第10話 ガルーの手先は惨殺
Side:タイセイ
納屋で、ステータスをチェック。
うん、魔力が1になってる。
チョコで上がるのは知ってるから、驚きはない。
ただ、俺に適用されるのかちょっと自信がなかっただけだ。
食わなかったのはがっくりするのが嫌だったわけじゃない。
勇者だが、俺の勇気は蛮勇ではない。
慎重な性格なんだ。
そういうことにしておいてくれ。
誰に言ってるかと言えば、神に向かって言った。
スキルを取り上げられたら困るからな。
よし、デザートにチョコ食うぞ。
魔力が13になった。
村への警備が必要だな。
拠点の安全は重要だ。
自分の価値は痛いほど分かってる。
金の卵を産むガチョウ。
それが俺だ。
守りか。
なにか買うとして、警備ロボットは無理だ。
電気を使うのは却下。
広範囲をカバーできないとな。
となると、防犯砂利、これしかないか。
2936円で、すぐに買える金額だ。
お買い上げ。
袋に穴を開け、撒きながら、村の境界を歩く。
俺の予想通りの性能を発揮してくれるかどうかは分からない。
そのうち分かるだろう。
眠ってたら、頭の中に警報が鳴り響いた。
何だよ。
良い気持ちで寝てたのに。
それにしても、すぐに来るとは思ってなかった。
モンスターかな。
納屋から出ると、辺りは真っ暗。
電池式の懐中電灯を買う。
レーザーポインターみたいに物騒なことにはならないよね?
恐る恐る、スイッチを入れる。
うん、明るくなっただけだ。
ただし、村の隅々まで明るい。
境界の広さまで、明るくなっている気がする。
この程度のチートなら安心だ。
村人はみんな松明を持っていた。
いきなり明るくなったので、みんな驚いてる。
「ごめん、驚いただろう。明るくなったのは俺のスキルなんだ!」
「タイセイの仕業だったんだな。警報もか?」
「まあね」
みんな落ち着いて、警報の原因を探る。
すぐに原因は分かった。
「盗賊だ!」
盗賊の来襲か。
モンスターの次は盗賊かよ、まったく物騒だな。
「殺すのか?」
「いいや、追い詰めて殺すと、死に物狂いになる。撃退だな。それに人数は村人の方が多いが、強いのは盗賊だ」
スキルに頼ろう。
ええと、結束バンドで検索。
ロックタイって商品名。
写真は俺の結束バンドのイメージだ。
100本で188円。
安いな。
ぽちっとな。
俺の予想通りなら、これを使えば拘束魔法みたいなことができるはず。
盗賊に触らないと無理なのかな。
1本取り出して、盗賊を拘束しろって念じてみたりして。
ロックタイが飛んで行った。
おお、便利。
どんどん、ロックタイを飛ばす。
村人によって、拘束された盗賊が、次々に広場に集められた。
「くそっ、オーガウルフの策が上手くいかないと思ったら、こんな凄腕の魔法使いが居やがったのか」
「くっ、スキルが封じられてる」
「解放しろ。俺達には仲間がたくさんいる」
「解放すれば、復讐しないでやる」
魔法使いじゃないよ。
勇者だよ。
どっちかと言えば、商人勇者。
「こいつら、ガルー国の手先か。財布にガルー国の金貨があったぜ」
村人が懐を探ったのかそう言った。
ええと、オーガウルフを村にぶつけて、戦力を削ろうとしたんだな。
いや、村人が討伐に成功しても損害がかなり出たと踏んで、夜に襲撃か。
俺がいなかったら、そうなってたかもな。
村を潰すのは食料生産を止めるためか。
気の長い話ではあるが、費用対効果は高いのかもな。
盗賊を支援すれば、治安も悪くなる。
こんな奴らが、この国にはたくさんいるんだろうな。
ガルー国への復讐として、一網打尽にしたいが、今は妙案は出ない。
「こいつら、どうするんだ?」
「街まで連れてって突き出すのが良いんだが、これだけいると手間が掛かる。ぶっちゃけ無理だな」
どうやら殺すしかないな。
解き放っても反省などしそうにないからな。
たぶん、こいつらはガルー国の手先と言っても、捨て駒だ。
おそらく策と金貨を与えたのは、潜入した密偵だろう。
そいつは、今頃街で、何気ない顔で暮らしているに違いない。
盗賊を尋問しても、指示役は顔を隠してたという証言ぐらいしか得られそうにない。
「みんな、見なかったことにしておいてくれ!」
「ああ、何も見てない」
「おお、見てないぞ」
「俺もだ」
解体用ナイフを抜く。
首を刎ねた。
おお、イメージ通りに解体可能なのか。
初めて使ったが、便利だ。
殺したくなければ、手の1本で済ますこともできるらしい。
「謝る! 殺さないでくれ!」
「子供もいるんだ!」
「俺には年老いた母親がいる!」
「何でも喋るから!」
淡々と首を刎ねる。
どうせたくさん殺して来たんだろ。
嫌な仕事だ。
だが、ガルー国の名前を聞いたら、殺さないとな。
特にこいつらみたいなクズは殺す。
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レベルアップしました。
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レベルアップのメッセージが、腹立たしい。
こいつらが生きていると、後々クロエちゃんの家族が死ぬかも知れないと考えると、何となく気分が楽になった。
いや、親切心からではない。
寄生虫も、寄生主に恩恵をもたらす場合もある。
村人に寄生してる俺もこれぐらいのサービスは構わない。
人を殺すのなんか、もう気にしない。
こいつらは人間の顔をしたモンスター。
そう思うしかない。
無言で首を刎ねる。
盗賊の戯言は聞き流した。
終わったな。
「終わったぞ」
「すまんな。嫌な役をやらせて」
「良いんだよ。俺は旅人だから、あと腐れがない。こいつらの身内が復讐にきたら、俺の名前を教えてやれ」
「何から何まで、すまん」
先代の勇者が、盗賊をどうするかで迷った気持ちが分かる。
身内が復讐に来たら、その時は俺ならこうするだろうな。
殺された身内の過去の犯罪映像とかを見せると思う。
それでも納得しなかったら、身内が殺した家族の恨みを見せる。
それを見た上で、来るのなら決闘してやる。
今はそれを実現するチートアイテムは手元にないが、いずれ手に入るだろう。
スッキリしないな。
165円のチューハイを1本飲んで寝た。
スキルで出すお酒は、ストレス解消の効果があるようだ。
もんもんとせずにすぐに眠りつけた。




