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36.私と、未来の私の初会談

気が付くと、これは宇宙空間って普段イメージしている通りの漆黒の闇に煌く星たちの背景。そこにぽっかり浮かんでいる私。自分の姿はちゃんと認識しているけど、重さというか気配は全く感じない。音もしない。


ラドゥが前にリアに話していた通り、ここは意識だけで来ている、VR的世界なのだろう。夢で見るのと、自分で実際体験するのとでは、やっぱりちょっと違うものだ。そこに突然声が聞こえた。これも耳から聞こえるというより、頭の中に直に聞こえてくる感覚。


「瑠璃子、よく来てくれましたね。会えてうれしいです」


光輝く人影が見えた。おそらくこれが・・ラドゥ、未来の私。


「ラドゥだよね?こんばんは。ご招待ありがとう。びっくりしました」


私も挨拶を返す。口を動かして話しているつもりだけど、私の声も頭の中で響いている。不思議な感じだ。


「早速だけど、部屋にいる時に言っていたことは・・」


多分、私の瞑想スキルでは長い事居られないだろう。とにかく本題に入る。


「ええ。瑠璃子が言っていたのは、カーサを首尾よくおびき出し、術をかけさせることができたとしても、問題は、どうやってカーサに気づかれずに、光を混ぜ込むことができるのか、ということですね?」


「はい。どんなにかすかな光でも、完全な闇の術の中に混ぜたら必ずわかってしまうのでは?」


「そうなのです。だからこそ、瑠璃子に来てもらったんですよ。これはリアとシェインたちにはできないことです。彼らの時間の外にいる瑠璃子と私たちが力を貸す必要があります」


「え?私?」


「そうです。カーサが術をかける時、闇のエネルギーを出したら、一瞬、ターゲットであるシェインの方に視線を向けるでしょう。投げつける方向と距離を測るためです。彼は自分の手元から目を離す。その瞬間を狙って、私と瑠璃子で時を止めます」


「は?時を止める?私が?できるわけないでしょ、そんなこと!」


これはひどい。今までで一番ありえない。私は大声で反論した。


「できるんですよ。時間の外にいる時は。けれど、おそらくできて20秒というところでしょう。時間を止めるということは、とても負担がかかることだからです。


なんとかその20秒間でシェインかリアが光を術の渦の中に投げ込まなくてはなりません。闇にすぐに溶け込むように。時間が動き出してから、その光の溶け込んだ渦を、カーサはシェインに投げつけるでしょうが、それは既に無効化されています」


「時間が止まってるのに、リアとシェインは動けるわけ?」


私は疑問をぶつける。


「ナイーシャにも手伝ってもらい、シェインとリアをその20秒間だけ時間の外に置いてもらいます」


うわぁ、総動員、そして力業だね。それにしても時間を止めるって具体的にどうやるわけ?ちょっとやさぐれ気味につぶやいた私にラドゥが言う。


「時間を止めると意図して、自分の中のエネルギーを身体の外に全て放出させます。自分の中からものすごいばかりの光が放たれて自分が爆発するような感じと言えば捉えやすいでしょうか」


「・・・捉えにくいわ!自分が爆発って・・何それ?私死んじゃうじゃん!」


「大丈夫です。あくまで「感じ」です。本当には爆発しません。」


・・真面目に答えられて逆に力が抜けた。


「・・わかってるって。そのくらい集中する必要があるっていうことなんだよね?

でも・・そんな難しいこと私に本当にできるのかな・・。マジで不安なんですけど」


「瑠璃子はエネルギーワークを勉強していましたね?ですから、エネルギーを集めるとか動かすとか放つとかの感覚、そのための集中の仕方も体感として知っているはずです。後は既に知っていることを練習して研ぎ澄ませていくだけです」


・・なるほど・・そう言われれば、その通りだった。私には一応基礎がある・・。現代に生きている人間にしてはエネルギーワークの経験はある方だ。最近真面目にやってもいなかったけれど、(それどころじゃなかったからね。)仕方ない。リアのためにやる。


「わかりました。やってみるよ」


ラドゥが微笑んだようだった。


「そう言ってくれると思っていました。瑠璃子。あなたは自分は何もできない無力な人間だと思っているようですが、今回の件はあなたが全てを起こしているのです。あなた自身が全ての鍵なのだということを、よく覚えていてください。リアとシェインのためではなく、あなた自身のためにこの計画に参加してください」


その言葉を最後に私の意識は離れた。


「・・あ・・戻って来た」


意識が戻って目を開いたら、自分の散らかった部屋だった。頭がはっきりしてくる。


ラドゥとの会話を思い返す。私が全ての鍵だと彼女は言った。それなら、私はもう少し積極的に計画に関わってみようか。これまでは夢を見て、展開に着いて行くだけで精一杯だったけれど、初めてそう思った。


それなら、まずは結婚式をいつ決行するかをこちらである程度目安を決めてシェインに送ってみてもいいかもしれない。さっき、考えていたように、私がこの関西を離れる前の方が「通信」がはっきりできそうだし、私の引越日までの3週間でケリをつけるのがよさそうに思う。


それと、結婚式に際して、私からリアのために、もう1つ小さなサプライズをした。喜んでもらえるといいなと思う。私はまるで親友の結婚式のことを考えているかのような気分になっていた。


・・全ては後3週間。引越準備もあるし、大忙しだ。現実的なことと、非現実的なことが頭の中で入り乱れておかしくなりそうだけど、とにかく、やるしかない。


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