5話 組織
「君は嘘をついていない。君は本当に転生者で、あの場で話した言葉はすべて真実だ。そうだな?」
その言葉にルカは目を丸くした。
さっきまでのアーロンとはまるで別人だ。ルカが混乱してる間に、彼はもう一度自己紹介をする。
「組織・正義科所属、アーロンだ。先程はマサキさんが、妙な言いがかりをつけて悪かった。」
彼が頭を下げるとルカはハッ、と我に返り、質問をした。
「えっと、別に怒ってないし、謝罪はいらないので……まず、何で嘘じゃないってわかったのか、それと
そのルドベキア?について教えてほしいです。」
「ありがとう、マサキさんを許してくれて。……説明、か。どこから話せば……」
そう言って顔を上げたアーロンの目は、キャラメルのような淡い茶色だった。
ナニカがっ突っかかる。アーロンが何から話そうか悩んでる間に、ルカは違和感の答えにたどり着いた。
「アーロンさんの目の色、そんなに濃かったですか?」
アーロンの目は帽子の影に隠れて見えずらかったが、マサキと話していた時、彼の視線がやたらうるさく感じた。
日本にいてもおかしくないくらい平凡な外見のマサキとは対照的に、アーロンはThe異世界人な外見だったから強く、印象に残っていた。
その時の彼の外見は、目の色は、キラキラと光を発しているかの如く輝いていた金色だった。
ルカがそのことを指摘すると、今度は彼が目を丸くした。
「気づかれていたのか。」
「あんな視線、誰だって気になりますよ。」
「……そうか。ならまずはそこから話そう。」
アーロンはそう言うと、この世界の説明を始めた。
「お前が今までの転移者様と同じ世界からやって来たと仮定しよう。この世界には、お前のいた世界にはない奇跡が存在する。≪能力≫と呼ばれたそれは、とても強力なものだ。」
ルカはゴクリと唾を飲む。
ここに来て、やっと手に入れられた異世界の情報、しかもファンタジー系だ。
「能力は人によって違う上に、わかりずらいものも、いくつかある。けれど、共通点もある。
それは『意志によって芽生え』、『願いに応える存在である』ということだ。」
「意志に、願い……?」
「ああ。能力の源は意志だ。具体的な基準はわからない、が、一定以上、何かを強く願い、望むと、それを叶えるための力が渡される。それが≪能力≫だ。意志が強ければ強いほど、≪能力≫も強くなると言われている。
そして、能力を使っている時は、目の色が変わるんだ。」
「じゃあ、アーロンさんも≪能力≫を?」
アーロンは答える代わりに、目を金色に変えた。
纏う雰囲気も若干、変わった気がした。
「俺の能力は『相手の言葉の真偽が分かる』だけだ。これを使ってお前を見た。結果がこれだ。」
「へぇ、便利な力ですね。じゃあ、組織と、ルドベキアっていうのは何ですか?」
アーロンは少し考えてから口を開く。
「この国に王はいない。この国に住むものは皆、平等な国民であり、そこに種族は関係ない。っていうのがこの国の方針だ。基本的に警備隊が国民を守り、平和だったらしい。
そんな中≪能力≫が出現した。≪能力≫を持ったもの、強い力を持つ種族などが一つの目的で集まったものを組織という名称で呼んでいる。」
「じゃあアーロンさんもそれに?」
「ああ。俺が所属している組織には名称がないから、組織とそのまま読んでいるがな。」
ルカは首をかしげる。組織の名称がないなら、ルドベキアというのは何なんだろうか?
アーロンはルカの疑問を理解し、回答する。
「俺の所属している組織のトップは意志について調べてらっしゃる。だから様々な目的を持った人が集まる。だから、意志の内容4つのグループに分かれているんだ。正義、正義科。反逆、反逆科。変化、変化科。戦闘、戦闘科。トップは花が好きなんだ。だから科の名前には花の名前が使われている。」
「正義、ルドベキア。反逆、ロベリア。変化、アスター。戦闘、アレキア。繋がり何て……。あ、もしかして、花言葉、とかですか?」
ルカにはこの世界に花言葉があるか分からなかった。が、それ以外思いつかず、アーロンに尋ねる。
「正解だ。ルカ、お前の世界にも花言葉はあるのか。」
「こっちも驚いてますよ。」
その後は日が傾くまで、町の中を歩き回りながら、この世界についての情報を貰った。
「それで、ルカ。お前のこれからについてだが……」
アーロンの言葉に合わせて大きな音が聞こえた。
ガシャーン、と何かが壊れる音だ。次に甲高い叫び声が聞こえた。
「キャァー――!!誰か、誰かぁ!!」
その声を聴いた瞬間、アーロンは駆け出した。




