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第5話:エンカウント

タイトル通り戦闘です。

キャラの動きを説明するの難しい...。

会話が続かず気まずい空気になってしまった。

でも森を抜けなきゃいけないからな…。リンをフォロー出来ずに申し訳ないが引継ぎ現状の把握を行う。


今度は俺の状態を確認する。

勇者能力は無しだ。出来ることが分からなくてリスクが高い。戦いで不発したらたまったもんじゃない。

近接武器は折れた剣……改めてなんで折れてんだっけ?

アイテムポーチから取り出して観察する。

ミスリル製の直剣だ。刀身に薄っすらと模様が見える。


これ、魔王城攻略する時に使ってた魔導剣だ。


魔導剣とは、魔術式を剣に刻印したものだ。

魔導具の武器版、魔力を通すだけで魔術が使える。

魔術式の構築が不要なため使い勝手が良く、意外と重宝する。

弱点は武器本体の耐久力低下と付与できる式のレパートリーが少ないことくらいか。

ちなみに魔剣ではない。


ミスリルだから再利用しようとしたんだっけ…。

確か火属性を付与していたはずだが、折れて刻印が半分がなくなっているため正常に機能しないだろう。

武器としては不十分、これでどうや……


ガサ…


「っ!リン、俺の後ろへ!」

「え?」

「早く!」


突然、近くで不自然な物音がした。

魔物か?接近を許してしまったというのか!

現状戦力も把握できてないってのに最悪のタイミングだ。

物音は足音らしき音へ変わり、大きくなってくる。


(音の方角は…右前か!)


リンを守るように身体の向きを変える。



(・・・見えた!)


こいつは…ファンガボアか?


ファンガボアはランクDの猪型の魔物だ。鋭い牙と角を用いて突撃してくる。


「ま、魔物!?」

「安心しろ!こいつ程度なら俺一人でも対処でき…っ!!」


突然、ファンガボアが横へ吹っ飛んだ。

よく見ると何か黒い影が横っ腹に噛み付いている。


(あれは……ナイトメアウルフ!?)


不味いな。今エンカウントしたくない魔物No.1だ。


ナイトメアウルフ:ランクA。

端的に言えば大型で力が強い、なのに動きが速く攻撃が当たりにくい。

そして最大の特徴は……。


「うそ…増えた!?」


闇魔法で幻影を生み出し狩りをする。

獲物をとられると思ったのか、次の獲物を見つけたからかわからないが戦闘態勢に入るまでが速すぎる!

一瞬で俺達は囲まれた。


(これ…リンを守りきれるか?)


(いや、そもそも生き残れるのか?)


武器も無い。魔法や魔術も今何が使えるの解らない。

既に逃げ道も無い絶望的な状況。


(俺が、勝てるのか?)






『僕、死んじゃうのかな…。』

『せっかく助けてもらえたのに...。』


『まだ、何もできてないのに…。』


震える手が縋るように背中に触れる。


(何弱気になってるんだ俺は…。)

(最初っから諦めてたら、勝てるものも!勝てないだろ!!)


今の俺に出来ること…。


知識を絞り出す。

生態…習性…知性…構造……。

戦術を構築する。

ポーチ…剣…投擲…ナイフ……。


(生き残るためにはこれしかない。)


-覚悟は決まった。


「リン、目を瞑っててくれ。」

「どうして?」

「『大丈夫…言ったでしょ?俺を信じて。』」

「・・・わかった…。」


ナイトメアウルフが動き出した。

獲物を逃さないよう、俺達の周囲を囲いながら走っている。


「一発勝負だ。」


右手で折れた剣を構える。左手には投げナイフを隠し持つ。

集中しろ、奴の攻撃する瞬間が勝機だ。

チャンスは一度きり。あえて正面を向いたまま耳を澄ませ、視線だけで奴を見る。


突如、左側から飛び込んで来た。

迎撃したくなる気持ちを抑え、無視をする。


(こいつはハズレ!)


ナイトメアウルフ(幻影)は俺達をすり抜けていった。

そう、判別が難しいだけであって所詮はただの幻だ。

実態が無いためすり抜ける。


(次!)


正面から来た、コレも違う。


(次・・・背面!)


「お前だ!」


振り返り様、ダメ元で剣に魔力を通しつつナイトメアウルフの首筋を狙う。

火こそ出なかったが、どうやら一瞬で高温になってくれたようだ。

赤熱した刀身が首を切り裂く…が折れた剣だ、傷が浅い。

ナイトメアウルフは着地後、幻影を見破られたことに驚いたようでこちらを見てきた。


着地後、見てきた…つまり足が止まっているということ。


「そこだ!」


今が好機!隙かさず、ナイフを投擲しながら走り出す。

狙いは目だ。


「ギャウン!」

「命中!!」


片目を失い怯んだ。すかさずもう一本のナイフを投擲する。今度は足元だ。

外した…が問題ない。距離は詰めた。

この距離はもう、俺の距離だ。

今度は剣で足を狙い転倒させる。


「これでぇええ!!」


アイテムポーチから解体ナイフを取り出す。

先ほどの首傷口に再び剣を切りつけ傷口を広げる。

そして解体ナイフで傷口付近にある魔物の心臓へと突き立てた。


「--!」


小さな絶叫の後、ナイトメアウルフは動かなくなった。

それはつまり…


「はぁ…はぁ…俺の...勝ちだ!」

Topic :ランク

冒険者と魔物に適応される国が定めた強さの基準。F~Sまで存在する。

Bから上はソロ討伐は不可能と言われるほどの脅威となる。

安全のため、依頼を受ける際は自身のランク+1しか受けることができない。


Topic :ナイトメアウルフ

ランクAの魔物。推奨パーティー:Aランク最低4人以上。

黒い毛皮を持つ大型の魔物。四足歩行でも人間並みに大きく力も強い。

突進するだけで木が折れるくらい強い。

最大の特徴は幻影=分身を作り出すこと。

幻影で獲物を囲い逃げ道をなくし、フェイントを交えつつ仕留める、とても知性が高い魔物です。

また夜行性のため、さらに視認性は悪くなります。

背中合わせでお互いを守ることで対処します。

なお、防ぎきれなかったらパーティーは背中から攻撃を食らうこととなるため壊滅します。

幻影の判断方法は、足音・光の2つのみです。

幻影は足音がしません。

幻影は光(日光・光属性)に弱いです。当たると薄くなったり、消滅したりします。

ランク故に流通が少ないため、素材が高く売れます。

お肉美味しい。毛皮が人気。

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