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092話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:ルノワール子爵領への帰郷】

<イツキ・ルノワール サイド>


堕天使族のミッチェルを魔改造したところ「ようやくこの変態を追放出来る」と、他の堕天使族から大変感謝された。

魔物達の話では、フィーネに対する信仰が度を超えており、他の魔物達からも「あいつヤバくね?」と言われて堕天使族の権威が失墜していたとか。

フィーネには話せないが、彼女が水浴びした水を聖水として常飲し、排泄物を常食していたとか。

流石にフィーネが可哀想なので【完全消化】【完全消費】を与えて排泄が不要の体に変更した。

これをこっそりミッチェルに伝えたところ発狂しだしたので拳で〆る。

その後もネチネチうるさかったので「フィーネに知られたら殺されるわよ」そう伝えて黙らせた。

自分でもキモい行為だったと認識はしているようだ。

あとは、このゲームが終わったら事情を話して生殺与奪はフィーネに任せよう。

ちなみに・・・私なら瞬殺一択だ。


そんなこんなで、魔物達からはこの変態の代わりにリーダーになって欲しいとの要望を受けた。

だが、めぼしい魔物もいなかったので『うるるんスライム』を与えて私の謎空間に居るアリス達に丸投げした。

「フィーネは私と一緒にルノワール子爵家に行くわよ」

「かしこまりました」

「じゃあ・・戦闘しながら移動するわよ」

「はい!」

その返事と同時に【聖剣エウスリーネ】【聖盾バルダキン】を展開して、イツキを袈裟懸けに斬り裂いた。

「隙あらば攻撃」イツキの教育が行き届いた行動だった。

だが、予想外な事にイツキが避けること無くそのまま斬り裂かれたのだ。


<フィーネ・ラ・サールス サイド>


「・・・え?」

当然、軽く避けるものと思っていたのだけど・・イツキ様が真っ二つになって崩れ落ちてしまった。

「ああ・・ああああぁ!・わた、わた・・私はなんてことを・・」

「すっごーーーい!聖女様!超聖女様を斬り裂くなんて!」

予想外の展開に思考が真っ更になったが、ミッシェルの無常な言葉に殺意が湧く。

だが、それを止めたのが聖装の二人だ。

『フィーネちゃん、神は不滅よ』『心配するだけ無駄だ』

え!?エウスリーネとバルダキンの言葉なら信頼出来るけど・・あ、そういえば血が全く出ていない。

改めてイツキ様を確認すると、既に斬り裂いた体が元に戻っていた。

すごいけど・・まるでスライムみたい。キモいと思ったことは本人には黙っておこう。


「すごいわ!フィーネ!」

ぴょん!と元気に起き上がったイツキ様が私の頭をわしわしと撫でてくれた。

「今の私の体はね、剣くらいじゃ切れない硬度なのよ。聖剣の性能はもちろんだけど、瞬時の硬度把握と力の加減・タイミングが完璧よ!」

そ、そんなに褒められると・・とても嬉しいです。

なにより、めちゃくちゃ硬い銀山と日々対峙してきた成果を認知してくれたことが一番嬉しい。

「それなのに・・超聖女様はなんで生きてるの?」

その辺りはイツキ様だからとしか言えませんね。


<イツキ・ルノワール サイド>


「決めたわ!当面は剣士として戦うわ!」


敵を拳でタコ殴りにするために体を鍛えたのだけど、正直鍛え上げすぎた。

途中で出会った魔物達相手はつまらなかったけど、剣で相手をしてたらもっと楽しかっただろう。

そう言い訳をしたが、真意はフィーネの剣筋が綺麗だったからだ。

全く無駄のない動作で、瞬時にためらいもなく大気そのものを斬り裂くがごとく私を屠った。そのすべてが美しい絵画のようだった。

でも、そのまま真似るのは面白くないので、扱いの難しい大剣・・某漫画の鉄塊みたいな剣にしてみよう。


「【宵闇剣デウス】、巨剣モードよ」

『承った』

剣に求めるのは硬さのみ。濃密な土属性魔力をごっそり与えて出来上がったのは、長さ3m、幅30cmはあろう巨大な黄金の剣だった。

ずっしりと重いが、両手で振り回すと凄まじい風音が聞こえてくる。

基本操作は問題ないが細かな操作は難しい。

「さあ、移動しながら修行よ!」

「あ、あの、イツキ様のお体は問題ないのですか?」

「大丈夫よ、さあ行くわよ!」

「はい!」

返事とともに横薙ぎに襲い来る聖剣を剣の腹で弾くと、バックステップで森の中に紛れ込む。

まずはこの剣を使いこなす事よね。なら森の中が最適よ。

3mの大剣を持ちながら移動するだけでも大変だし、更に敵はフィーネだ。

木々の枝々を伝って飛び回りながら、剣がじゃまにならないようにコントロールしていく。

時折、フィーネが聖刃を飛ばして来るので、バランスを崩したり、木々に剣が当たって行動が阻害されたり、聖刃で四肢が切られたりする事もあった。

それも1時間もすると慣れてきたので、これからは攻撃に移りましょう。


気配を消してフィーネの右側から振り下ろしの大剣を叩き込む。

だが、その攻撃は【聖盾バルダキン】によって振り下ろしの速度をそがれる。

この【聖盾バルダキン】は、その盾を向ければどんな攻撃も速度が停止する。

そして剣の攻撃なら速度が削がれて体が硬直した瞬間にフィーネの聖剣が襲いかかるのだ。

慌てて剣の柄で受けるが、代償として指が切り落とされてしまった。

それ以降の連撃は剣の腹で受け止めて、戦略的撤退を図る。

大剣を使ってみて、私的には邪魔だしまったくの無駄としか思えない。

けど、それでも拳や蹴りみたいに自由自在に操れない所が面白いわね。

結局、子爵領に付くまでの2日間、フィーネに勝つことは出来なかった。


「いや、何を言ってるんですか?最後の方の大剣のあのヘビみたいな動きは意味不明ですよ」

「色々工夫しているのよ。でも、止められたら意味はないから」

「気配もなく木の裏から剣が回り込んで襲ってくるのは十分脅威です」

「速度を出しながら剣筋を微調整すれば勝手に曲がるわよ?」

「それが意味不明なんですって。こっちは聖装の二人が居なかったら負けてますよ」


速度を出すと大気か空間がねじれるのか?硬度の高いものでも曲がったり伸びたりするのよ。

レディース戦の時に金属バッドを曲げてバイクや車のホイールにねじ込んで走行を止めてた。

フィーネは文句を言いながらも、最終的には少し曲げられるようになった。

「うそ・・本当に言った通りに出来た?」

「ね、簡単でしょ?」

『私が曲がったみたいでちょっと不快だわ』

【聖剣エウスリーネ】は不満のようだけど、ついでに相手の剣に巻き付けて武器を奪取する方法を伝授しておいた。


さて、ルノワール領に着いたので、早速領主である父親に挨拶に行きましょう。

正門から堂々と訪問したのだが・・何故か現在は子爵邸内の牢屋にいます。

半ば強引に子爵邸に侵入したのが悪かったかしら?

「当たり前です。イツキ様を偽物扱いする兵士を大剣で張り倒し、閉じられた正門を破壊。室内でも色々破壊しましたよね。殺されても文句言えませんよ」

ちなみに父親は既にムカデの毒で死んでおり、姉が婿を迎えてその婿が新たな領主になっていた。

新たな領主は、私を暗殺者だと思いこんで怯えてたんだけど、私の身分を明かすと何故か尊大になった。

そのときの会話はこんな感じだ。


「なんだと!正嫡が今更生きていましたなんて言われてもな。既に死亡届を提出済みだ」

「ふふふ、イツキ生きてたんだ?でもね、私の旦那様が今の領主なの。しかも王弟殿下よ!すごいでしょ!」

着座する新領主の膝の上には既に名前を忘れた姉は2歳年上だから・・8歳!?がおり、旦那は王弟だそうだ・・無能の捨て場がこの子爵位なのね。頭のハゲ具合から40台かしら?

「あーすごいわ。幼女好きの都落ちおじさんが婿入りね。おめでとう」

「ふ、ふざけるな!概ね間違いないが、私は27歳だ!おじさんではない」

そこで怒るんだ。しかも、ロリコンと無能なのは認めるんだ。

「ふふふ、とても優しくしてくれるのよ。最高の旦那様だわ」

「・・・ロリコン、キモ、シネ」

「イツキ様、このゴミを斬り殺しますか?」

「ばっちいからやめておきなさい。剣が穢れるわ」

「く・・ロリコンという名の真実の愛を馬鹿にするとは。この狼藉者共を牢屋に入れておけ!」

新たな領主との会話は残念ながら不調に終わりましたとさ。


とりあえず、私の目的は侍女ロアとメイドのウランの生存確認なので問題ない。

まあ、丁度いい拠点が出来たので夜にでも調査に入りますかね。

「じゃあG ちゃん達、集合〜!」

イツキの言葉に反応したG 達が集合してイツキの前に整列する。その数200体程。

「また、夜になったら大暴れしてくれる?報酬については・・・」

ひととおり説明してG達が解散すると、何故かフィーネが白目を向いて気絶していた。


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