表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/16

採取は計画的に

 

 その後再び接敵する事はなく、今回の目的地である川辺へと辿り着いた。後は川の上流に向かって行くだけだ。ダリアに護衛の依頼を出す際に『清めの白草』の特徴を伝えたのだが、どうやらダリアには心当たりがある様だった。


「それにしても……どうして場所を覚えてたの?」

「花を愛でるのも騎士の嗜みだからね。ちょうどリラの教えてくれた特徴の花の群生地を覚えてたのさ」

「群生地……たくさんあるといいなぁ」

「そうだね。でもそれより先に篭が一杯にならない様に気をつけた方がいいかもしれない」

「あはは……、つい気になる素材が目に入っちゃって」

 

 マーレからは素材を長期的に保存するための方法も教わっていた。今回の探索でなるべく多くの素材を持ち帰っておきたかった。


「それにしても……素材の『声』が聴けるというのは随分興味深いね」

「ごめんね、ずっと黙ってて」

「気にする事はないさ。誰だって秘密の一つや二つあるものだよ」

「ダリアも?」

「もちろんだとも」


 軽口を叩きながら川の流れに逆らって上流へと進んでいく。進んでいくにつれて空気が澄んでいる様に思える。もしかすると、『浄化の魔力』の影響がこの辺りにも及んでいるのかもしれない。


「……妙だな」


 唐突にダリアが呟いた。


「どうしたの? まさかまた魔物?」

「いや、その逆だ。魔物が少なすぎる」


 初めて『静寂の森』にきたリラには分かるはずもないが、群生地を覚えている程何度も『静寂の森』に来ているダリアが言うなら事実なのだろう。


「少ないならいいんじゃない……?」

「あながちそうとも言い切れないが……少なくとも今現在森は静かだし、仮に何か不測の事態が起きているにしても今すぐ私たちに影響する、という事はなさそうだね」

「じゃあ少しだけ急ぐ?」

「……そうしようか」


 ダリアの勘を信じて、少しだけ速度を上げる事にした。慣れない地形に少し足を取られる事はあったが、特に何事もなく目的の群生地へと辿り着いた。


「綺麗……」


 目の前に『清めの白草』の群生地が広がっている。高さは脛の辺りまでしかない『清めの白草』が白い花を咲かせていた。美しさはもちろん、空気も感覚で分かるほど清らかだった。


「どうだい? これで合ってるといいのだが……」

「うん、間違いないよ! これが『清めの白草』だよ」

「であれば……花たちには悪いが、少し分けてもらうとしようか」

「そうだね」


 リラはジッと目を凝らして『清めの白草』を見つめる。より質のいい物を選別するためだ。同じ素材であっても内包する魔力は個体によって異なる。数に限りがあるならなるべく質の高い物を選んだ方がいいに決まってる。


「首尾はどうだい?」

「上々! これだけあればしばらくは大丈夫だと思う!」


 採取してる間、ダリアが周囲を警戒してくれていた。そのおかげで採取に集中する事ができるのがありがたい。


『清めの白草』を詰め終わるまで時間はかからなかった。もちろん今度の事を考えて、採取量は群生地に影響が出ない程度に留めてある。それでもこの場所に生えている『清めの白草』はちょっと採取した程度じゃ全く影響が出ないだろう。質さえ気にならない様なら今度は自分で採取に来なくても、冒険者ギルドに依頼を出せだけで済むかもしれない。


「ところで……リラが作ろうとしているのは消臭効果のある道具で間違いないんだよね?」

「うん! 形状は香水と同じだけど、効果は真逆で周囲の臭いを浄化するための物なんだ」

「リラ、物は相談なんだが……」

「大丈夫、ちゃんとダリアの分も作るから!」

「おやおや、これは一本取られたよ。やはり私も臭いは気になるからね」


 ダリアも年頃の乙女だ。いくら男社会の中で対等以上に渡り合ってると言えど、気になる物は気になるらしい。


「それじゃ、帰るとしようか」

「うん! 帰りも護衛お願いね」

「承りました、姫」


 採取を終えたリラとダリアは『清めの白草』の群生地を後にして、ローゼンの街目指して歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ