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第11話:自己能力テスト

買い物、晩飯を買い終えた俺たちはギルドテントへ戻ってきた。


「・・・やっぱ狭いな。」


案の定、テント内の広さは大人一人がギリギリ立てる程度で、横幅も大の字には寝れないくらい狭い。


「まぁ…座るには問題ないし、寝るときに...」

「シン?どうかした?」


あれ?これ一緒に寝るパターン?

テント一つしか借りれなかったからしょうがな...いやいや不味くない?


「・・・いや、何でもない。」


後で考えよ…最悪俺が外で寝ればいいか。

結局野宿になりそうだ。


さて、気を取り直して。


「よし、始めるか。」

「何をするの?」

「俺の現状確認。今何が出来て、何が使えないかを確認する。」


森は危険で出来なかったからな…。

ここなら安全だ、能力把握にはちょうどいい。

して俺は一体何ができるんだ?


まず最初に魂の勇者としての能力を確認する。

ストレージが使えないが心話は使えてるっぽいし…。

他に使えるものがあるかもしれない。淡い期待をしながら確認していく。




ーーー数分後。


「・・・予想はしてたが…。」

「どうしたの?」

「勇者の能力は全て使えなかった。」


結局、過去に使えていた能力とそれに関する魔法は全て使用できなかった。

もしかすると心話もリン以外とはできないんじゃないか?

また試してみよう。

とりあえず、この検証で俺は今まで通り戦えないことが確定した。

勇者能力の封印はゲームで言う所の最強スキルが全部禁止になって大幅に弱体したようなものだ。

これは結構キツイ…今まで能力頼りなこともあったからな。


「でもまぁ覚悟してた事だし、そこまで気にしていない。」


ストレージ以外な!

あの中に俺がこの世界で手に入れた物のか全部ぶち込んであるんだよ!

やっぱストレージは使いてぇよ!


「次!次は魔術だ。」


あれこれ思ってもしょうがない。

気持ちを切り替えて次の検証へと移る。


「ねぇ、この間は聞きそびれちゃったんだけど…魔術って何?魔法と違うの?」

「んぇ?」


そういえば魔術は知らないって言ってたな。

う〜ん…説明しても良いんだけどなぁ。

1から説明するとなると長くなる。

魔術式とか詠唱とか制御とか圧縮とかそれはもう色々と…。


「簡単にまとめると魔法は適性のある人がイメージすることで使用できるもので、魔術は適性がなくても魔法を使えるようにしたもの…かな。」


あ、よくわからないって顔してる。


「検証のついでだ。実際にやってみよう。」


まず魔法。そうだなリンが使えたリフレクトにしようか。

先程も言った通り魔法はイメージ力が大事。

リフレクトは鏡をイメージ…光の屈折を連想して…


「〈リフレクト!〉」


すると手のひらに小さな半透明の板が出来上がった。


「よし、成功だ。」

「あ、これあの時の…。」

「そ、リンが無意識に使ったリフレクトって魔法。」


次に魔術だな。何にしよう。

テント内だし安全を考慮して風魔術にしておこうか…。

無詠唱でも出来るけど今回は分かりやすいように…


「〈静風よ(属性)我が手に纏いて(座標)盾となれ(指示)エアシール(名称)〉」


これも成功したな。右手に小さな風が形成されている。

シールって名前の通り風がペタって貼られてるみたいな不思議な感覚だ。


「これが魔術?魔法の詠唱と何か違う。」

「それを説明しようとするとすっごい長くなるからまた今度ね。」


・・・この世界、魔法にも魔術にも詠唱あるから面倒くさいんだよなぁ。

しかもやろうと思えば両方とも圧縮・無詠唱可能ときた。

・・・そういえばリンは魔王のときになんか詠唱してたね。

なんだっけ?禁忌?正直あんまり覚えてない。


まぁいいや。それはもう過去のことだし…今は検証を続けよう。

次は心域を使ってみる。

勇者能力で派生したストレージは使えなかったが、こっちは無事でいてほしい。

一度深呼したあと、再び右手をかざす。


ふと、リンの足元が目に入った。

使う魔術は、これにしよう。


心域へアクセス…魔術式を構築…圧縮して展開、それにより詠唱を短縮。


「〈光よ、彼の者を、癒したまえ→ヒール〉」


今唱えたの光魔術のヒールだ。


「何かあったかい、これは?」

「治癒魔法。ここに来るまでの間にお前足怪我してただろ?今更で悪いけど治した。」


忘れていたわけじゃない、検証できてない状態で使用するのが不安だっただけだ。

これ制御ミスると、大変なことになるからな。

しかしこの感じだと勇者能力以外は普通に使えそうだな。


次はさっき買ってきた銀鉱石を使用する。


「今度は何をするの?」

「錬金術を試す。」

「また、知らない単語だ…。」


錬金術はメジャーではないからなぁ。

でも使えると便利なんですよ。


「錬金術は物体の合成・分解、形状変更などいろんな事が出来る便利な魔術だと思ってくれればいいよ。」

「それで何するの?」

「リンの魔力漏れを抑制する魔導具を作る。」

「あの時お店で売ってたアクセサリーに付与しちゃ駄目だったの?」

「それでも良かったんだけどねぇ…。」


せっかく刻翼を手に入れて書き込むんだ。

性能モリモリにしたいんですよ。


「術式を書き込める量って素材によって決まってるんだよ。あの店のは品質は良いが俺の要求を満たしてなくてな…。」


だからあの店のアクセサリーじゃ駄目なんですよ。


「なら錬金術でアクセサリー自体を作ってしまおうと思ったわけだ。」


これも実際にやってみることにする。この際だ、俺の分も作ろっと。

戦闘補助系が欲しい。あるとかなり便利だからな。

となると邪魔にならない指輪型かな?


早速作業に取り掛かる。最初は銀鉱石の錬成を始める。

ちなみに銀を選んだのは一般的に入手出来る鉱石のなかで一番書き込める量が多いからだ。


まずは分解、鉱石から銀の成分だけを取り出す。

次に2つ作るために2分割をする。

素材を圧縮する。こうすることで術式を書き込める量が多くなるのだ。

最後に指輪形状に整形し形を整える。

これで指輪の素体が完成。

簡単に説明したがこれだけて1時間くらいかかった。


「だぁ、疲れた!」

「すごい集中力だね…。」


んぁ?ずっと見てたのか?


「見ててもつまらんだろ?」

「シンといるだけで楽しいから良い。」

「・・・そ、そうですか…。」


俺なんて見ててもしょうがないでしょうに。

まぁ、ここに娯楽なんでないからしょうがないけどさ。


「い、一旦飯にしようか…まだ食べてなかったし。」

「ん。」


話題転換。腹減ったので飯にする。

解体ナイフを使い、簡易サンドイッチを作る。

・・・あー…水忘れたな。

こういうときも魔術の出番である。


「〈風水よ、風を纏て、恵みの水を保ち給え→アクアバルーン〉」


出てきたのは空中に浮かぶ小さな風の塊だ。


「これは?」

「水。水筒買い忘れてたからな…代替策だ。しばらくすると少しずつ中に水が出来る。」


結構便利なんですよこれ。でも水の精製に時間かかるから水筒は明日買いに行こう。

魔法と魔術の違いとか原理についてはそのうち書きます。


Topic: 魔法

使用者のイメージ力のみで発動させる。

とある記述には意思の力で世界の理を書き換える力と記載されている。


Topic: 魔術

基礎魔術の構成は〈属性・座標・指示→名称〉となっている。

術式に魔力を通す量で制御を行う。

式の組立・展開が上手いのに魔力調整が下手で失敗する人もいる。


Topic:エアシール

エアシールは風属性防御魔術の一種。

風の鎧を纏うことで霧や煙などから体を守ることが出来る。

今回は属性式を静風にしているため威力をかなり抑えている。

静風、実は魔術師が真夏によく使う。そよ風みたいで涼しい。

水はびしゃびしゃになるから却下。本が壊れる。


Topic:アクアバルーン

水と風の複合魔術。外見はじゃぼん玉の中に小規模な台風が存在してる感じ。

風で空気中の水滴を集めてろ過した水を得ることが出来る。

大体10分でコップ1杯分。水筒買った方が早い。

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