第1話:目覚め
甘い香がする…。
薄っすら目を開けると美しい夜空が広がっていた。
何処だここ?花畑?湖もある。
月灯りが反射して綺麗に煌めいている。
とはいえ夜だ。目が覚めたばかりだけど再び眠くなる。
波紋の音、風は静かに「ぅにゅぅ」とささやい……
「ん?」
真横で明らかに人の声がしたんだか?何で?
恐る恐る右を見てみるとそこには俺の右手を腕枕にして寝ている銀髪の少女がいた。
訂正しよう。裸の少女がいた。
!?!?
ダレェエ!?
ナンデハダカァア!?
落ち着け、記憶を整理しよう。魔王との決戦のあと女神によって肉体を再生してもらって......。
あ、少女が目を覚ました。
・・・綺麗な碧色だぁ…
人は驚くとかえって冷静になるとよく言われる。
人は面倒くさくなると考えることを辞めたくなる。
・・・つまり、思考放棄した。
「ぇ?え!誰!?」
あ、飛び起きた。誰って俺も聞きたいよ。
とりあえず俺も体を起こす。
何か知らないかを確認したい。
「え〜と……」
「ぼ、僕に近づかないで!!」
「うぉあっぶね!」
少女は急に魔法を展開した。
目覚めて初手攻撃かよ!ってちょっと待て。
これは…リフレクトシールド?
勇者時代に俺が生み出した魔法だぞ!?なんで使えるんだ!?
この異世界で魔法は固有に等しい。同じ魔法を使える人は稀なのだ。
「なんで…」
「あれ?なんで?声が出せる?なんで体が動く?」
なんだ?急に全身を確かめ始めたぞ?
少女の声は次第に潤んでいく。そして泣きながらずっとなんで?どうして?と言い続けた。
ふと、天界での女神の言葉が過ぎる。
ーあの子も一緒に…魂が同化していて…
そしてあの時のように声が聞こえる。
『どうして?身体が自由に動くの?』
聞いたことある声だ。
そうか。この少女はあの時、助けると決めた相手。
そして、助けることが出来た相手。
ならば今やるべきことは一つだ。
「おはよう、魔王。新しい目覚めの気分はどうだい?」
少女が反応した。
そして恐る恐る聞いてきた。
「君は?」
「勇者。そして恩着せがましいかも知れないが君を救った者」
「・・・勇者…。ねぇ教えてくれないか?」
「僕はもう、誰も傷つけないの? もう誰も殺さない?」
やっぱりか。あの時感じた感覚は間違いじゃなかった。
魔王は自分の意思で動くことができなかったんだな。ずっと一人苦しんできた。
ならば答えよう。
「もう大丈夫、これからは誰も傷つけないし、誰かの命を奪うこともない」
「自分の意思で好きに動ける。なんだって出来る!」
「君はもう、自由だ!!」
その言葉に安心したのか、大声で泣き出した。
俺達を隔てていた魔法も解けて消えてゆく。
夜の花畑に泣いている銀髪の少女。
う〜ん画になるな。
本当だったら泣いている子は抱きしめてやるが主人公として正解なんだろうけどやらない。
理由は2つ。彼女は魔王として人を殺してきた。
人に触れられるという行為が精神的にどう転ぶか分からなかったから。
もう一つは…俺は着ていたコートを脱いで少女に被せる。
忘れていけない。彼女、何故か裸でした。
泣き止んだら服着てもらおう。
この後の話はそれからだ。
魔王や勇者の過去についてですが、今後少しずつ語っていこうと思っております。
Topic:後書きについて
本項目ではエピソードに出てきた用語や登場人物について解説する。
せっかく作った設定などをげろげーろしたいからである。




