第38話 ゴルフクラブとドローン・チート
Side:タイセイ
木村からメールが来た。
次の日本での商品はゴルフクラブね。
ゴルフクラブの改造は認められている。
添付の資料にそう書いてあった。
もちろんルールはあるけど、俺のはルール違反にはならないだろう。
飢饉で今も荒稼ぎしいてる。
ゴルフクラブは高いけど、買えない金額ではない。
10万円ぐらいの高いドライバーをぽちっと、スキルで買った。
ボールとティも買って、試し撃ち。
気持ちいいぐらい良く飛ぶ。
チョロもダフリも1回も起きない。
それどころか、狙った所にぴたっと落ちる。
これって、面白くない。
だって勝負だろ。
チートアイテムを使っておいて、いまさらだけど、こんなのが出回ったらプロゴルファーで手を出す奴が現れるに違いない。
あってはならないことだけど、たまに反則行為をするプロもいるぐらいだ。
プロがこんなのを使ったら、なんというか夢を壊す。
このチート・ドライバーは、石油王に10億円で売れと書いた付箋を貼った。
頑張れ木村。
セレブ用品を売ってたら、いずれ石油王にも伝手が出来るさ。
このチート・ドライバーを石油王が遊びで使うなら、許せる気がする。
木村には石油王以外の人が使うと神見習いの天罰が下る。
それに、悪用は厳禁と言って売って貰おう。
売る時に石油王に神の誓いを立てさせたら良い。
石油王が悪用したら、懲らしめにいくさ。
売るからにはそれぐらいの責任は取る。
次は5万円の安いドライバーを買った。
打ってみると、真っ直ぐにしか飛ばない。
チョロってもダフっても真っ直ぐ。
これぐらいが売り物としてはちょうど良い。
パターとアイアンは追々で良いな。
「タイセイ、なにやってんの?」
クロエと子供達がやって来た。
「ゴルフだよ」
子供用ゴルフセットは4万円ね。
ぽちっとな。
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スマイル100円、頂きました。
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やる前から、道具を見ただけで笑顔。
ほんと、ちょろい奴らだ。
「うわっ、すげえ」
みんな興味津々。
「やってみるか?」
やりたいって声が上がる。
俺はゴルフなんて遊びで打ちっぱなしに、年に10回ほど行っただけ。
コースに出たのはたったの1回。
素人だが、握り方とスイングを教えてやった。
子供用クラブを振る子供達。
なぜかフォームが段々と良くなってる気がする。
「これっ、ムカつく。間違ってるとか、うるさい」
子供クラブのチートは子供限定の指導者の声か。
日本で売れたら、1億円で売れるが、どういう仕組みって聞かれたら不味い。
神の力だとばれるのが不味いんじゃなくて、俺にチートを要求するために木村達が被害に遭うのが不味い。
チートアイテムは物によって、人を殺しても欲しいだろうと容易に想像できる。
収納鞄のナップザックでも、人によってはそうなるだろうな。
ムカつくと言えば、卑怯者王だな。
10万円でこのチートなら、ドローンなんか買ったら凄い事になるかもな。
ふふふ、ぽちっと。
「よし、ドローンよ。ここに用意した卑怯者王を非難するチラシをばら撒きに。ガルー卑怯者王の討伐に出陣せよ!!」
えっ、操作してないのにドローンがチラシを付けて飛び立った。
きっと、目的を果たすのだろうな。
Side:勇者王
くそっ、どいつもこいつも使えない。
難攻不落要塞の攻略に失敗するとは。
密偵が急かすからだ。
守備してる兵士の実力が日にちが経つごとに上がるなんて言いやがって。
いま、攻めないと取り返しがつきませんなどと言うから、みんなその気になってしまったのだ。
気に食わない奴は、責任を取らせて斬首してやる。
「陛下、大変です! こんな物が!」
「何だ見せてみろ」
『ガルー国王の勇者王は、偽物勇者。卑怯者王だ。今に天罰が下るだろう。国民よ目を覚ませ。立ち上がるのだ』とあった。
「ぐぬぬ!」
俺は紙をぐしゃぐしゃに握り潰した。
ブーンという聞きなれない音。
「何だ? 何の音だ?」
「勇者王様、きっと虫のモンスターに違いありません。討ち取って手柄にしては」
「そうだな。聖女の言う通りだ。出陣!」
近衛騎士を集めて王城を出る。
あれか。
小さいな。
黒い、見たことのない虫だ。
しいて言うなら異形のハエか。
そのモンスターは空中で停止していたが、いきなり動き始め。
こっちに向かって飛んで来た。
「防御陣形!」
近衛騎士は俺を守るべく行動。
ドラゴンでも当たったかと思われる轟音。
バラバラになって吹き飛ぶ近衛騎士が一瞬だけ見え、次の瞬間、俺は空中に舞っていた。
激痛と悲鳴と苦鳴。
俺は地面に叩きつけられ、痛みで動くことも、声を出すこともできない。
聖女の声が聞こえる。
「勇者王様、大丈夫ですか? そうですか、王代行は聖女に任すと。承知致しました。微力を尽くさせて頂きます」
そんなことは言ってない。
くそっ、どいつもこいつも。
担架に乗せられて、意識が途絶えた。
気が付いたら、ベッドの上。
右手の感覚がない。
なんとか見ると、肘から下がなくなっている。
「ああああ!」
「陛下、どうなされました? お気持ちをしっかり!」
欠損部位を治す方法は古来よりいくつか伝えられている。
代表的なのはエリクサー。
そして、悪魔との契約。
どちらも、手に入れたという話はない。
求めても手に入らなくて破滅して話は終わっている。
ぐっ、俺は勇者王。
どちらも手に入れてみせる。
エリクサーはドラゴンの血、精霊の涙、虹色月光草、この3つで作れる。
これは騎士を探索に向かわせよう。
悪魔を呼び出すには10万人の生贄だ。
こちらはラフート国を侵略して、ラフート国民を生贄にする。
きっと何十もの願いが叶うに違いない。
そして、多数の国を飲み込み、悪魔に幾多の願いを叶えてもらおう。




