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3045  作者: みむめも
27/204

????/??/?? 加速

 急に前を飛んでいたアガートラムが停止して、車いすも動くのをやめた。何だろうと不思議に思う前に、止まったアガートラムがスッと私の頭の上を超えて動いた。その動きに合わせて、私も体を自然とその方向に向けた。


 そうすると廊下の奥からドタドタっとコチラに迫る足音があることに気づいた。目を細めて、よくよく見てみると小柄な人影が三つコチラに向かってきていた。


「〇△□!」「△□!」「〇、〇△□!」


 彼らは鋭く高い声でこちらに向かって何かを思いっきり叫んでいる。その言葉の意味は分からないが、その様子は半端でない必死さが含まれていた。何だろうと考えていると、いきなり停止していた車いすは動き出した。


「おお、なんだ! と、止まれ!」


 突然動き出したことに驚き、急いで止まるように言葉をかけてみたが、車いすはその言葉を無視して、後ろから迫る人から逃げるように前に向かって加速していった。


 なぜわかるのか?


 速度が上がるにつれて、正面、体に受ける風が冷たく重いものになっていたし、背面、コチラに向かって叫ぶ声が小さく、遠いものとなった。加えて下方、車いすは下からの僅かな凹凸を超えるたびにそのサスペンションの機能を超えてダイレクトに体に響かせていたからである。


「と、止まって! 痛い、響く」


 コチラが止まれと叫んでも動きは加速したが、痛いと叫ぶと加速は緩やかになった。自分が思い描いていたよりも車いすは速度を出せる高機能であったし、それは乗る人を考えるものであった。


―武装集団と接触しました。安全距離の確保まで我慢してください。


 いつの間にか後ろに下がっていたはずのアガートラムが肩口に移動して、急に動き出した理由を後付けで説明してくれる。下から響く衝撃が小さくなって、体に余裕が生まれたから、その説明で急加速の不都合は理解できた。


 しかし、疑問が残った。


 武装集団? さっきの人たちが? ちらっと見かけた小柄な影に、想像していた武装集団、テロリストのイメージと少し違っている。それに加えて、後ろから、聞こえる声も変化していた。


「待って!」「お願い! 置いてかないで!!」「止まってくれー!」


 涙交じりの子供の声、いっそ、悲痛な叫びが聞こえる。


 なにこれ?

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