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3045  作者: みむめも
25/204

????/??/?? 問答

 部屋の外に出て、周囲を飛び回るアガートラムが最適な位置に落ち着くと車いすはトコトコと勝手に動き出してくれた。もちろん車いすが動くと一緒に四つのアガートラムも動いてくれる。揺れは少なく、速度もあまり早くないが少し不安というか、違和感を覚える乗り心地であった。


 結局のところ、自分が何も関わらないというモノに全てを預ける、身を任せるという事はとても不安で、恐ろしい。いくら車が自動運転で口頭で行き先を指定するだけになっても、運転席にはハンドル、アクセル、ブレーキという機構が残されている。速度が違うから、一概に比較するのは間違いかもしれないが、それがあることで自分が車に乗っている、使っているという意識を持てているのだと思う。


 人が歩く程度の速さしかない車いすは私を安全だという場所に黙々と運んでいるらしいが、どこに行くのか説明はなく、ただ勝手に進んでいるだけである。車いすの構造上、普段よりも低い視点、半分ほどの高さから見る世界はとても広く、大きく感じる。まして、今自分はここが知らない場所であるので、とても不安であった。


 そういた不安を感じ取ってくれたのか頭上のアガートラム、おそらく全体の指揮、統括を役割づけられたソレが肩の付近まで高度を下げてきた。


―挙動の不審を検知しました。動作に不備、もしくは、何か不都合はございましたか?


 いきなり車いすが止まる。しかし、速度が出ていなかったおかげか、止まる際の前につんのめるような感覚はなかった。そして何度も聞いたあの声が響く、流ちょうで堅苦しい日本語の問いかけであった。


「いや、動作はいいのだけど……、」


―動作に不備、不都合はありませんでしたか。では、何か別に問題がありましたか?


 こちらが含みを持たせて返答すると、それをアガートラムはくみ取ってくれたが、しかし、その返答が返されるとほぼ同時に、車いすは急に動き出した。メカニカルな問題ではなく、心理的、感覚的な問題だとアガートラムは判断して、武装集団から逃げるという第一目的を優先し、おそらく合理的に発進を強行したのだろう。


 その動き自体は急な発進であったのに、体にかかる加速の負担は少ない。もしかしたら、先ほどの急制動も速度以外に何か別の未知なる仕組みで負担を感じないようになっていたのかもしれない。そこら辺の事は後回しにして、とりあえず、一番聞きたいことを口にした。


「これからどこに向かうのか、それを教えてほしい」


―建物の外に出ます。既に通報しましたので展開する警察に保護を求めます。


 ああ、そう。


 意外なほどあっさりとアガートラムは説明を返してくれた。その内容にどこか不審な点は見当たらず、むしろ順当な説明であった。


「外に出るのね」


ーはい。


 一番短い肯定の言葉で返されて、あとは何も言えなくなった。

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