第17話:称賛と驚愕
戦いを終え、守備旅団は馬車に戻ってきた。ちなみに魔物は彼らの持っているアイテムバッグにしまったようだ。
皆乗ったのを確認した後、再び馬車が走り出す。
「お疲れ様でした。すごい手際の良さですね」
索敵から始まり魔術による妨害や前衛のヘイト管理、そしてPTとしての連携力。すべて完璧だった。
「ありがとう」
「うちの天才魔術師、ハーミトちゃんがいれば楽勝よ!」
「天才じゃないです、攻撃系は苦手なので…」
ネヒトがハーミトに持ち上げるが本人は否定する。
「でも補助系は天才だと思うよ?術式も無詠唱だしね。いつ見てもDランクとは思えなないよ!」
「フレミナさんもありがとうございます。でもやはりCランクに上がるためにも攻撃系は早く克服したいですね」
ランクアップかぁ、そういえば条件知らないな。
俺は勇者という立場上、冒険者登録は出来なかった。
ちょうど生活資金の為にも今後は冒険者になろうとは思っていたところだ。後学のために聞いておこう。
「冒険者ランクの昇格試験ってどんな内容なんですか?」
「基本的にはランクに応じた魔物討伐とアイテムの納品だな。討伐の方は冒険者ギルドから試験官が同行し実力を判断してもらう」
ふむふむ、実地テストみたいなものか。
「例えばランクC昇格試験だと、さっきのオークが討伐対象になってる。」
「あれ?それだとさっき討伐に成功してるからもう合格出来るんじゃ?」
守備旅団はオーク、何だったらボアもセットの状態でも難なく倒せているので問題ないはずだ。
「討伐の合格基準は[致命的なダメージを与えたか?]なんです。」
俺の疑問にハーミトが答えてくれた。
なるほど、その基準だとさっきのハーミトは捕縛とバフの支援しかしていない。
「でもそれだとハーミトさんのような支援職は合格が難しくないですか?」
「専門職を名乗れるのはランクBからなんだ。おそらくランクCの魔物に対して最低限の攻撃手段を持ち合わせていないと高ランク依頼の時、危険だという判断なんだと思う」
なるほど、ギルドの基準も一理あるな。
高ランク冒険者として難易度の高い依頼を行うのに対して、攻撃手段がなく低ランクの魔物すら狩れない。
もしも高低ランクの魔物を同時討伐することになったとき、高ランクに回せる前衛が減り事故が起きやすくなる。
「なので私は今、攻撃系を練習中なんです。」
支援がメインの人は大変なんだなぁ。
つんつん
ん?なんか横からつつかれた。
「どうした?」
「シンは攻撃の魔術、使える?」
うーんどうだろうなぁ。さっき魔物が来たときは発動待機まではスムーズに出来た。
その場合あとは放つだけなので問題ないと思う。
「実際に試してないけど多分行けると思う。後で確認してみるよ」
「シンさんも魔術師なんですか?」
ハーミトが聞いてきたがなんて答えよう…。一応前後衛どちらもやるつもりだからなぁ。
魔術師と言われればYesだし、剣士でも同様だ。
「シンは僕に魔術を教えてくれた。」
悩んでいたらリンそう言って手をかざし、
「〈静風よ、我が手に纏いて、盾となれ→エアシール〉」
右手に風を纏った。
・・・は?
魔術使えたのか?それよりも、
「いつ…覚えたんだ?」
「昨日、見せてもらったとき。」
・・・え?構成式とか制御とか教えてないよ?
「なんとなく、シンの魔力だけなら流れが分かるから…それっぽく真似してみた」
あ、これ知ってる。多分あれだろ、見て覚えましたっていう感覚派の天才が言うやつだ。
「他に何が出来る?」
「シンが見せてくれたエアシールとアクアバルーン、あとヒールだけ。リフレクトは出来なかった」
それ要するに俺がリンの前で魔術を使うと模倣できるってことじゃね?
「あとで俺の検証をするときに一緒に確認するか...」
上手くいけば自衛用の魔術とか自力で使えるかもしれないし。
「では後で野営を行うときに一緒に練習しませんか?」
ぜひそうしよう。分からないことが多すぎる。
Topic: 専門職
冒険者で専門職を名乗れるのはBランクから。
これは高難易度クエスト際、前線に余計な負荷がかけないようにするため。
支援職、雑用担当でも最低限自分の身くらい守れるようならないと昇格は出来ない。




