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異世界に咲く花  作者: 勇崎りりは
二章 正義VS悪意 編
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15/19

13話 正しさの押し付け合い

その後、ルカはリオンとは少し離れた場所で飛行の練習をした。

想像以上に飛ぶのは大変だった。


まず、重心が安定しない。そして、もし落ちたらと思うと高く飛べない。


自転車や水泳のように、一度できたら次もできるものだと思っていたが全然ダメだった。着地はまだしも、飛び立つのが難しすぎる。

最後の方はリオンの鳥の動きを観察して、真似して羽を動かしてみた。


羽を動かすのは簡単だが、飛ぶのができない。


そんなこんなで、訓練した時間が1時間以上なのに、地面から両足浮いていた時間の合計が5分もいかなかった。

悔しいが、これが今のルカの力なのだろう。やっぱり、あの時のルカは自分ではなかった。

その結論にたどり着いた後、ゴォン、と言う響く低い音が三回なった。ここが地下室だからだろう、やたら響いた。


「あ、時間か。えと、ルカさんもでますか?」

「まず、この音は何でしょうか?」

ああ、と声を出したリオンは説明を始めた。


「食事の時間です。スミレ様が時間になったらお知らせしてくださるんです。」

「なるほど。あれはノック音ですか。」


リオンは鳥たちを集め、ルカは部屋にあったタオルで汗を拭き、階段を上る。


ルカが出入口を腕で押し上げると、ガヤガヤとした音が聞こえた。

その音にリオンは少し反応し、ルカに小声で言う。

「申し訳ありません、先に言っててください。」

「え、そんな漫画のクライマックスみたいな……。あ、」


ルカは聞き覚えのあるセリフに首を傾け、次の瞬間口を滑らせたことに気が付いた。

どうごまかそうか悩んでいるとリオンはまったく気にしてないように言った。


「……僕がいたら、余計な火種になるだけですから。」

そう言ったリオンはすぐに階段を下りてしまった。


その返事にルカは疑問を覚えた。




(こっちにも漫画、あるのかなぁ)

斜め45°と言う言葉がドンピシャであてはまった。

仮に漫画があったとしても、『ここは俺に任せてさきに行け!』みたいなセリフがあるとは考えにくい。ルカは妙なところで鋭いが、馬鹿みたいに素直な所もある。


とりあえず、床から生首が生えているように見える状態のまま固まっているのは、あまりよろしくない。

外に出ることにしたルカは、蓋のような部分を完全に押し上げて床に手をつかない様にして脱出した。蓋は完全には閉めない。少し隙間を作った状態で、リオンがいつでも出られるようにしておいた。



その部屋にはたくさんの人がいた。基本的に全員楽しそうに会話しているが、一部はそうじゃない。


「罪無き人を傷つけて、何が楽しいんだ!!」

そう怒鳴っているのはアーロンだった。無表情で感情を表に出さない彼が、青筋を立てて怒鳴ってる姿は新鮮だった。


「強者が弱者を支配するのは当然の事ですわ!この国は間違っています。どの種族も平等なんて綺麗事を言いながら、一部の種族をいじめる。周りは見て見ぬふり。ならば強者が全部支配した方がよいではありませんか!?」

「マティア様のおっしゃる通りかと。アーロン殿、貴方は『罪無き』と、言いましたが、マティア様が傷つけた者に罪がないと誰が言えますか?誰が証明しますか?今の世界で、陰ながら虐げられている人達に気づきもせず、正義を語ってるあなた方に何ができるのですか?答えなさい!!」


感情をむき出しにしているお嬢様とその従者、この二人とアーロンの口論は続く。

マティアと言うお嬢様とその従者はおそらく反逆科(ロベリア)の人だろう。リオンが隠れたのはこれが原因だろか。彼は明らかに口論が得意なタイプではない。余計な火種になる、と言うのはこのことか、と思った。

正義科(ルドベキア)に入らなくてよかった、と思うと同時に、気まずくなったので手を洗いに食堂に向かった。

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