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095話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:従魔騎士団といっしょ】

<ルビア・モンス・ラオクス サイド>


「緊急要請だ!ついにルビア従魔騎士団の真価を見せる時なの!」

「「おおおっーーー!!!」」


つい先程、コディーマ伯爵より周辺の領地に「魔物襲来、支援求む」との緊急通報が来た。

軍事力の高い隣領フランソリ侯爵へも連絡が行っているはずだが、あちらはロナシルア大帝国からの侵攻でそれどころではないだろう。

そういう状況なので、もう一つの隣領である我がラオクス子爵からの支援が必須なのだ。

ようやくだ!ようやく我が従魔騎士団の武威を国に知らしめる事が出来るのだ。

ラオクス子爵家は7歳の儀式のおりに女神より必ず従魔スキルを与えられる変わった家系だ。

それなのに【魔物が怖い!】という理由だけでまったく生かされていなかった。

幸いにも、私は幼少より人間のふりをした妖精と友達になった影響で、そういう意識はない。

そして、こつこつと魔物を味方につけバディをあてがい・・ついに騎士団を結成したのだ!

・・・私を含めて3組だけどね。


「ルビア・・本当に行くのか?」

呼び止められて振り向くと、子爵である父上がわざわざ見送りに来ていた。

「はい、ちち・・いえ子爵様。移動を考えても我らルビア従魔騎士団の旗揚げにふさわしいかと」

「後で増援を送る・・私としては危険なことはやめてお嫁にいって幸せになって欲しいけど」

父上の心配も分かるが、私のバディを裏切ることは出来ないの。

大親友でもある、この娘のためにも。


『ぶー!だめよ!この娘は未来の妖精王の家来なのよ!』

我が大親友、光妖精ミミちゃんを妖精王にするまでは!


それと、テイムしてくれた魔物達の地位向上!それが今の目指す道なの。

まあ・・そういう理由を盾にして結婚から逃げているのも事実なの。

もちろん先に語った目標は本心なのだけど、元々男嫌いなので便利な盾なの。

「はぁ〜、『友を裏切るな』は家の家訓だし・・気をつけていくのだぞ」

「『はい!』」


「ビーチェ!シアーラ!準備はいい?」

移動に使う大型鳥であるフタマタカチョウの準備をしているのは、ルルフ男爵3女、ビーチェ・ルルフだ。

そして、ダイアンウルフに乗り今にも勝手に飛び出しそうなのは、ビードラ騎士爵長女、シアーラ・ビードラだ。

「「準備万端です!」」

そして、私のバディにも声をかける。ちなみにミミちゃんは友達『あんたは家来よ』枠だ。

「ギラちゃんに先陣は任せるの」

『ふむ、かわいいルビアのために力を振るおう』

変異体であるルーンシルバーフィッシュのギラちゃんも準備万端だ。


「ではカチョウに乗りなさい、コディーマ領にしゅっぱ・・・え!?」


その瞬間、麗しき金髪幼女がふわりと空から眼の前に舞い降りた。

その姿は幼いながらも女神を彷彿させる容貌で、女神様の周囲には金粉のようなオーラが神々しく輝いている。

だが、天から舞い降りた幼き女神様がひとつだけ・・異様なものを持っていた。

それは、女神自身の倍はあろうかという、無骨な大剣だった。

「おまえ・・強いわね。なんでこんな場所にいるの?」

その言葉と同時に、女神様はギラちゃんに襲いかかる。

そして、何かが・・ガギイイぃぃん!・・横一線のなにかが通り過ぎるのだけが分かった。

「へえ・・私の【断】をいなすのね。それ程の実力者が人の街で何をしている」

『むぅ・・(痺れて言葉が紡げない)』

ギラちゃんはとっさに体を剣化していなしたが、予想以上の衝撃で体が痺れているようだ。


これは・・千載一遇のチャンス!みんなと幸せになるの!


え?なに?魂からの叫び?・・・ギラちゃんが危険なのになにがチャンスなの!?

そんな疑問を感じながらも、体は勝手に動いていた。

再度、攻撃を仕掛けようとする幼女女神をタックルの如き突撃で抱きとめる。

「なにか用?」

はわ〜!?かわいい!抱きごごち最高!抱き枕に欲しいわ!ここは天国かしら?

「もう一度言うわ。なにか用?」

あ、やばい(そう思いながらもイツキに頬ずりする)いや・・そうだ・・こんな事をしたかったわけではない。ん?私、何か言いたいことあった?

そういう思考とはまったく関係ない言葉を紡いでいた。


「(イツキの金髪に埋もれながら)すーはー!私の・・・主になってください!」

「・・・は?」

『あんた、幼女に襲いかかった挙句に何言ってるの?』


妖精ミミにド正論でつっこまれるが、正直私も何を言っているのか分からない。

だけど・・おそらくだけど、この出会いを逃せば・・今後、我が騎士団に光が当たることはない。

いえ違うわね。私達が新しい人生?を送るためにはこの方が必須なの!そう感じたの。

「とりあえず話は聞いてあげるから離し・・膝に座らせるの?まあいいけど」

まずは、ギラちゃんは私がテイムしたバディだと説明する。

「あら?ここの魔物はテイムされた魔物なのね・・敵と間違えてごめんなさい」

『分かってくれればよい』

「そして・・光の妖精が友達か(強き魔物を従え、心根も合格、面白そうだわ)いいわ、あなたの主になりましょう。私はイツキ・ルノワール。元子爵令嬢よ」

「やった!・・ごほん、我らは急ぎコディーマ伯爵領へ応援に向かうところ。自己紹介は後ほど」

まずいわ!ちち・・子爵様が呆然とこちらを見ている。ささっと移動しよう。

「私もそこに向かうところよ、同行するわ」

「はい!」

思わぬ来客もあったが、フタマタカチョウに乗って幼女女神とコディーマ伯爵領へ移動する。


<イツキ・ルノワール サイド>


途中の領都内に、人の生活圏に似つかわしくない強靭な魔物の気配を感じたので降りてみた。

そこで偶然にテイムスキルを持つルビア・モンス・ラオクスに出会い、何故か部下になった。

先ほど自己紹介を終えたが、皆はとても好意的だ。これも嫌われ属性が消えたおかげかしらね。

しかも、テイムスキル持ちを配下に得たということは、幹部と魔物達で構成した「高魔47士」をこちらに派遣することが出来る。

それまでは高魔47士単独でロナシルア大帝国を削ってもらおうと考えていたが、直接の配下として私達の功績にすれば貴族位もたやすく手に入るだろう。

ふふふ、こちらにいい風が吹いてきたわね。

「これが終わったらあなた達に私の魔物達を紹介するわね」

「え!?イツキちゃんもテイムスキルなの!?・・・でも、まだ6歳なのよね」

『やめなさいルビア。こいつを詮索しては駄目(はあ、良い遊び場だと思ってたけどヤバいのに捕まったわ・・宿命からは逃れられないか)』

あら?この妖精は色々と物知りのようね。沈黙は美徳。ご褒美をあげるわ。


「みんなにはこれを飲んでもらうわ。魔物達もよ」

「え・・・なんですかこれ?お腹壊しそうですね」

「魂を鍛える宝珠よ・・そして、妖精王を目指すミミとギラには特別性の宝珠をあげるわ」

『『!?』』


<光妖精ミミ サイド>


光の妖精とは、妖精王としての責務を背負うものだ。

私たち妖精も基本的に男女の営みで増えるが、上位の個体は自然の力溜まりから生まれることが多い。

神の傍らで生まれた私もその一人、しかも生まれた時から王となるべく過去の妖精王が経験した記憶まで持っていた。

だけど、今の妖精達は力を失いつつあり、人には乱獲されている、いわば絶滅危惧種だ。

王たる私の使命は、修行を積み力を得て人から皆を守り安寧たる生活が出来る国を興し、更にはかつての妖精の力を取り戻す・・事だ。

それを知覚した生まれたばかりの私の感想はというと。


それって・・・めんどくさ!!!

ということで使命をブッチすることにしましたwww


そして放浪の末、今はこのゲーム世界で数百年程遊んでいるんだけど。

ここに長く留まる理由は・・・この娘(今はルビアという名前ね)と友だちになったから。

ギラも似たような理由(神の剣として身を捧げる神獣一族、使命を放棄)でこの世界に来たそうだ。

で、世界が変わる度に私とギラで娘を探して仲良く生活する。を繰り返している。

仲良くなったきっかけ?・・・もう忘れたわ。


それをずっと継続したいが・・このイツキは間違いなくゲーム挑戦者だ!

そして、このゲーム世界を容易く踏み越える存在、そう感じた。

この世界が無くなればルビアは・・だからこそイツキの配下になる、それ以外の選択肢はない。

そこに否はないが、あの宝珠を取り込んだら・・逃げてきた宿命を背負わされるのだろう。

『その前に話を聞いて!』『おい、やめろ!』

もう運命に逆らう気も起きないが、ルビアのため一縷の望みを掛けてギラが止めるのを無視して思念伝達で正直な気持ちを話した。

すると、予想に反してイツキ・・イツキちゃんは素敵な提案をしてくれた。


『なら、私の謎空間に妖精の国を作って、王を選定して丸投げすれば?あなたは自身は妖精神となってギラとルビアを眷属にして好きにすればいいじゃない』

『『!?』』

そんなに簡単に?そう思ったが、イツキちゃんが差し出してきた宝珠にはとてつもない量の力が込められている。

もともとの素養は無意識とはいえ神から生まれた私にはある。

これを取り込めば聖人クラスにはなるだろう・・神に手が届く位置に、容易く。

しかし、本当にそれでいいのだろうか?

そう迷う私を、イツキちゃんはバッサリと切り捨ててくれた。


『いい?強くなければ何も出来ないのよ。その力で大事なものを守り、義務や有象無象は丸投げ、邪魔なゴミはねじ伏せる。簡単でしょ?後でラノベ【スライム転生】をあげるから読みなさい。そこには神としての真理が書かれているわ』

それでいいの?とも思うが、何故か心の憂いが綺麗さっぱり切り捨てられた感じなので、とりあえず従うことにしよう。


『話を聞くにあなた達の進む道に相応しい存在は私だけよ。普通の神なら正義ずらしてゆるさないだろうし悪神だったらその弱みにつけ込むわ。しかし・・ねえ。それを直感だけで掴み取るなんて。ふふふ、ルビアは本当にあなた達が大好きなのね』

『『・・・・』』

予想外すぎる不意打ちだ。

イツキちゃんにそう指摘され、ギラと共々赤面することになる・・ギラは銀色で赤面はしないけど。

そう、とっても大事なんだ。でもリビアはゲーム世界の仮想住人。その問題がずしりと心の重しになる。

「ん?あの宝珠を取り込めばルビア達も外の世界に連れ出せるわよ。そんなの心配してたの?」

長年の苦悩が問題が・・あっさりと解決した。


もう・・・この無意識の人垂らしに勝てる気がしない。はぁ、困ったわ。

これじゃイツキちゃんに心酔するしかないじゃない!もう!今後ともよろしくね!


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