????/??/?? 儀式
アールは質問の意味が理解できていないのか、返事を返すことはなく、小さく首をかしげる。それに対して、ロックは言葉を詰まらせながら、何とか質問に答えようと口を開くが、それ自体がまた説明を求めたい代物であった。
その様子はなんと例えればいいのか。
どうして空は青いのか? 風はなぜ吹くのか? そんな思いもよらない質問を受け付けた瞬間の表情、空気に似ている様子であった。
「……えっと、ごめん。質問を変えるね。そのマナっていうものは、マナというのは……」
その微妙な空気の中、質問自体がまずいのだと一旦それを取り下げ、改めてなんと聞くべきかよく考えずに口を開き、すぐに言葉に詰まることになった。
マナとは一体何なのだろうか? 与えるものであり、調べるものであり、月の力らしいもの? これまでの情報を合わせるとそのような要素が詰まったものである。
さて、ではマナとは何だろう? 与えるならば、何かしらの形が残るものである。調べるならば、それは体、もしくはその中の一部にあるものである。月の力ならば、関係するものは引力、潮汐などだろうか?
そのどれもが微妙に重なるようで重ならない言葉ばかり、何と聞けばいいのか考えれば考えるほどに言葉はまとまらない。なんと切り出せばいいのか、思考の迷路で迷い、言葉の出し方を忘れてしまった私の様子を見て、ずっと黙っていたアールは口を開いた。
「タダサン、私たちまだ誰もマナを与えられていないから、聞かれても分からないわよ?」
「そ、そうです。マナは儀式を受けて初めて持つものなのですから」
「そ、そうだね。儀式を受けてないんだよね。」
彼女の言葉はおそらくそのまま正解なのだろう。アールの言葉に隣に座るロックも激しく追従した。二人とも、マナというモノをまだ持っていない。だから、詳しくその内容を聞き出すことはできない。ロックの口から儀式という言葉が出てきて、忘れていたもう一つの要素を思い出す。
ここは成人の遺跡。大人になるためにここで儀式を受けるという事実。その儀式がおそらく、マナというモノの正体が明かされる場であり、機会である。アール達は三人はまだ子供だから、その儀式を受けていない。ふと気づいたことがあり、それを言葉に出した。
「ところで、どうして君たちはここに来たの?」
「……、度胸試しかな?」
「センにみんなそそのかされたの!」
―正面ゲート前にいた集団からの武装の解除、および焚き火の消火作業を確認しました。正面ゲートの閉鎖を解除します。
二人の返答にかぶさるように音もなく近づいていたアガートラムの音声が近くから響いた。




