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3045  作者: みむめも
39/204

????/??/?? 食品

 箱の中には見たことのないメーカ―のラベルが巻かれたパウチパックのゼリー状の食品が一つだけ入っていた。


(これだけ? マジで?)


 声にこそ出さなかったが、本当にそう思った。あんな登場の仕方でこれだけ?


 私が箱をためらいなく開けたので、隣に座る三人もその箱を開けて中に入ったパウチパックに困惑している様子であった。


 私はこのパックたった一つだけをうやうやしく仕舞われていた箱をもう一度よく確認し、アガートラムの方に顔を向けた。その行動をどう解釈したのか、アガートラムの方はすぐに反応してくれた。


―食事制限等のない方に向けての軽食となります。食物アレルギー特定原材料等27品目を除外し、主要宗教、祭事等の禁忌に対応した食品のみを使用したものです。以下詳細について確認されたい方は、


「分かった。もう、分かったから」


 くどくどとした説明がアガートラムから垂れ流しされる。聞きたいことはそういうことではなかったのだが、とりあえず食べても大丈夫なものだという事だけは理解できた。


 隣に座る三人はアガートラムからの説明を聞かずにコチラの方にばかり視線を向けている。その視線は私を見るというより、私の手元のパックに集まっている。この視線の意味は何だろうか?


 考えるまでもなく、それは一番初めにお前が食ってみろという意味でしかない。もうどうにでもなれと、手を箱に突っ込んで、箱からそのパウチパックを取り出した。


「いただきまーす!」


 大きな声で、自分を奮い立たせて私はそれを手元に寄せた。



 口の蓋の部分を軽くひねるとパキッと封印が解かれる音がする。そのまま蓋を外し、ゆっくりとそれを口もとに近づけて咥える。パック本体を軽く握り、中身が徐々に押し出されて、口の中に初めてそれが入ってきた。


 その味に驚いた。


 普通、フルーツなり栄養ドリンクのような匂いや味が感じられるように香料等が含まれているそれは、みそ汁のような味がした。


 予想外の和食に驚いていると、それが変化した。次に磯の香りが感じられ、白米の甘みと、わずかな塩のしょっぱさが感じられ、おにぎりを食べているような味わいが口に広がる。一つのパックの中で味が二種類存在しているのだった。


「……なんだ、これ、」


 口からただただ驚きの声が漏れた。


 私の反応に隣に座る三人はどう思ったのだろうか。アールとロックはそのパックを手に取って固まり、センは蓋を取らずにそのまま口にくわえ、袋がつぶれんばかりに力いっぱい握る。しかし、袋はつぶれるどころか、破けることなく、彼はパックを口から外して、こちらに向いた。


「タダサン! これ、何も出ないぞ!」


 その言葉は彼らしい話し方であった。

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