7月29日 勇者アネモスと四天王シラスドン編
7月29日
不本意ながら、ワニンゴを助けることになった。
ビンタしてもよかったんだが、勇者を頃したら頃したで、相手は同業者だからマズイことになったら面倒だし。
勇者アネモスはそこそこ有名人らしいしな(カレキ情報筋)。
私は有名じゃないのかカレキに聞いたら、「あー、えー、どうですかのぅ。証人は全員始末……いや、教育されてるんでぇ」とか気まずそうにしていた。
女エルフと女僧侶と戦士ドワーフが名乗ろうとしてきたんで、「アネモスB、アネモスC、アネモスDでいいだろ」と言ったら怒っていたが、たぶん魔物側からはそう見えてるだろうに。
アネモスが「とりあえず助けに行くぞ!」と言い出したんで、「どうやって?」と聞いたら、「とりあえず前に出て声を掛けてみる!」とか、頭の悪いことを言い出した。
ダメだ。コイツ。
顔だけよくても、頭は3歳児以下だ。
どうやって止めさせようかと思ったら、「ワニンゴくーん! もう大丈夫だ! 助けに来たぞ!!」と、でっけー声で呼び掛け始めやがった。
おいおい。マジ勘弁してくれよ。
ワニンゴがこっち見て、「ほ、ホントにぃ? 助けに来てくれたのぉ?」とか涙ぐんでやがる。
どうせ罠だろうと思ってたら、案の定、ワニンゴが十字架ごと崖から落ちてきた。
「いけない! 間に合え! 俺!」とか、昭和のスポ根みたいなノリで、過剰すぎる効果線と共にアネモスが走り出した。
ロリコが「親方! 空からオッサンが!」とか言い出したんで、カレキが「なんという労わりとい友愛じゃ! ワニンゴが心を開いておる!」とか言い出して、確かに光に包まれたワニンゴがゆっくり落下して、アネモスに抱きとめられるという幻想的な光景がそこにはあった。
「あったんだ。BLは本当にあったんだ」と私は言うしかなかった。
そんな茶番をやってると、さっきまでワニンゴがいた崖に、白子の塊みたいなウニョウニョしたのが立っていた。
「ワハハハ! よく来たな! 勇者よ……? あれ? 2人いる? えー。困ったな。なんか話が違うなぁー」とか言ってる。
私もまったく同じ気持ちだ。
しかし、あー、もう、面倒くさい展開っぽいな。
「私は勇者じゃない」と、ウニョウニョが「ならなんだ?」と聞いてきたんで、「人畜無害な腐女子だ」と答えたら、「そうか。腐女子なら問題ないか。勇者じゃないならそこで座って見ておけ」と言われたんで、オヤツのポ●キーを取り出して観戦することにした。
がんばれ。勇者アネモスよ。応援してる。




