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33.私の仮説、立証

「やった、成功だ・・!」


私は目が覚めて、夢の中で自分の仮説が証明されたことに興奮していた。


「やっぱり、私の考えたことが伝わったよ・・!しかもシェインに!」


昨夜の夢は、遠征に出ていたシェインが無事に戻ってきて私も心から喜んだ。


リアが気絶するほどに安心してそして目が覚めて、これまでのことを一生懸命に説明するリアの想いと、それを真摯な愛情にあふれるまなざしで見つめ聞いているシェインの表情。そんな2人の間に存在する真実の愛をひしひしと感じ、思わず、


(結婚しちゃえばいいのに)


と強く思ったのだ。彼らの時代は巫女が結婚できない規則だから、というのはわかるけど、だったら法的に認められなくても「心の結婚」をすればいいんじゃないの?自分たちだけで結婚式を挙げて。


そう思いながら、リアとしてシェインの話を聞いていてぎょっとする。シェインが突然「結婚式をしよう」と言い出したからだ。しかも、誰かにそう言われたような気がした、と言う。


私が思ったことが確かにそのままシェインに伝わった。やっぱり・・私と彼らは不思議なことだけど、時間も空間も超えて確かに繋がっている。


何となく、あのスカイブルーの古代ガラスのペンダントが来たから、繋がりが強化されたと思った。やっぱりそういう石だったのか。


来たばかりの時には、「静かだ」と感じた。でも、5日たって少し「慣れてきて」本領発揮しだしたようだ。石にも個性がある。ちょっと人見知りだったのかもしれない。



引越業者がようやく決まり、連絡を取って昨日段ボールを届けてくれたから、今日から早速荷造り開始だ。とにかく、今回は1人だから、私がやらなければ何も動かないわけで。こういう作業がそれでなくても苦手な私は、とにかく、早め早めに少しずつやっていくしかない。


こっちに来る時には父と母がせまい部屋でくるくると動き回ってどんどん箱詰めしていく様を、私は「神!」と思いながら、力尽きて手伝えもせずにいた。でも、なんとなく、台所用品はこう梱包するのか、靴は、食材は、と、見ていて要領を覚えた。その記憶を頼りに、やってみることにする。


でもそれがなければ、本気で私は家財道具を前に途方にくれたと思う。娘と違って現実処理能力の高い両親に心から感謝だ。まずは、大事な石コレクションから梱包を始めることにする。



黙々と新聞紙で何十とある大小の石を梱包していく。要領さえ掴んでしまえば後は繰り返し。機械的に手を動かしながら、私の思考はやはりシェインとリアに戻っていく。


シェインってやっぱり切れ者だよね。私が思わず送った「結婚式」という言葉で、今一番の懸案を解決するための仕掛けを思いつき、しかも、リアとの愛も一歩進めることに成功した。見事な手際だ。


もちろん、それでもまだ難しいし、危険であることには変わりないけれど、この作戦を思いつく以前よりも、100倍くらい希望が出てきたことは確かだろう。さすが私の魂の片割れ。


彼らの時代の結婚式がどういうスタイルで行われるのかわからないけど、リアのためにもう一肌脱ごう。リアを喜ばせたい。私は、胸に下がっているスカイブルーのガラスを又握りしめた。


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