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096話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:人たらしホイホイ】

<ルビア・モンス・ラオクス サイド>


イツキちゃんに貰った宝珠を取り込んだら、モリモリと力が湧いてくるの。

「仮想存在はいじりやすくていいわ。発氣も開眼しておいたから簡単には死なないはず。戦闘後にきちんと使い方を教えてあげるわ」

意味は分からないが、体が強化されたことは分かる。

「ふむ・・ここの仮想存在を捕まえまくって発氣兵団を作るのもアリ?」

『イツキちゃん、そういう強制はやめたほうがいいわ』

あの人見知りの・・・妖精ミミともすっかり仲良くなってる。

それをもやもやと見ていると、私の膝の上に座っているイツキちゃんに『ぶ〜』頬をつつかれた。

「大事な大事な友達はとらないわよ。だからそんなにふくれないの」


いま、私・・嫉妬してたの?

そして周囲の面々が微笑ましい表情で見ていることに気づいて赤面した。

「ルビアはミミ一筋だもの」「それ、分かる〜」

ううっ、ビーチェ、シアーラ、恥ずかしいからやめて!

『な〜に?私を取られたの思ったの、きゃ〜!ルビア、か〜わ〜い〜い〜!』

ミミにまでからかわれて、赤面が止まらなくなった。

そんな孤独な状況に援軍が現れる。

「孤軍奮闘のルビアに味方してあげる。ミミはね、私がここに座ってるのが気に入らないようよ?ちらちら私を睨むのよ。あー、怖いわ」

『な!?』

イツキちゃんの言葉にミミが絶句して真っ赤になったのをみて、ちょっと幸せを感じるの。

「・・・座る?」『座らないわ!』


最終的に私の膝に耳まで真っ赤になったミミが座り、ミミの膝にイツキちゃんが座ることになったのは・・なんでなの?

「百合系ラノベ貸すから、勉強よ」『・・・はい』

二人でそんな会話をしていたけど、百合?お花の小説?そんなの面白いの?

余談だが、ルビアが妖精ミミと友だちになってからというもの、何度生まれ変わっても男性と手を繋いだ事すらない、必ず邪魔が入るからだ。


戦闘前なのに和気あいあいとしていると・・コディーマ伯爵領都が見えてきた。

「へえ・・土と火。複合属性持ちの竜か・・でも、まだ若いわね」

ひと目で?・・なんでそんなに詳しいのイツキちゃん!?

『空中戦か・・我らでは分が悪いな。どうする?』

「まずは領都の外におびき出せればいいんだけど。カチョウの火球じゃ効果無さそうだし」

そう悩んでいると、イツキちゃんが動き出した。

「私が連れてくるわ。あの辺で待機してなさい」

そう指示をすると大剣を竜めがけて放り投げて、自身はその上に飛び乗って行ってしまった。


『心配するだけ無駄よ。私達は言われた場所に待機よ』

「・・・分かったわ」

イツキちゃん・・無事に戻ってきてね。


<イツキ・ルノワール サイド>


大剣に飛び乗って竜に向ってサーファーの如く大空を滑空するイツキは感動していた。

「やっぱりアニメやラノベは神よね。こんな移動方法思いつかないもの」

『我を放り投げ、ましてや足蹴・・おおいに不満だ!』

「格の高い神器なんでしょ?主の楽しみなんだから黙ってつきあいなさい」

ぐちぐちうるさい神器は放置して、少し大回りで滑空しながら現在の状況を観察する。


「へえ、町中で暴れた竜を自分の屋敷まで誘導したようね。もう屋敷がボロボロ・・見上げた領主だわ」

『む・・領主なのだから当然だろう』

「それがそうでもないのよ。我先に逃げ出す領主もいるのよ」

Gちゃんからの速報では、ルノワール子爵の旧王弟は王都に逃げ出したらしい。

Gちゃんの襲撃だけではなく、私の「貴方の存在がすべての男性に好かれる」という項目が発動しているようで、私のことを見知った領民達から「あんな可愛らしい前領主の忘れ形見を無慈悲に追い出すとはなにごとだ!」と暴動寸前の騒ぎになっているらしい。

その騒ぎを見た旧王弟は「ここは忌地だ!Gもいやだ!殺されるのもいや〜!」と、姉を置き去りにして王都に逃げ出したそうだ。

『嘆かわしい。次に出会ったら殺しておけ』

「縛りがなければね〜」


世間話をしていると竜の近くまで来たが竜は全く気づいていない。

こいつ、上への警戒は全くしてないわね。

そのまま剣の腹で上段から振り下ろし、音速超えの衝撃波を発する烈風「烈」を浴びせて竜を領外の目的地に吹き飛ばした。

「しばらくは任せたわよ、ルビア」

私はそのまま、先陣きって兵士を指揮する覇気溢れる女性の元に向かって移動する。

きっとあれがここの領主なのだろう。まずは参戦のあいさつをしないとね。


<ルビア・モンス・ラオクス サイド>


イツキに指定された場所に降り立ったルビア達は、早速戦闘の準備を開始する。

「ミミ、竜が来たら結界で閉じ込めることは出来る?」

『もちろんよ!イツキちゃんからもらった宝珠で絶好調よ!別人並みに強いわよ』

『ふむ、私も全属性の攻撃が出来るようになった』

え!?イツキちゃんってなにものなの?・・という詮索は禁止だったわね。

「ビーチェはカチョウに乗って空から攻撃、竜の気を散らして。シアーラはウルフに乗って竜を撹乱」

「「はい!」」

「相手は強敵、ギラちゃんは【合一】で、私の剣として戦うの」

むふふ、私のテイムスキルには派生スキルもついていて、それが【合一】。

ようは魔物との合体技なんだけど、今のところはギラちゃんとしか使えないの。

本当は【魔物と遊ぼう】というスキル名称なんだけど、意味わからないし、そもそもはずかしいからね。


ギラちゃんと【合一】すると、全身鎧の魔法騎士として戦闘が出来る。

だけど・・・今までとは何かが違う。あ、手が4本あるの!しかも2本は妙に長いの。

『ほう・・これは。喜べルビア。この腕は私の領分、防御と魔法は任せて攻撃に専念しろ』

「ギラちゃんも参戦できるの?これもイツキちゃんのおかげね・・でも魔法って、私はしょぼい風魔法しか・・」

『言っただろ、全属性って。実戦を楽しみにしていろ』

私はしょぼい風魔法しかつかえないけど・・ギラちゃんが使えるようになったと言うことなの?


『竜が来たわよ〜!って・・なに?投げ飛ばしたの?あれ?』

竜がこちらに飛んでくるが、何か乱気流にでも巻き込まれたようにぐるんぐるんと回転しながらこっちに向かってくる。

そして・・どどーーーん!と落下したので、即座にミミに結界を張ってもらい・・戦闘開始だ!


<ステンド・ジャチ・コディーマ サイド>


夜明け前、突然竜の襲撃が始まった。

騎士団と兵士を総動員して、なんとか我が屋敷まで誘い出す事には成功した。

だが、弓矢や魔法では全く効果がない。

「ちくしょーー!!!降りてこい!地上戦なら我が薙刀『氷華』で切り刻んでやるのに〜!!!!」

距離がありすぎて私の氷刃でも全く効果がない。

それなのに向こうは溶岩弾を打ち放題だ。

しかもだ!それだけではなく・・こちらを侮辱してくるのだ。

『どうした臆病者どもが!私を殺してみよ・・ふん、これだけやられても攻撃がないとは・・・戦士としての矜持がないのだな』

「だったら降りてこいよ!」

と、叫ぶのだが・・向こうは魔力を込めた念話のようで、こちらの声は届いていないようだ。

なんなのだ!いきなり奇襲をして、しかも安全な場所から攻撃している卑怯者に、なぜ一方的に罵られなければならないのだ!

憤りを感じていると、いきなり竜がどこかに吹き飛ばされた。

「ざまー!・・・(あの少女か、やるな)」

叫ぶと同時に、剣で竜を吹き飛ばした少女を視認した。

そのまま功労者の少女が降りてくるので待機して待つ。

金髪の天使のような少女がふわり、と降り立つと、周囲の騎士達から感嘆のため息が漏れる。

うむ、確かに可憐だ・・我が息子の嫁に・・は無理だろうな。いや、あのぐーたら息子を焚き付けて修行させるか?恋は盲目というしな。

そんな事を考えながらも、可憐な少女に挨拶を行う。


「助太刀かたじけない。私はコディーマ領主ステンド・ジャチ・コディーマ伯爵だ」

「こちらはラオクス子爵からの援軍よ。私はその助っ人、イツキ・ルノワール。元子爵令嬢よ」

む?イツキ・ルノワールは昨年死んだと・・ああ、あの入婿の前子爵ならやりかねんな。

即座に状況を把握するが、今はそれどころではない。


「ではイツキ殿、竜退治に助力いただけるか?」

「そのために来たのよ。地上戦になるから人員を選抜して!私が空を飛んで目的地まで連れて行くわ」

空?まあそれはいい。即座に手練れ5名と私の参加を表明すると、ふわりと体が宙に浮かぶ。


「「「おおっ!?」」」

「では、行くわよ」

そして・・私は生涯初めて空を飛ぶ事になったのだが・・なんと素晴らしい景色だ!

そう思って皆に同意を得ようとしたが、同行した騎士は一人の女性騎士を除き、気絶していた。

「この素晴らしい景色が怖いとは」

「本当ですよね、私もいずれ自分の力で飛びたいです」

その光景を見ながら「二人とも魂持ちか・・配下によさそうね」と値踏みしているイツキだった。


「あなた達二人には発氣を伝授するわ。同意は不要、実戦で使いこなしてみなさい」

イツキ殿から突然の提案があり、有無を言わせずなにやら電撃のようなものが体を包み込む。

「きゃ!?」「うぉおぉ!」

ビリッとした衝撃が全身を襲った後、体の内から強烈な力が湧き上がり『俺を使え』とばかりに全身にみなぎってくる。

「なんだ、この万能感は!?」

「へえ、もう使いこなすのね。それが発氣よ。まずは強化魔法的な感じで使いこなしなさい。あとは自ずと見えてくるわ」

「分かった・・いえ、分かりました師匠!今後はステンドと、あなたに生涯仕えます!」

「・・・は?師匠?」

コディーマ領主、ステンド・ジャチ・コディーマ女伯爵は、強いものに自分から積極的に巻かれていくタイプの脳筋だったようだ。


嫌われ属性が無くなったことで、人たらしのイツキにどんどん仲間が集ってくるのだった。


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