????/??/?? 言葉と視線
「そう、怪しい奴じゃない。 本当に、私は悪い奴ではない。信じてほしい」
三人の声を聞きながら、未だに向けられる視線の方向に気づくと再び声を出していた。落ち着いて考えれば、何も説得力がない言葉、“怪しくない” “信じて” 怪しい奴がよく使う言葉に対して、一層激しく、強い反応が返された。
「うそだ!」「そうだ! 騙されるな!」「でも、センたちがいい人だって、」「あいつら騙されているんだ!」「そんな、」「アールさん、目を覚ましてください!」
一人が返した拒絶の言葉、それに近い考えの人がその言葉を拾い上げ、今度はさらに別の人に響くように大きな声を上げる。少しの疑念はその大きな流れの中で、誰かがついた都合のいい嘘で消え去ってしまう。
「騙されてねーよ!」「落ち着いて!」「みんな、話を聞いてくれ!」
その過激な反応、急激な変化を見て、本来、そちらに立って一緒に行動しているはずのセン達も取り残された。私という人を少なからず知っているから、三人は仲間たちの反応が過激であると、何かがおかしいと思い、何とかしようと言葉を発してくれた。
センが言葉尻を捕らえて反論しようと試みたり、アールが良くない流れに流される仲間を落ち着かせようと声を上げたり、ロックが何とか説得しよういう動きを見せてくれた。がしかし、それはこの大きな流れに彼ら自身が考えていない影響を与える結果に落ち着いていく。
「目を覚ませ!」「こっちにこい!」「そいつから離れて!」
「落ち着け!」「話を聞け!」
「セン! お願いだから、目を覚ませ!」「アールさん、気づいてください!」「ロック! 気づいてくれ!」
「だから、話を」
「お前らはみんな騙されているんだ!」「頼む! 目を覚ましてくれ!」
初めは、交互にぶつけられた言葉は数の差に押し切られ、完全に向こうに主導権を奪われる。三人がいくら声を上げても、それ以上に言葉をぶつけられ、最後はほとんど向こうからかけられる言葉だけになる。
「目を覚ませ! お前ら!」「騙されているんだぞ!」「ロック、よく考えてみろ! 遺跡の奥に都合よく人がいるはずあるか? そいつは人の形をした化け物だ!」「……、セン、武器を捨てさせたのは、そいつの言葉か?」「あ! セン、お前、俺たちを騙したのか!」
そして、ぶつけられる言葉の内容がいつの頃からか、少しづつ変化する。
流れの中で、三人は騙された被害者から、騙した加害者のように変化され、その厳しい視線が私をほったらかしにして三人に向けられえるようになる。




