街を襲う神器使い
雨が降り始めた。
「禍鬼化」
楓は姿を変え、2本の剣を構える。
「お姉さん、その姿は何?」
(こいつ…戦う気はあるのか、)
しばらく沈黙が続いた。額に汗が流れる。
「へぇ、教えてくれないんだ。」
「…来るぞ!」
刀を構えた。
「わかってる!」
鷲鬼も神経を張り巡らせて少女に集中する。
「ふふっ」
少女は静かに笑っていた。
彼女は横に刀を振るった。
「桜刀・桜閃」
そう彼女が一言放つと鷲鬼の方へと斬撃が飛んできた。
反射で止めるが斬撃が重すぎてそのまま吹き飛ばされてしまった。
壁にぶつかり血反吐を吐いていた。
「鷲鬼!」
楓が叫ぶ。
「だ、大丈夫だ。」
すぐに立ち上がっていたが、鷲鬼はかなりしんどそうだった。
鍛錬で体も疲労しきってしまっている。
「お姉ちゃん、相手を庇ってる場合じゃないよ。」
濡れる地面を蹴って真正面から向かってくる。
「禍黒・邪虎爪閃」
剣と刀がぶつかり合う。
楓が刃を振るたびに闇を纏った虎の爪のようなものが見える。
一本の剣を振れば4本の爪、二本の剣を振れば八本の爪。
だが、少女は数本の爪を刀で交わしながら楓との距離を詰める。
(俺が入れる隙がねぇ)
悔しさで刀を握りしめていた。
「桜刀・桜流連斬」
楓よりも遥かに多い斬撃が飛び交う。
交わしきれず、頬や腹、足に数本の切り傷が入ってしまった。
少女は楓の間合いに入り、拳を引く。
痛みで反応速度が鈍くなりそのまま腹に一発くらってしまった。
吹き飛ぶ自分を地面に剣を刺して止める。
「ガハッ」
「ねぇ、お姉さん。それ神器の力じゃないでしょ」
少女が歩いてくる。
○○○
「2人のこと心配ですか?」
「お前は人の心あるんだな。」
余裕の笑みを見せるザスタリア。
「僕がなんで君を選んだのか…」
「弱いからだ!」
ズバリという。
(まぁ、銃相手に2人は太刀打ちできなさそうだからっていうのもあるんだけどな。)
(それに早く助けにいけそうだし)
「我を舐めているのか」
声色変えず話すギルは不気味だった。
「別に舐めてなんかない。こっちの方が効率的だと思ったまでさ。」
ザスタリアは槍を構える
「蒼流槍・零槍絶対零度」
白い冷気を纏った槍をギル目掛けて投げた。
槍が通るたびに地面と雨粒が凍る
「神銃・炎迅弾」
ギルは引金を引いた
弾丸に炎の渦を纏う。
槍と弾丸がぶつかり合いものすごい量の蒸発が起こる。
弾丸は消え、槍はその場で落ちた。
槍は意思があるかのようにザスタリアの元へと戻る。
バン!
容赦なくギルは引き金を引いた。
「神銃・天穿白煌」
ギルの連撃技。
(!?)
炎を纏った銃弾に速度がのった電撃銃弾が掛け合わさる。
「止められるかな」
ザスタリアは槍で銃弾を突く
「止められるさ!」
銃弾が弾け、衝撃音が響き渡った。
その隙にギルはザスタリアの背後をとる。
彼は槍で弾き、ギルに一撃を入れる。
致命傷は避け擦り傷程度で済ませる。
その後も銃弾を打ち込むが彼は槍を自由自在に操り、攻撃を止めては攻撃を仕掛ける。
ギルは傷を負い疲労しきっていた。
「なぜ我を仕留めない。其方なら殺せるはず。」
傷口を押さえながら話していた。
「なんとなく殺してはいけない気がしただけだ。」
「それにお前らを捕まえて主人を殺す。それが僕のやり方。」
笑顔の割には言っていることが恐ろしい。
「そうですか…」
「では逃げるとします。」
(はぁ?)
○○○
(この子強すぎる…)
楓と鷲鬼は少女の強さに太刀打ちできなかった。
「呪いだね。」
「いい養分になりそう」
ぶつぶつと意味のわからないことを言っていた。
楓の喉元に手を伸ばそうとしていた。
彼女は一歩下がり、鷲鬼は少女に切り掛かった。
簡単に避ける。
「すまねぇ、遅れた。」
鷲鬼は謝罪していたがかなり無茶をしてきてくれた様子だった。
これで決めると心に決めて走り出す。
手数で勝とうと刀を振り続けた。
(隙を狙いたいところだが全く隙がない)
「お兄さん全然ダメだよ」
少女は鷲鬼の隙を狙って刀を振るった。
(まずい、)
「ハートレス帰りますよ。」
「えっ…?」
切られる前に少女の手が止まった。
「わかった、」
不満そうだったが少女はすんなりと彼のいうことを聞いた。
「逃すわけないだろ!」
ザスタリアが声を上げる。
「すみませんね。捕まるわけにはいかないんですよ。」
「神銃・黒煙乱舞」
彼は地面に銃弾を打ち込んだ。
黒い煙が辺りを包み、全く周りが見えない状況だった。
武器を振り、煙を払うがそこにはもう2人の姿はなかった。




