????/??/?? 説得
ザっと一斉にこちらを見ていた人が後ろに下がる音が聞こえ、踏みつぶされた草花の青臭い匂いが風に混ざる。
向けられる視線は不審から警戒へと切り替わり、それぞれが最適だと思うことを言葉に出すことなく勝手に進め始めた。何人かは互いに身を寄せあい、私とのさほど遠くない距離を何度も見返して、気の毒なほど体を震わせながら、逃げるための算段を付ける。また別の人達は先ほど捨てたはずの武器の位置を確かめ、ゆっくりとそちらに向かって体を動かす、その際こちらからは目を離すことはなく、こちらの一挙手一投足を見逃さないという意思がこもった鋭いものとなる。
少し前までの友人との再会を祝す空気は完全に消え、張りつめた空気へと入れ替わった。
「えっ、あ、待って、大丈夫だから」
「ああ、忘れてた」
「ちょっと、待って、みんな! この人は危なくないから、」
その空気の中、セン、アール、ロックの三人の声が響いた。
三人は迎えてくれた仲間たち、ザっと後ろに退いた分、ちょうど、一歩分離れた彼らに向かって声を上げる。
「この人、タダサンはいい奴だから」
「遺跡の奥に住んでいた人で、別に危なくない」
「奥の魔物たちと仲がいい人で、僕らが外に出るのを助けてくれた人だから、」
「ま、まもの? セン! おい、逃げるぞ!」
「アールさん! 離れて、こっちに来てください!」
「ロック、それは本当か?」
しかし、返された言葉はあまりよろしいものではなかった。ごく一部は話を聞くそぶりが見えたが、魔物という言葉に反応を示すものも多かった。
「違う、魔物じゃない。タダサンはいい奴だ!」
「危なくないから、大丈夫よ?」
「ああ、タダサンは本当に助けてくれた人だ」
私と仲間たちに挟まれた位置で三人は声を張り上げてくれた。




