3045/??/?? 誰も知らない
「だ、誰か、今年が何年か分かる人はいないか? 」
誰でもいい、アガートラムが口にした3045年という言葉が嘘か本当か教えてくれ。
その声は自分でもはっきりとわかるほどに震えていた。セン達三人以外の誰か知っている人はいないかとこちらを不思議そうに見つめる彼らに訊いた。
「?」
「今年は、今年だよね?」
「何年?」
「何年って今年?」
「ックシュ!」
誰もその質問に答えてくれなかった。別に質問が無視され、無言を返されたという訳ではなく、質問を受けた全員が質問の意味が分からないと互いに顔を見合わせて、ざわざわと私の言葉を無意味に繰り返している。そこにいる誰もが何年なのか知らないようであった。
「……、ああ、ごめん。変なことを聞いたね。そうだ。それと一緒に考えてくれたみたいだから、君たちにも毛布を上げるよ。ありがとう」
その反応を見て、これ以上この質問をすることは無駄だと悟った。知らないという事が分かっただけで今は納得するしかないと自分に言い聞かせ、毛布をかぶらずに体を震わせている子供たちに向けて言葉を掛けた。
「……え?」
「いいの?」
「本当に? もらっていいのか?」
「ああ、もちろん。……セン、アール、ロック、これを配ってあげてくれるかい?」
「……分かった」
「はい」
「分かりました」
いつの間にか太陽はさらに西に移動していたらしく、森の中はさらに寒さを増していた。その寒さの中、体を震わせていた子供たちは私の言葉に隠しきれない期待を込めた声を上げる。
その声を聞いて、セン達に仕事を振る。
今までと同じようにアガートラムに任せてもいいことであったが、先ほどまで激しく対立していた彼らだから、早めにその関係を直せれば、そのきっかけになればと言葉の裏に別の思惑を隠して、三人に声を掛けた。
もちろん、それがうまくいくかは分からない。しかし、私の言葉に確かな返事を返して、セン達はその役目を受け入れてくれた。セン達三人は、たたまれた毛布を全て持って、それを震える彼らのもとへ届けにむかう、それを手伝う他の子供の様子も見えた。
その様子を眺めながら、ますます寒くなるであろう森の中でこの後どうするかを考え始める。




