表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/56

32.シェインのプロポーズ

つまりはこういうことだった。


カーサに「術」をかける瞬間に立ち会い妨害するためには、こちらからその舞台を用意してやれば、わざわざ見張る必要もなくなる。カーサが我を忘れてシェインに「術」をかけざるを得ない状況を提供すればいい。


それにはシェインの「最高に幸せな」瞬間を見せつけることだろう。つまり、シェインとリアの結婚式、だ。もちろんリアとシェインは結婚できない。だが、公式にやる必要はないのだ。自分たちだけで「魂の結婚」をするとでもいえばよい。


その日にちとその情報を、噂という体でカーサの耳に入れる。嫉妬の念に苛まれ、必ずその時にカーサはやってきて物陰からでもうかがい、シェインに術をかけようとするだろう・・というのが、シェインの考えだった。


確かにそれは悪くない考えかもしれない。が、それにしても突飛すぎる。彼はこんな発想をどこから得たのか。リアはちょっと不思議に思った。


「でも、巫女と騎士の結婚式なんて・・私的なお遊びであっても聞いたことないわ。こんなこと、許されるのかしら。どうしてこんなこと思いついたの?」


「どうして?・・そういえば突然ふっと浮かんできたんだ。結婚式しちゃえば?って言われたような感じがしたというか」


それを聞いてリアは、もしかして・・と思った。もしかして、だけど瑠璃子かもしれない、と。根拠はない。ただ魂で感じるのだ。彼女は今この瞬間も私に同化して私の体験を共有している。


それが不快には感じるどころか、今のリアにはとても心強いと思った。時空を超えた味方がいるという安心感。そんなことを考えていたリアの手を握ってシェインが顔を寄せて来る。


「だけどね、リア。僕はこれをただカーサを引掛けるためだけの、お遊びの結婚式で終わらせるつもりはないんだよ」


「え?」


「遠征中、3週間、被害を受けた悲惨な状況、人、色々目にしてきた。僕たちも襲撃を受けたりした。だけど、僕が一番辛かったのは・・情けないことに、リア、君が傍にいなかったことだった。自分でも驚いたよ」


「シェイン・・」


「でもそういえば、こんなに長い間リアの顔を見ることができなかったのは初めてだったんだ。巫女になってからも3日にあげず、ここで会えていたからね。・・それで、思い知った。僕は、君が傍にいてくれないとダメなんだ。


水を飲まないとのどが渇くように、君に会えないと、魂が渇いていく。こんなにも大事な人との愛を、このままずっと日陰に隠して今世を終えるのか?そう考えたらたまらなくなった・・」


シェインは、そういうと、本当にのどが渇いているかのように辛そうな表情をした。


「さっきの話じゃないけど、これに関しては、僕はもうこれ以上我慢できなくなってる。今世で、君は僕の片割れで、僕は君のものだともっとはっきりした形で表明しておきたい。リア、僕と今世で結婚式をして、晴れて「魂の夫婦」になろう」


「シェイン・・?」


リアはそれ以外の言葉が出てこない。


「公式に認めてもらわなくていい。僕たち2人だけがそれをわかっていればいいんだ。僕は今世でも君を僕の妻と思って生きていきたい。もう「来世の結婚」まで待てないんだ」


シェインの魂からのプロポーズだった。リアは胸がいっぱいだった。来世まで待たず、今世で結婚式を挙げて「魂の夫婦」になるですって?私、シェインのお嫁さんになれるの・・?


夫婦として公に認められることも、一緒に住むこともできないけれど、それでもシェインを気持ちの上だけでも、合意の上で彼を夫と思って生きて行かれるという可能性は、これまでのリアの人生にはありえないことだったし、これ以上望むべくもない夢のような話だった。


「シェイン、本気なの・・?」


「もちろん本気だよ。掟破りを糾弾されるかもしれないし、巫女を娶る真似事をするだけでも不敬だと断罪されるかもしれない。覚悟はできている。


断罪される未来よりも、君との愛を日陰に隠したままで生きていく未来の方が僕にとっては不幸だ。遠征中、そのことがはっきりわかった。リアとの関係をこれまで通りのあやふやな距離感で、続けていくことは僕にはもうできない」


「シェイン、・・私も、あなたを夫だと思って生きていきたい。結婚式をしましょう」


「リア、ありがとう。・・君を愛している。もうこの言葉じゃ表現しきれない程に」


シェインのスカイブルーの美しい瞳は潤んでいた。シェインが泣いたところなどこれまで見たことがない。リアは胸を突かれた。


そのまま、握られた手をそっと引き寄せられ、優しく口づけされる。リアはシェインの胸に寄りかかって幸せを噛み締めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ