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第37話 噂

Side:タイセイ

 商人のゲイリーさんが、クロエ一家が住んでいる俺の現住所のバドラ村へやって来た。

 久しぶりだ。

 行商人が村を回る頻度は少ないらしい。


「お久しぶりです」


 ゲイリーさんは変わってない。

 行商に出ている時間が長いのか。

 ちょっと日に焼けている。

 御者を交代でやってるのかな。


「久しぶり」


「タイセイ殿がいるので、来る必要がないかとも思ったのですが。顔を繋いでおくのも必要ですし、飼い葉などの補給もあるので立ち寄らせてもらいました」

「ゲイリーさんに迷惑を掛けるのは、気が引ける。商売は、売り手笑顔、買い手笑顔、世間笑顔、三方笑顔が俺のモットーでね。そこで相談だ」


「何ですか?」

「俺が仕入れた商品を売ってほしい。砂糖も可能だよ」


「おお、それは、それは」


 ゲイリーさんの目がギラギラモードに変わった。


「ただし条件がある。一袋を銅貨1枚で卸すので、安値で売って欲しい。それと、小分けにして売って欲しいんだが、袋に勇者タイセイ格安で提供って判子を押してほしい。判子はこちらで用意する。紙の袋が必要なら、それもこちらで用意する」


 ゲイリーさんの顔が驚きに染まった。


「タイセイ殿は、勇者様だったのですか?!」

「噂がてっきり届いていると思ったんだが」


「ええ、難攻不落要塞で、勇者タイセイ様が活躍したのは聞いてます。ただ、タイセイ殿と同一人物だとは想像がつかなくて。すみません、戦いをするよう雰囲気がありませんでしたので」

「商人勇者だからな。戦い自体は苦手だ。商品の性能のゴリ押しだよ」


「タイセイ殿の商品なら、凄い武器なのは想像がつきます。分かりました。こちらの得になるので商品を売らせて頂きます」


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

――――――――――――――――――――――――


 細かい部分を打ち合わせ。

 ゲイリーさんとの打ち合わせは、円満に終わった。


 何度もスマイル100円を貰ったので、不満はなかったと思う。


「ところでガルー国で即位した王子が、勇者王を名乗っているらしいですよ。人前に出る時は証拠だというネクタイを片時も外さないそうです」


 くそっ、俺から奪ったネクタイだな。

 確かにあれは日本製だ。

 鑑定すれば、確かに勇者の国の物って出るだろうな。


「勇者教の神官が発狂しそうな情報だな」

「勇者教はガルー国を攻めたいらしいのですが。大神官のひとりが反対していて、保留してるそうです」


 まあ、正義って言っても、理想はみんな違うからな。

 一枚岩でないのも分かる気がする。


「他には?」

「自称聖女様もいるようで。勇者王、おっと卑怯者王にべったり張り付いているらしいです。この聖女はガルー国でも偽物扱いされてます」


「ふーん、なるほどね」


 難攻不落要塞の戦いの罰も受けてもらおうか。

 何をしようかな。

 ゆっくり考えよう。


Side:木村


 小金井(こがねい)の指示で、文具メーカーは開発しただけで、幹部社員以外に売らないセレブ用高級ボールペンを開発した。

 その定価はなんと10万円。

 俺も1本買った。


 そして、そのボールペンをなぜか小金井(こがねい)は、不思議パワーが込められたバージョンで大量に持ってきた。

 神の世界は不思議で満ちている。


 セレブ用高級ボールペンが馬鹿売れ。

 1本100万円って、これを買う奴は絶対にいないと考える俺はド庶民だな。

 このボールペンはセレブの話題になっている。

 SNSで自慢している芸能人は多い。


 たしかに、ボールペンっていきなり書けなくなって、イライラしたりする。

 インクがまだ余っていたりしたら、イライラは倍増だ。

 しかも他の紙に書くと書けたり、書けなかったりするとさらにイライラ。


 そういう心配が一切なし。

 インクが無限。

 10年間製品保証っていうんだから、そりゃ買うよな。

 そうでなくても外国で日本のボールペンの評価は高い。

 信頼があるって素晴らしい。


 俺と言えば最近は不思議パワーが込められてないセレブ用高級ボールペンを、飲み屋の女の子に見せびらかすのが楽しみ。

 スマホで芸能人のこのボールペン自慢を見せると、女の子の頂戴コールが始まる。

 だが、彼女になってと言うと、ドン引きされるって学習した。

 今は初めて会った子に話すネタのひとつにするだけにしてる。

 つかみだけでも十分だ。

 金持ちに見られるのは、ちょっと気持ちいい。


 実際に裕福になりつつあるんだけど。

 次の商品開発が難航してる。


 時計かなとも思うだけど、小金井(こがねい)には時計の高級品は既にあるという理由で、却下された

 高級商品だと、酒なんかが良いと思う。

 小金井(こがねい)には、食品は不思議パワーが体に入るから駄目って言われた。


「あのさ、食品以外の高級品て何?」


 飲み屋の女の子達に訊いてみた。


「マンション」

「車」

「化粧品」

「ブランド品」

「ゴルフクラブ」


「それだ! はい、金一封のチップ1万円ね」

「貰っていいの?」


「おう、もちのロン。リーチ、一発、ドラドラ、親のマンガン。ほい、2千円チップ追加」

「ずるい」

「私にも」


「また、相談に来るよ。高級品を考えていてくれ」


 不思議パワーがゴルフクラブに込められたら、凄く飛ぶだろうな。

 飛びすぎたりが心配になるな。

 まあ、小金井(こがねい)に提案してみよう。


 ゴルフクラブなら、サンプルを持って行っても一度だけで良いから打ってくれと頼み込むだけだ。

 一度ゴルフボールを打てば判る。

 ボールペンは不思議パワーが判りづらかったからな。


 文具メーカーの紹介で社長達さんに改造クラブとして、高値で売るのも良いかもな。

 そうすれば評判になって、メーカーと話がし易くなる。

 いろいろと考えられる。


 立ち上げた会社を潰したくない。

 社長は俺だからな。

 何としても、倒産させないし、ブラック企業にはしない。


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