未開であれば、自ら赴くのが一番安全だと思うのだが
さて先日、四将に隠居して未開地開拓を自らしよう、と伝えた所、各々から反応が返ってきた。
まずは風将。
「あっはっは♪ やっぱ魔王様は面白いや!良いよ、留守の間は任せといてよ。きっちり魔王代行の責、果たしておくからさ♪」
続いて炎将。
「ったく、相変わらずトンでもねぇ事言い出すなぁ……まぁ、そんなトンでも発想出来るからこそ面白ぇ、って思ってついてってんだけどな。」
……と、奔放組の二人は比較的好意的だ。
な の だ が 。
「はー……魔王様。ご自分が何をのたまっているか、お分かりですか?」
「かつて先代が貴方を後釜に据えた際、即座に就かなかった為、我らがどれだけ苦労したかお分かりですか?」
「「人間界も見てこい、と姿を消された時の我々の苦労、ご存知ですか?」」
真面目組……水将と地将である。
……実は我、過去に人間界に居た事があるのだ。
その時に名も設けたのだが、今の我は魔王。故に、その名を名乗るのは相応しくない。
ともあれ、その間の魔界維持に奔走してくれていたのが、主にこの二人である。
「………して、今回はどのような算段がお有りで?」
「昔と違い、空席を狙う輩も居るでしょうしねぇ。」
「あー……向こう出身であれば、居そうだよねぇ。」
「向こう出であれば然程問題にはならんでしょう。警戒すべきはこちら側の者です。」
「なら、各地への触れだけは先に回しておきましょうか……」
……どうやら、なんだかんだ受け入れてはくれるらしい。
「さて。今回、我がこの様な発想に至った理由だが……」
四将へ向き直り、言葉を続ける。
「こちら側……魔界は広い。」
「ですが、人口は少ないですね。」
水将が続ける。
「逆に、人界は狭い上に過密だ。」
「だから未開地開拓、って訳か。」
炎将が腕を組みながら唸る。
「うむ。本来であれば、人界と魔界、双方を統べた時点で垣根を払えれば良かったのだがな。」
「現実はそう簡単じゃなかったー……って話?」
風将の問いに、我は頷く。
「魔界側から人界へ行く分には問題ない。だが、人界側から魔界へ来るには限度がある。」
「……魔気、ですか。」
「そうだ。」
地将の言葉に頷きを返す。
「故に、双方が無理なく暮らせる地が必要となる。」
「……今回は、ちゃんと考えていらしたんですね。」
「これなら私達も、準備した上で見送りが出来そうです。」
「ちゃんと成果上げてきてねー?」
「魔王様が留守になるって事は……フヒヒッ、腕が鳴るぜぇ!!」
……一人、何か勘違いしている気もするが。
まぁ、我が不在でも問題はなさそうだ。
さて。
出立に向け、準備を進めるとしよう。
人も魔族も、真に等しく暮らせる世界の為に。
「……止めきれなかったのな。」




