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第12話 チート・商売

Side:タイセイ

 朝飯だ。

 何かのチーズと俺が出した食パン。

 それとスープとウィンナーと温サラダ。


 献立はこんなだ。

 バランスは取れていると思う。

 だが、香辛料がないせいで今一つだ。

 ハーブがその代わりなんだけどね。


「もしかして香辛料って高い?」

「ええ、物凄く」


 ジェシーさんが答えた。


「簡単に出せるけど」

「やめておいた方が良いわね。商人に話が伝わると、邪な考えを持つ者がきっと出て来るわ」

「じゃ、ハチミツは?」

「贅沢品だけど、食べられないって程ではないわね」


 俺は試しに100均のハチミツを出してみた。


「ハチミツ好き」


 クロエちゃんがハチミツを手に取ってにっこり笑う。

 スマイル100円頂きました。

 全部食ったわけではないのに、元が取れた。

 うんうん、村人は利用しがいがある。

 だが、ウインウインは忘れない。

 商売の鉄則だ。

 これを忘れた某国のビジネスマン大統領が、弾劾され訴えられて刑務所行きだろうとの評論家の意見を読んだ。

 刑務所行きまでは大げさだと思うが、ろくな結末ではないことは確か。

 ウインウインの精神を忘れたら終わりだ。


「悪いわね」


 ジェシーさんからも頂きました。


「俺も良く森にハチミツを採りに入ったものだ。貸してみなさい」


 シンタさんがハチミツをパンにつけて食べた。


「美味いな。久しぶりに食べたよ」


 シンタさんからスマイル100円頂きました。

 三人家族だと100均のだと大幅黒字だな。

 配るのならスーパーの300円ぐらいのでいいか。

 3個ハチミツを出した。

 ハチミツの特殊能力は美肌効果だろうな。

 食ってみた俺が、そう感じた。

 ブラック企業勤めで酷使した肌のがさがさが良くなった気がする。


「クロエ、食べ終わったら、おすそ分けに行って」

「うん」


「ハチミツばかりだと飽きるからジャムも出すよ」

「ごめんなさいね」

「いえいえ、出した物を美味しく食べてもらうのが、一番嬉しいんだから」


 みんなで88円のイチゴジャムをパンに塗って食べる。


「甘ーい」

「これ砂糖が入っているわよね。ただ煮詰めただけじゃ、こうはいかないわ」

「美味いな。果物の味が引き立っている」


 スマイル100円をみなから貰ってまた黒字だ。

 イチゴジャムの特殊効果は、シワ取りだな。

 ジェシーさんの目尻のシワが減った。

 接待の飲み屋で、俺は年齢当てで、大きく外したことがない。

 目尻のシワで分かる。


 これも3つ出しておこう。


「ジャムは家庭で作りますよね」

「ええ、でも砂糖を入れないから、あんまり甘くないし日持ちがしないわ」

「砂糖も安く出せるんですが」


「転売する人がいっぱい出そうね」

「割安で販売してお金を取ったら良い」


 シンタさんがそう言った。

 なるほど。

 ただで配る事だけを考えていたけど、格安で売ってもスマイル100円は手に入るのか。


「じゃお試しってところで」


 砂糖一キロ199円のを出した。

 これの特殊効果は分からない。

 いままで、口に入れる物は物騒だった試しがない。

 たぶん、大丈夫だろう。


「これだと普通に売ると大銀貨1枚はいくわね」

「格安で売るとして銀貨8枚でどうかな」

「良いんじゃない。感謝されるわよ」


「私、見本を持って注文を取る」

「クロエちゃん、できるかい。メモやペンを出すけど」

「私、字が書けない」


 識字率を考えてなかった。

 こういうのはコピー用紙に村人の名前を書いた券を作る。

 そして注文を取ったら券を渡す。

 券の在庫を確認して発注を知るというのはどうだろうか。


 あっ、しまった。

 クロエちゃんは村人の名前を読めないんだった。


 家の前に100均のホワイトボードを置いて注文を取ったら印をつけるか。

 それだと、いたずらされる事もありそうだな。

 そうか100均の印鑑を出して、村人に持ってもらえば良いんだ。

 クロエちゃんは注文を取る時に印鑑を押してもらう。

 これでいいな。


 日本語の名前と村人の名前の変換表がいるけど慣れればどうって事はない。


 俺は100均のコピー用紙に砂糖の袋の絵を描いた。

 朱肉も100均のを買って、適当な印鑑を何本か買う。


 コピー用紙と朱肉と印鑑の特殊能力は分からない。

 試しにクロエちゃんが使ってみたが、何も起こらなかった。

 おそらく大丈夫。

 よし、準備完了だ。


Side:クロエ


 タイセイの仕事をお手伝い。

 今回はタイセイが付いて来てくれるみたい。


 一軒目はソルさんの家だ。

 扉をノックした。


「誰かと思えば、クロエちゃんかい」


 ソルさんの奥さんが出て来た。


「タイセイのおすそ分けに来たよ」

「ありがとね。タイセイさんによろしく」

「こんにちは。巡礼者のタイセイです」

「なんだい。あんたがタイセイさんかい。おすそ分けありがとう。後でみなで頂くよ」


「実は路銀が尽きまして、今日は商売に来ました。次からはクロエちゃんが注文を取るのでこの印鑑を押して下さい」

「へぇ、印章かい。これをくれるのかい。お貴族様になった気分だよ」


 ソルさんの奥さんは嬉しそう。

 タイセイも嬉しそう。

 きっとスマイル100円というのが貰えたんだ。


「売り物はこれ。砂糖で銀貨8枚。注文を貰えれば俺が後で商品を持ってきますんで、その時にお金と引き換えです」

「安いね。せっかくだから買ってみようかね」


「クロエちゃん出番だ」


 朱肉という赤い物の蓋を開ける。


「押して下さい」


 奥さんは朱肉に印鑑をつけ、砂糖の絵が描かれた紙にギュッと押した。

 タイセイは何やら書いている。


「何しているの?」

「名簿を作ってるんだ。ソルさんの印鑑は鈴木だよ」

「へぇ」


 分かんないけど、役に立った気分。


「私、役に立った?」

「当然だよ」

「えへへ」


 タイセイのお嫁さんに一歩近づいた気がする。


「印章って、あのお貴族様の。やらせて、やらせて」


 ソルさんの子供が、印鑑を押したがった。


「どうぞ」


 私は朱肉の蓋を開いた。


「あれっ、押せない」

「そうか、印鑑の特殊能力は持ち主しか使えないだな。最初に押した人が持ち主認定されるのかな。坊主、これをやるよ」


 タイセイが子供に新しい印鑑を渡した。

 今度は上手く押せた。


「えへへっ、俺の印章だ。しかも俺しか使えない。こんなのお貴族様でも持ってない」


 タイセイがまたまた嬉しそう。

 きっと、またスマイル100円というのが貰えたんだ。


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