第7話:広がる世界
視点がシンに戻ります。
久しぶりに誰かに本音を話した気がする。
なんだかスッキリした気分だ。
それにリンとも普通に会話できるようになってきた。
正直、向こうから声をかけてきたとき内心驚いた。
まぁ、質疑応答みたいな感じだったけど…。
願わくば今後何気ない会話が出来るようになればいいなと思う。
さて、魔物討伐というアクシデントこそあったが、そろそろ移動を再開しよう。
……と思ったがリンが質問してきた。
「ところで…それ、どうするの?」
「・・・どうしよっか?」
それ・・・とはナイトメアウルフのことである。ついでにファンガボアも。
ついいつもの癖で血抜きをしたが…どうやって運ぼう?
今まではストレージに突っ込んで終わりだった。
やっぱ便利だったよストレージ!チクショー!
「せめてウルフは持ち帰りたいなぁ。」
高ランクは売ると高値が付く。金欠なんですよ私。
「そのポーチに入らないの?」
「え?・・・さすがに無理じゃない?」
リンは俺の腰についてるアイテムポーチを指さして言った。
アイテムバッグじゃないんだ、無理じゃね?
でも可能性は捨てずに一応やってみる。
お?これは?
ポーチをナイトメアウルフ近づけたら少しずつ吸い込まれていく。
少しして跡形もなくなった。
「「は、入った…。」」
入った。いや入るんかい。スゲーなこれ。
「じゃ、じゃボアの方も…」
同じようにポーチを近づける…無反応。
キャパオーバーか……。
「せめて少しでも入らないか試してみるか...。」
結局ファンガボアの素材は角と牙のみ回収出来た。
「さて、気を取り直して行こうか!」
「うん。」
その後は特に戦闘もなく歩き続けた。
にしても空が少し明るくなってきたな…。
もう少し歩くと草のない地面が見えた。
地面は左右に大きく伸びている。
・・・間違いない。これは道だ。
「どっち行こうか?」
「シンに任せる。」
よし、左に行こう。右は下り坂で何も見えない森だ。
一方こっちは上り坂だが道の先に空…もしかしたら山の頂上の可能性がある。
あそこなら付近を一望できるかもしれない。
街とか見えたら万々歳ってことで!
上り坂を少し進むと景観が開けた。
予想通りここが頂上だったようだ。景色を一望出来る。
そこにあったのは目を見張るほどの風景があった。
「・・・すごい!」
「あれは…湖?いや海か!」
奥から海、港、そして街…。おや?すぐ近く、ちょうど下り坂を終えたあたりにも集落らしきものがある。
「世界はこんなにも広いんだ…。」
リンよ、世界はこんなものじゃないぞ?
ん?あれは…!
「おい、リン!見てみろよ!」
「わぁ…!!」
時刻は夜明け、海から出てくるそれは暖かな光。
日の出だ。
「『きれい…。』」
相変わらず心話が漏れているな、リン…。
だか心の声がポロっと出てしまうってよく言うだろ?
海と日の出と一望できる山頂、とても綺麗だ。
ふと、感動に浸っているリンを見る。
銀色の髪が日の光を反射しているようで輝いていた。
そして瞳から一筋の煌めきが見えた気がした。
いやぁ、いいものみれたぁ。
日の出を堪能した俺たちは手前に見えた集落らしき場所へ向かう。
「っ!いた!」
「!どうした!?」
道中、リンが急に痛がりその場でうずくまった。
「あ…その、足が痛くなって。」
「見せてみろ!」
大きな怪我は…ないな。でも裸足だったからだろう。
小さな擦り傷が見える。
森ではいつ魔物が来るかわからなかったから我慢してもらっていた。
ただ森は地面が柔らかい土だが、道は荷車が通ったりするため硬い。
ここに来て限界が来たんだろう。
仕方がない…。
魔物遭遇時のリスクは増えるが幸い集落は目と鼻の先だ。
リンを背負っていくことにする。
「ほれ?」
「?なにを?」
「知らんのか?おんぶってやつだ。」
「おんぶ?」
「足もう限界だろ?俺が背負っていく。」
「でも…。」
「いいからいいから。」
リンさんはもう少し甘える事を知ってください。
「ほら、はよ。」
観念したのか、少し体重を預けてきた。
「立ち上がるぞー。」
リン、全然軽いなぁ…。これからたくさん食え。
「落ちないようにつかまってろよ?」
そういったらリンが全身を預けてきた。
(!これは、まずい!!)
何がまずいって?ナニがとは言わんが背中にやわr…。
「・・・邪念退散…邪念退散…。」
「シン?」
「なんでもございません。」
「?」
邪念退散…邪念t…
「シン、あたたかい。」
タイサァアアアァァア!?
ビックリしたぁ!意識しそうなこと言わないでぇ!?
「・・・そりゃ生きているからな。」
とりあえず、ごまかす。
むぁああ…意識しそうだから辞めてくれ。
「なんかおちつく…。」
首元に顔を埋めてきた。
ぬわぁあ…本当に意識しそうだから辞めてくれぇえ…。
シンはコートをリンに渡しているため薄着です。
リンはコート以外着ていません。
そういうことです。
Topic :シンのアイテムポーチ
実は魔王との決戦に役立てばと、国王が用意した高価な一級品。
ポーチなのにバッグ級のアイテムが入る。
シンにはストレージがあるせいであんまり活躍しなかった。
がんばって用意した王様、泣いていい。
Topic :魂の同化2
リンがシンに触れると落ち着くのは魂の同化だけで説明が付きます。
魂と魂は水と油に近いです。交わることがありません。
ですがシンとリンは同化のせいで似た成分です。そのため近くにいる、触れるだけで落ち着くのです。
波長が合うとかそんな感じです。




