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3045  作者: みむめも
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白の遺跡 音

 パッチンと焚き火にくべた木が大きな音を立て爆ぜ、火の粉が舞い上がって、ひらひらと風に揺られて落ちていく。繰り返されるその音に反応を返す者はもういない。誰もが無口になって、その焚き火の作り出す熱を感じ、不定形な火の踊りをただ眺める。


 センを探しにアールとロックが遺跡の中に入ってどのくらいの時間が経ったのだろうか?


 正確に時間を図る術を誰も持っていない。町の中であれば、一時間ごとに鐘が鳴らされある程度の時間を知ることが出来るが、町から遠く離れた森の中ではそれを望むことはできない。


 体感では驚くほどの時間を過ごした気分であったが、幾重に重なる大小の枝、生い茂る深い緑の葉の隙間、西の方角に未だに赤くない太陽が見えるので、それほどの時間は経過していないはずである。昼過ぎぐらいに遺跡にたどり着いて、おおよそ二、三時間程度というのが最も正解に近いかもしれないが正しいところは誰もわからない。


 太陽の日が一番強い中点にある昼間でも薄暗かった森の中は既に薄暗いという言葉を飛び越えて、小さな焚き火一つが生む赤い炎がなければ隣り合う相手の顔も分からない程に暗くなっていた。互いの距離は昼間よりも近いはずであるが、暗闇の中、それぞれ触れる距離にある隣の人が遠くに思えた。


 遺跡の前、ガラスの扉の前で待つ彼らは、当初は一番の当たりくじを引いた気分であった。


 センを探しに遺跡に入ったアールとロックは言わずもがな大変であるが、彼らから直接、町に戻って大人を呼んで来いと言われた仲間も任された仕事の内容を考えるとご愁傷様と思えた。


 せっかくここまで来たのに、何もしないうちから町に引き返すという事や、町に戻って、事情を話して大人を連れてくるという一番最初に叱られる役割を免除された事に彼らは言葉には出さなかったが、役得と心のうちでは歓喜に震えていた。


 しかし、暗さが忍び寄るにつれて、このただその場で待つという事の辛さが理解できた。


 初めは誰もが饒舌であった。


 気心の知れた仲間内で楽観的に大声でただただバカな笑い声を上げられた。しかし、誰かが気付いた。


 それは、自分たちが上げた笑い声が深い森の中、反響し聞こえた音。焚き火にくべた枝がなんの予告なく爆ぜる音。無音の風が何十枚の軽い葉を揺らし、それが互いにすれる音。セン達が消えた遺跡の中から響く甲高い聞いたことないような音。


 そのどれかかもしれないし、その全てが原因なのかもしれないが、その音は待つ彼らの内にある芯の部分を揺らした。一人のそれが揺れ始めると、二人、三人とそれは連鎖し、共鳴すると更に揺れ幅が大きくなった。そして、それに反比例するように誰もが無口となる。


 そうなってくると、その場に聞こえる音はより一層大きく聞こえる。うるさいほどに震える芯を抱えて、誰も喋ることはできない。


 その時、彼らの前の遺跡の奥、ガラスの扉に近づく足音が聞こえた。

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