、こう呟く。



「もうすぐ会えますよ、ゲイル。」






エンゼリオン


かつて栄えていたという古代生物。次元跳躍や空間転移などの超絶的な力を持ち、どんな過酷な環境にも瞬時に適応できる。それゆえに、超越種族、次元を旅する種族とも呼ばれている。身体的特徴は、天使のような翼と、炎のような形の赤い刺青を両頬に持つというもの。アンジェはこの生物の母と人間の父の間に生まれたハーフで、母の特徴を色濃く受け継いでいる。また、彼女の武器、アークスは元々彼女の母の持ち物で、普段は彼女の中にあり、必要に応じて自在に形状を変化させる万能兵器。



シャイニングフェザーストーム


翼から光る羽を無数に飛ばすアンジェの技。羽は一枚一枚がアンジェの力で強化されており、ボーグソルジャーさえ一瞬で蜂の巣にする。



プラチナアローシューティング


アークスを弓に変化させ、エネルギーを圧縮した矢を放つアンジェ最強の技。



砕滅轟波


皇魔の技。両手から覇気を放ち、眼前の敵を滅する。



炎鬼童の術


レスティーの技。炎でできた鬼を出して暴れさせる。



鉄大砲の術



レスティーの技。土で大砲を生み出し、鉄製の砲弾で敵を殲滅する。



大津波の術


レスティーの技。津波を引き起こして、敵を洗い流す。水のない場所でも使用できる。



猛吹雪の術


レスティーの技。吹雪を引き起こして敵を凍結させる。



エレクトリックバイト


光輝とさだめの技。武器を地面に突き刺して放電し、周囲の敵を一掃する。二人で協力して使うことでより広範囲を攻撃可能。



イグニスドライブ


クトゥグアドライブとハスタードライブを同時に起動する能力。二つの力が同調して互いを高め合い、アデルの能力を三十倍近く上昇させる。強力だが制御が難しく、リミッターの解除と使用法のデータ解禁は分けられていた。これはリミッター解除後の力に十分慣らしてから使用するためである。なお、これを発動するとアデルの右腕が赤く、左腕が黄色く変色する。




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