????/??/?? 警察
「ところで、どうして君たちはここに来たの?」
「……、度胸試しかな?」
「センにみんなそそのかされたの!」
不特定多数が利用する建物、男女の別なく、大人から子供まで、どんな年齢の人でも目的のサービスを利用できる建物には必ずあるものがある。なぞなぞではないからそのまま答えを言うが、それは出入口と受付だ。
出入口なければ入れないし、受付がなければ目的のサービスを受け取ることが出来ない。
おそらく、本来は百人単位、いやそれ以上の人が日々利用したであろう場所、外と内との結束点、病院の待合スペース、受付ロビーにはやはり誰もいなかった。もう少し暗く、うらぶれて、埃でもうっすらと積もっていれば、この無人の病院ロビーというものは、きっとおどろおどろしくて雰囲気のあるものになっていたであろう。
今、その場に立って目にしていると、本来あるべき人がすっぽりと消え去ったその空間、それ以外はきちんとした形で残っているというものは、ただただ不思議な感覚を覚えるものでしかなかった。
アガートラムから発せられた警告を聞いて、アールたち三人はすぐに説明をし始めた。
「外にいるのは、自分たちの仲間である。みんな、決して危険な連中ではない。だから、安心してほしい」
その説明を要約すれば、こういった内容である。しかし、それを聞いてのアガートラムからの返答は“ノー”であった。
―正面ゲートにたむろする集団には、近距離、第三警戒レベルでの武装が確認され、また、敷地内での焚き火などの禁止事項も確認しました。現在、警察には通報済みですが、新たに消防へと通報しております。警察、消防が到着後、彼らの排除が確認でき、安全が確保され次第、外部への案内を再開します。申し訳ありませんが、このまま待機をお願いします。
「タダサーン、なんて言ってるのそいつ?」
「えーっと、つまり、警察が来るまで待て、ということ」
「けーさつって?」
「え? お巡りさんだよ? 」
「?」
「えっ?」
センは長いアガートラムからの説明に助け舟を求めてきた。他の二人も言葉にこそ出さないが、何か理解できないといった様子でこちらを見てくる。その動きを見て、少し大きな声を上げて、出来る限り分かりやすい言葉を使って説明した。しかし、その説明でも不足があった。
(警察を知らない? いや、そんなはずは、)
センだけが知らないのか、他の二人、アールとロックの方に顔を向ける。目が合うと、二人は同時に首を横に振る。それは完全に知らない言葉だという分かりやすい反応であった。




