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3045  作者: みむめも
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白い遺跡 ガーディアン

「ん、……ん。」


 倒れ込んだロックが目を覚まして一番初めに聞いたのは、ビービー大きく鳴り響く音と激しい口喧嘩の応酬であった。


「もう逃げないでよ。臆病者!」


 アールは何かを拾い上げ、それを手に持つと肩に担ぐように構え、そして、水平にそれを鋭く振り抜いた。振りぬかれる瞬間、ロックはそれが大鉈だと気づいた。


 鉈はもともと森での活動の際に使われる枝打ちや雑草を刈り取りに適した刃物である。アールが持っているのはそれよりも大きなもので薪などを割る際に使うものである。それは片刃で、重く、厚みがあり、それを利用して薪を割る。また、特徴的な点として、刃のある方に少し湾曲した造りとなっている。ナイフとは違い刃先というモノがない。代わりに全体的には四角い形であるが、先端部分が飛び出ておりかぎ状の形となっている。


 アールが振り抜いた大鉈はその飛び出た先の部分がガラスに突き刺さり、続いて鉈の刃先がガラスにガツンとぶつかていった。


 ロックが体全体でガラスにぶつかった時はその衝撃がロックの体積に応じた形で広く分散したため、ガラスに対して何の影響もなかった。しかし、今度の衝撃は鉈のかぎ状部分一点に振りぬいたエネルギーが集約し、そのままぶつかることで、ガラスの扉に小さく穴が開いた。そして続く、大鉈本体の衝撃はガラス全体に響き、細かなひびが波打つよう走り、ガラスに浮かび上がっていた文字はその瞬間に消えて、細かなひびによって扉は真っ白くなった。


 ロックはその光景を見ながら、建物中にピー、ピー響く断続的に甲高い音を確かに聞いた。彼は嫌な予感から、アールを止めようと動いたが、アールの動きはそれよりも早かった。


 彼女は再び大鉈を構える。

 そのまま先ほどと同じように大鉈を振りぬく。今度はより鋭く、早い動きで、大鉈は一直線に、最短の距離、そのまま振りぬかれた。それがガラスに接触した瞬間、真っ白くなっていたガラスはその衝撃を受け止めることはできずに、あっけなく崩れていく。そして鉈本体はエネルギーをそのままに扉の向こう側に飛んで行った。


「殺す気か! このデカ女!」

「うるさいわね! 死にはしなわよ! 臆病者はもう逃げないでよね」


 センとアールは口喧嘩を再開した。


 ロックはしばらく立ち上がれなかった。不気味に鳴り響く甲高い音は何か言葉で指示を出し始めていた。


―施設一部に武装した集団が侵入、ガーディアンは至急、現場に向かってください。繰り返します。施設一部に武装した集団が侵入、ガーディアンは至急、現場に向かってください。……

 

「……ガーディアン?」

「……、とにかく、あれ、セン、起きたの?」

「な、セン? おい大丈夫か!」

「二人とも、何か聞こえない?」


 口喧嘩をしていた二人がようやく起き上がったロックに気づき、言葉をかける。しかし、ロックには、その二人の言葉に答えるよりも、まず確かめたいことがあった。


 ブーンと何かが高速でこすれ合うような音がいくつか聞こえてきた。それは、ロックたちが来た方向から徐々にコチラに近づいてくる。


「ピーピーうるさい奴か?」

「違う、なにか近づいてくる奴」

「え、ああ、聞こえる」


 音がする方に体を振り向けると、何か丸いものが空を飛んでいた。

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