7月9日 聖浄降臨「破ァ!」救済者ブータロウ復活編
7月9日
倒れている裏界隈のおじいちゃん。
気まずそうに私からお目々をそらすワニンゴ、アナルゴ、フグリ田。
カレキがワニンゴに「ごめんなさいしよ」と言い、ロリコがアナルゴに「私と勇者様に謝ってください! 師匠!」とか言い、不愉快なファミリーがフグリ田に「情けないよ!」とか言うてる。
ブータロウは私を見て、「なんと憐れな。赦します」とか言うてる。
どいつもこいつも……
そうしたら、ワニンゴが「そうだ。勇者はまだ勇者じゃねぇ! ヤるしかない! ヤられる前に! マンマー!!」とかバブりながらお目々をギョロギョロさせてた。
アナルゴが「賢者の宿命だ。ヤツを倒す他ないんだ」とか、フグリ田が「武子。愛するファミリーたち。先にあの悪魔を倒さないとならない」とか言い出し、ネクタイを外し始めた。
どうやら私とやる気らしい。
確かに今の私は正統派ヒロインだ。攻撃はできない。暴力は振るえない。それが正統派ヒロインってもんだからだ。
蚊たちが「え? 我々は?」みたいな顔をしてるんで、「害虫駆除は、正統派ヒロインの正当防衛範囲内だ」と言うた。
でも、コイツらは大きな勘違いしている。
私はスマフォを取り出し電話する。
もちろん、例の場所にだ。
1コール、2コール、3コール、4コール、5コー……ガチャ!
『こちらダーマス御殿です。ご新規ですか? ご転職ですか? ご新規なら1番……』、「私だ」と伝えたら、受話器の向こうで慌ただしい音がして、『お待たせして申し訳ございません!』と向こうで土下座している気配がした。
「私が電話したら3コール以内に出るはずだったよな?」と言ったら、『も、申し訳ございません!!』と額をデスクに打ち付けている音が聞こえた。
「まあいい、転職だ。勇者に戻る。すぐにやれ」、『は? あの、ええと、でも、規則上、レベル20にならないと転職は不可でして』とか言うてるので、「今の私はレベル9999だ」と伝えたら、向こうで息を呑む気配がした。
電話を切って、「これで私は勇者に戻った」と言ったら、ワニンゴ、アナルゴ、フグリ田が鼻水を垂らして、ブータロウを縋るように見やっていた。
ブータロウは「あなたの邪悪を赦します」とか言うてきたんで、思いっきりビンタしたら、横回転しつつぶっ飛び、向こう三軒両隣を壊して、大きな池の中に落ちるのが見えた。
コイツらは大きな勘違いをしてるんだ。
勇者だから、善とか正義なんじゃない。
私が善で正義だからこそ、勇者なんだ。




