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魂の勇者は元魔王とスローライフを送りたい  作者: ミゼル
第1章:主人公に憧れた者
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第29話:現実的で効率的で非効率な作戦

「・・・お前、それマジで言ってる?」


作戦を説明すると、ハイトに変な顔をされた。


「まずは仮説を確認してからの作戦だけどね」


守備旅団の方を見ると彼らも悩んでいるようだ。


「もし仮にその仮説が当たってたとしても、ハーミトの負担が大きくないか?」


「一応、俺も使えるので少しは分担できると思います」


ただやはり...できればもう2~3人は欲しい。


「ハイトさん、ここにディスペルが使える魔術師っていますか?」


「・・・分からん。冒険者ってのは魔術師が少ないからな。でも本当にその作戦で行くのか?」


とはいえ他に案が思いつかない。


「ここまで言っておいてあれだけど・・・今ここの指揮はハイトさんです。最終判断はあなたに任せます」


我ながら無責任な発言に対しハイトはしばらく考えた後あーもう!っと喚いた。


「考えても思いつかん!とりあえずそれを試してみよう!」


作戦は決まった。




再び戦場を駆け抜ける。

襲ってきていた魔物たちはほぼ討伐され、残すは蛇だけのようだ。

さっき攻撃を貰った場所付近に着くと、何もないところを冒険者たちが囲っていた。

いや、よく見ると小さい何かが素早く動いている。目を凝らしてよく見ると魔導剣なのが分かった。


「てことはあそこにいるのか」


振り向いてマスカたちに合図する。


「始めます」


「了解。シンさんどうかご無事で」



スカイステップを使用し上から近づく。

まずは透明化の原理を解明する。といっても大体の予想はついており、傷を癒している間に仮説は立てた。

俺は腹を刺された際に奴に触れた。その時に微量だが魔力が纏われていることに気づいた。

体の周りに魔力を纏っている状態というのはほとんどが強化魔術などを自身に付与しているときののみだ。


「つまり、そういうことだろ!」


スカイステップは2段ジャンプを可能にするだけなので滞空時間が短い。

詠唱は省略していく。


「〈ディスペル!!〉」


地面に向かって解呪魔術を放つ。直後に変化が起きた。

着弾地点から紫色の鱗が見え始め、次第に広がっていく。

予想は当たった。


「透明の正体」


かつてある論文を読んだことがある。

なぜ魔物には魔法を使える存在がいるのか?

なぜ人によっては魔法が使えないのか?

人間に近しい種族である、エルフ族や獣人族は使える者が多いのか?

もしかすると、種族によって固有の魔法が存在するのではないか?

私はそれを…


「それを種族魔法っていうらしいぜ!」


蛇の姿が完全に現れた。蛇っていうかコブラじゃね?

あの砂漠にいるやつ。いやあれも蛇か。にしても話には聞いていたがデカいな。


「でも、姿さえ見えれば!」


剣を振り上げる。そのまま脳天めがけて全力の一撃を見舞う。

落下の力も合わさって強烈な一撃が入った。




はずだった。


ガギン!!バキ!!


「Shaaaaa⁉」

「んな⁉」


弾かれた⁉硬すぎんだろ!

それと今凄く嫌な音がした。着地しながら武器を見る。


「折れたか」


根元からポッキリと折れていた。これでもう近接武器がなくなった。

だがこの攻撃は弾かれたとはいえ衝撃はすさまじかったようで、頭を地面に叩きつけることに成功した。


「今だ!目を回してるぞ!畳みかけろ!」


ハイトの声に囲っていた冒険者達が一斉に攻撃に入る。


「なんだこれ⁉」

「かてぇ!」

「魔術効いて無くない?」

「火が通ったかも‼」


色んな叫び声が聞こえたが、有益な情報があった。

やっぱり火に弱いのか。仮説がどんどん当たっていくな。

それならまだ武器がある。


「〈フレイムショット!〉」


火球を放つ。着弾と同時に奴の叫び声が聞こえる。確実にダメージが入った証だ。


「火属性が弱点なのは確かのようです!」


あとは簡単、ひたすら火魔術を撃ち込むだけだ。

このまま一気に、


「ぐわぁああ⁉」


突然悲鳴が聞こえた。

一斉に攻撃を浴び、錯乱した蛇が尻尾を振り回し近くにいた人たちを薙ぎ払ったようだ。

彼らは近づいていたから回避できなかった。

そして眩暈から治ったようで再び姿が消え始める。今再び見失う訳にはいかない。


だからここで作戦が活きてくる。


「ハーミトさん!」

「はい!〈ディスペル‼〉」


消えかけていた身体が再び姿を現す。

あの透明化の原理が分からない以上、最適な解決手段が不明だ。

でも解呪魔術で一時的無効化できるなら別に構わない。


だから解呪(ディスペル)でゴリ押す!


こいつ、感覚的にゲームでいうあれだ。

敵が強化されたら即解除しないと負けるボスみたいなの。

本当は最適解があるんだろうが、アイテムとかでゴリ押す系。


・・・って、また消えようとしてる!ディスペルの効果切れるのが思ったより速いな!


「今度は俺だ!〈ディスペル!〉」


この作戦、MPの効率は悪いが一番効率が良い戦法だなんだよなぁ!

Topic:種族魔法

種族固有の魔法。正確にはその種族に使える人が多い魔法を意味する。

獣人族だったら獣化、ナイトメアウルフだと幻影分身などが該当する。

ちなみに人族は身体強化魔法、魔族は瘴気魔法と推測されている。

身体強化については魔術版もあるため発見がかなり遅れた。

種族魔法は息をするように使えるため、この論文が発表されるまで使えることに疑問を持つものはいなかった。

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