白の遺跡 文字
遺跡の奥には、またガラスの扉が設置されていた。その扉には先ほどの扉とは違い、いくつかの記号と何か知らない文字が描かれていた。
「これ、何?」
「分からん」
ゆっくりと慎重に二人はその扉に近づく、入口の扉とは違いそこには鎖も鍵もつけられていない。入口の扉は、鍵を開けた際に開いたが、今回はそうはいかない様子である。
ロックがアールに手で待つように合図を送り、一人で更にその扉に近づく。彼は何か危険な罠や仕掛けがないか足元を気にして、一歩一歩、着実に扉に近づいていた。
扉まであと一歩、二歩という距離まで近づいて、いきなり後ろにいるアールから声を掛けられた。
「待って! 扉の文字の色が変わってる」
「え?」
その言葉に、ロックは顔を上げた。
二人が初めてその文字を見た時、それは青い色で書かれていた。しかし、ロックが扉に近づくと、文字の色は青から、黄色、オレンジへと変化していた。パッといきなり切り替わるのではなく、徐々に色合いが変わっていくのでアールはその変化に気づくのが遅れた。
アールからの言葉でその変化に気づいたロックは、また少しづつ扉から離れた。すると、文字はオレンジから黄色と変化し、最初の位置まで戻ると、初めて見た青色の文字になっていた。
「これって、どういう意味かしら?」
「……」
アールはどうにも嫌な予感がした。そしてそれは、ロックも同様であった。
二人にはこの文字の色合いの変化は、何か重要な事を伝えるモノに思えた。それは、この遺跡に入って初めて、向こうからコチラに伝えられたメッセージであり、これをおろそかにしていいものか、二人は悩んだ。
その時、扉の向こうで何かの影が動いた。
「セン?」
ロックはそれが何か分からないまま、無意識的に声を出してしまった。
ビクッと影は肩を震わせる。そして、再び奥に向かう。
「待て! セン、行くな!」
ロックはその影に向かって言葉をかけ、足を動かし、腕を振る。一歩一歩が空を飛ぶように、大きく床を蹴り、ガラスの扉に迫った。扉の文字は一瞬で青から黄色、オレンジ、赤へと切り替わり、最終的には真っ赤となって明滅する。
その変化にロックは気づいていない。ロックは勢いそのままに体を扉にぶつけた。
ガラスの扉は、ロックの体当たりを受けてもびくともしなかった。というよりも、ロックの体当たりはその衝撃全てが飲み込まれるようにへたり込んだ。




