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魂の勇者は元魔王とスローライフを送りたい  作者: ミゼル
第1章:主人公に憧れた者
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第20話:野営雑談タイム

セリフとセリフの間に改行入れたほうがいいって最近知りました。

ときとばで試していきたい。

夜の見張りは2交代制で動くことになった。

前半にネヒト、マスカ、フレミナ、

後半にアック、ハーミト、シン、リンだ。


「雇い主であるフレミナさんも協力するんですか?」


「まぁね、道中はみんなの負荷がなければないほど良いのさ」


まじでこの人、商人でありながら思考が冒険者よりだな。


「フレミナさんって元々冒険者かなんかだったんですか?」


「いや、私は見習い商人さ」


そっか、違うのか...って見習い?


「さ、早く寝な。体力の温存は大事だよ」


少し気になったがフレミナの言うことはごもっともなので、お言葉に甘えて馬車に戻る。

ちなみに設営されたテントは見張り役が雨降った場合に使うらしい。

テントで寝ないのはいざというとき素早く馬車で移動するためだ。


コートだけ脱いで荷台の端で横になり、借りた毛布をかぶり寝る体制をとる。




・・・さて。

俺と同じく野営後半組のアックとハーミトがこっちを見てきている。


Q.なぜでしょう?


「リンさんや…どうして入ってきた?」


A.俺の毛布にリンが入ってきたから。


「だめ?」


「・・・ダメじゃないけどさ」


いや、ダメかもしれないが…。

う~ん何でだろう...リンのお願いを断れない自分がいる。


「ならシンと一緒がいい」


・・・いいのか?これ、いいのか?


…しばし沈黙。何とも言えない空気に包まれた馬車。


「ね、寝ましょうか…」


「お、おう」


「そうですね…」


いや寝ずらいよね。ごめんさい。

なお元凶である張本人はすでに夢の中である。


・・・寝つきがいいのは良いことですねぇ!









「そろそろ、交代のじか…なぁネヒト、これ起こしていいのか?」

「起きてるんで大丈夫です」

「うぉ!」


美少女と添い寝。いや寝れるか!前世でも今世でも経験ないわ!!

ちなみにアックとハーミトは寝れたようだ。さすがプロ。

リンを起こしつつ前半組と交代する。


「マスカ、魔物とか出たか?」


「いや、平和なものだ。ただ少し雨が降ったから早朝の霧が心配だ」


ほんとだ。地面を見ると少し湿っている。


「出発を早めるか?」


「それに関しては、今のところ不要だね」


はて、なぜに?


「霧が濃いと進むのは危険では?」


「それは道がない場合だね。道があるなら迷うことはそうそうないさ。あと降ったといっても小ぶりだから霧もそこまで濃くならないはずだよ」


フレミナはそれに、と続けて言う。


「今回は探索に長けているネヒトさんを前半組にした。休憩くらいさせてやらないと可哀そうでしょ?」


なるほど。大変ごもっともです。


「ただ、あまりにも霧が濃くなりそうだったら起こしてね。私達が判断するから」


「わかりました」


「じゃ、おやすみ~」


あくびをしながら前半組が馬車に入っていく。


「おやすみなさい。皆さんおつかれさまでした」




さて、野営後半が始まったわけだが...。


「特にすることねぇし、何か話そうぜ!」


「眠らないためにもそれがいいかもしれない」


寝れてないし。とは言ったものの何を話す?


「なんでもいいぞ?」


そうだぁ…。こういう時はありきたりな話をするに限る。


「皆さんはなぜ冒険者に?」


「お、守備旅団についてか?」


正直、冒険者という職業に少し憧れていた。なにせ異世界定番の職業だ。

前世で読んだ色んな作品でも数多くの主人公が冒険者として戦い暮らしていた。

でも俺は勇者だったので冒険者に登録できなかったし、そもそもそんな暇もなかった。

だからPTの成り立ちや冒険譚を聞くだけでも結構楽しい。


「俺たちはもともと同じ村出身だっただけどよ、選定の儀で冒険者向きのクラスを授かったんだ」


なるほど、クラスに合わせて職業を選んだタイプか。

この世界ではよくあることだ。基本的に職が安定するからな。


「俺は剣士でマスカが守護者、ネヒトが旅人でハーネトが魔術師だ」


あれ?聞いたことないクラスがある。


「旅人ってどんなクラス?」


「なんか方向感覚が鋭くなったり、環境変化に対して敏感になるらしい」


なるほど、確かに旅をするのに適したクラスだな。


「ネヒトさんが探索魔術が得意なのはクラス:旅人が影響してるのかもしれないですね」


「もしかして守備旅団ってのもクラスが由来?」


「そうですね。私たちのPTはマスカさんがリーダー、ネヒトさんがサブリーダーを務めてます」


守と旅で守備旅団か、なんかいいなそういうの。


「まぁそれもあるし、俺たちは世界中を旅したいと思ってたんだ。クラスを最大限生かしながら旅するなら護衛任務が向いてるのかなって思ったのもある」


「じゃあ、今回も旅のついでにフレミナさんの護衛を受注したのか?」


「まぁそれもあるが、ちょっと違う」


あれ、違うのか?


「私たちの故郷、サンゼン村って言うんですけどね。水都ホルンの近くにあるんです」


「じゃあもしかして、今回は里帰り?」


「そういうこと。しばらく実家に帰ってなかったからな、たまには親に顔見せないと」


親孝行でいいことじゃん。


・・・実家か。

俺はこの世界の親は知らない。意識がはっきりしてからはずっと孤児院にいたからなぁ。

そういう意味では俺にとっての実家は孤児院になるのかな?

みんな、今も元気にしてるかな?

王都に帰還してはよく会いに行ってたけど、今も仲良くしていてほしいな。


物思いに浸っているとリンがもたれかかってきた。

うとうとしてる。どうやら眠いようだ。


・・・君なんかいつも寝てない?


まぁでも、眠くなるのはわかる。正直俺も眠い。

深夜のキャンプ。気温湿度は快適で焚火がパチパチ鳴ってる。

焚火の音ってなんでこんな眠くなるんだろ?

かといって寝るわけにもいかない。ちゃんと見張りは行わないと。


とはいっても見張りは俺たち3人で何とかなる。


「眠かったら寝てていいぞ?」


というかなんかあってもリンは戦えないし...。

いざという時は起こすが別に寝てても問題ないだろう。


「...ぅん。そぅする」


うわ、マジで眠そうじゃん。

限界を迎えたリンは昨日みたいに膝の上に収まった。

君そこ好きだね、猫かよ。


「ひ、ひざ枕...」


ハーミトさんどうした?


「おたくら、仲いいなぁ」


まだ出会って1日なんですけどね。


「あの、すみません」


突然ハーミトが何故か申し訳なさそうに言い出した。


「どうしました?」


「あ、いや…その…」


(これ、聞いていいのでしょうか?)

(いいんじゃね?てか俺も気になる)


なにやらコソコソ話し出してしまった。

何かあったのだろうか?

首をかしげていると、再びハーミトが話しだした。


「シンさんとリンさんってどう言う関係なんですか?」


「へ?関係?」


俺とリンの関係?

しいて言えば勇者と魔王だが、それは過去のことだ。

なら今は?旅仲間か?


「何なんだろうな…」


「え?」


あ、答えを出す前に声に出てしまったようだ。

こうなったら正直に話そう。とはいっても相変わらず勇者とか魔王とかは持ち出せないので中継拠点の検問所で答えたようにする。


「リンとは、旅の途中で出会ったんだ。ただその時彼女は記憶を失っててね」


「記憶喪失…ですか?」


「あぁ。流石に見捨てる事なんて出来なったから助けたんだ」


魔王時代の記憶が曖昧と言ってたし嘘ではないだろう。


「そのあと何だかんだあって成り行きで一緒に旅をしてるって感じかな?」


「道中で騎士団とかに預けなかったのか?」


・・・騎士団?あぁ、そういうことか。

要するに国に預けて身元を調べて貰ったら?と聞いているのだろう…。

いや無理でしょ。だって魔王ですよ?元だけど。記録なんてあるわけないじゃん。


「リンの意見を尊重したってのもあるけど…どうやら俺以外の人が怖いらしくってね。おそらく過去に何かあったんだろう」


とりあえず濁した。


ふと昨夜の会話を思い出す。意思とは裏腹に止まらない身体。何度も人を殺し、その光景だけを見せられる、救いが来ない地獄みたいな状況。

そして、そんな彼女を俺は勇者としてずっと殺そうとしていた。

ちょっと自分が嫌になると同時に、あの時直感を信じて心話を使ってよかったと思う。

そのおかげで今こうして、彼女は生きているのだから。


「うぅん…」


膝の上で寝ている彼女を撫でる。相変わらず髪がさらさらしてる。

もしかしたら俺はリンに甘いのはそういう過去を知っているのからかもしれない。

辛い過去がある彼女に厳しくすることは俺にはできない。


「リンさんがシンさんから離れたがらないのって…」


「あぁそれは・・・自分で言うのも恥ずかしいが、俺は落ち着くらしい」


「お二人にそんな過去が…」


中身あるように見えて結構スカスカだけど、一応回答にはなったぽい。

前に誰かが嘘に真実を混ぜると本当の事ぽく聞こえるって言ってた。


「でもリンには普通に生活できるようになって欲しい。そうだ、良ければ後で会話の相手になってくれないか? 人に慣れる練習になるだろうから」


「それは構いませんが…私たちはどうやって接したらよいのでしょうか?」


接し方かぁ…今までの俺とリンの会話を思い出す。

思えば俺が話しかけてリンが答えるパターンが多い気がした。


「多分だけど、最初は考えて話すことすら難しいかもしれないから簡単な質問をしてあげて。質問・回答の会話を繰り返すことで、話せる内容も増えるんじゃないかな?」


もしくは、勢いで喋ってみるとか?



でも、そうやって少しずつ出来ることが増えていって…

いつかこの世界を自由に生きて行けますようにと…そう願う。



そして、それが叶うまでは俺が守る…。

助けたものとして…いや俺自身がそう決めたのだから。

アック&ハーミト(想像してた関係性と違った…)


Topic:クラス:旅人

旅人の恩恵として先述した通り、方向感覚が鋭くなったり、環境変化に対して敏感 になります。

要するに道に迷いにくい、天気を予想しやすい。

シンが知らないだけでこのクラスの保有者は普通にいます。

ただ、いても移動商人(相乗り馬車や船乗り)になってる場合が多いです。


Topic:サンゼン村

守備旅団メンバーの故郷。

水都ホルンの南部に山脈があり、その麓に存在する農村である。

林産物が豊富で、ホルンとはよく交易を行っている。

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