3045/??/?? 西暦3045
「パンゲア? いや、それより、何だって?」
―パンゲア極東州弓状列島地域特別行政区域ホンシュウになります。
その衝撃のまま言葉が口から出てきた。律義にアガートラムは先ほど答えをもう一度繰り返してくれたがもう耳には入らない。
(日本じゃない? パンゲア? 何だそれ? 聞いたことがない、いや待て、特別行政区域ホンシュウ? 本州か? 本州って日本だよな? えっ、待って、本州はあるのに都道府県がない? あるのにない……? 訳が分からない。何だこれ?)
「教えてくれ! その、都道府県が廃止されたって、いつなんだ? いや、それより、今は西暦何年なんだ?」
―今は西暦で3045年になります。
「はぁ―?」
その返しに思いの外、大きな返事を返してしまった。
(さ、三千、三千四十五? 俺は千年間寝ていたのか? ああ、これは夢だ……、妙にリアルで痛みとか感じる類の、でも……、)
自分が過ごしていた時代、覚えている西暦は2045年である。アガートラムの言葉を信じれば、軽く千年は違う、その言葉を信じられないから、何か別の可能性を考える。しかし、思いついた端からその可能性を否定する言葉が思い浮かぶ。
考えれば考えるほどに、頭は熱くなり、のぼせ上がったように頭が重く感じる。少しでもその熱を逃がすために、外の冷たい風を求めて、頭を動かし、体をほぐす。その時に、周囲が静かになっていることに気付いた。
先ほどまで、激しく向かい合って言葉をぶつけあったセン達は揃ってこちらを見ていた。その眼は何か、こちらを心配するものであり、自分が上げた大声に反応したものだと気づくまで時間がかかった。
「タ、タダサン? どうしたんだ? 何かあったのか?」
意を決したようにセンがこちらに質問してきた。それは彼らの思いを代表しているらしく、誰もがその答えを待っているように見える。
「あ、ああ、いや、何も、……セン? 今、何年か分かるかい?」
その質問になんと答えるべきか考えがまとまらずに答える。答えた後で、できる限り冷静な声音で、質問を返した。
「年? 何年って、どういう意味?」
「はぁ? アール、ロック? 二人は今何年か分かるかい?」
「?」
「……僕は今年で18になりますが、そういうことを聞きたいわけではないですよね? すみません、質問の意味がよくわかりません」
アールが不思議そうに小首をかしげ、ロックが申し訳なさそうな表情を浮かべる。二人の反応はどう理解するべきなのか、これは結局どういう状況なのだろうか?
どうしよう、何が何だかわからない。




