表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/56

16.私の覚醒

「・・・」


私は、又もや泣きながら目覚めた。毎回、リアたちの夢を観るたびに、衝撃度が上がっていく気がする・・。昨夜の夢は・・これまでで最大だった。何しろ、私自身の話がかなり出てきたから。


ラドゥが私が勇敢に頑張ったと言っていたけれど、正直全く心当たりがない。

だけど、リアたちの話を聞いていて、ちょっと背筋が寒くなったのだ。


カーサ王太子が、誰なのかわかってしまったから。山霧だ。あいつは、カーサ王太子の魂の生まれ変わりだ。・・思い返すと、山霧はカーサ王太子と性格的に似ている点がすごくある。


まず、意味もなく俺様で、妙に自信家。理屈っぽい。自分の見解だけが正しいと思っている。自分の思う通りにならないと許せない。他人は自分の駒くらいにしか思っていない。けっこう粘着質で、目的のためなら冷酷になれる・・などなど、ちょっと思いつくだけでもこんなに出てくる。


しかも、思い出したけど、まだただの知り合いだった頃、山霧が、何故か前世で彼は、私の「お兄ちゃん」だったとわかったとか言っていたことがあった。スピやオカルト系のことに興味を持っていた。これも、もしかしたら魂の記憶ってやつだったのかもしれない。


それにしても、山霧がカーサだったとしたら、片割れを装って私に近づいてきたってことか。前世で私の魂が、その場しのぎの結婚の約束をしてしまった相手だったから、こんなことになった?そう考えると、結局身から出たさびではあったわけだ。


リアとしての前世で、奴の気持ちに応えなかったのを逆恨みされて、今世は、その記憶が山霧の、私を貶めて傷つける言動になっていったということかもしれない。


奴は私を不幸にしたかったのだ。確かにそれはほぼ成功していた。実際に私は、

山霧と男女の関係になって以来ずっと幸せではなかったのだから。


けれど、私が不幸と感じるこの状態こそが、カーサの魂が望んだ復讐で、思うつぼなのではと、気が付いた。不幸になったままだと、奴の魂を喜ばせてしまう。それは絶対嫌だ。


だから、これを乗り越えて、私の人生をもう一度ゼロから再構築してやる。自分らしく幸せに生きる道を絶対に見つける。私はそう決意した。


そのためには、まず、この地から出よう。関西を引き上げよう。この半年間、何も決められなかった私が今、すんなりそう思えた。


ようやく次の一歩の方向を見定めることができた瞬間だった。「後ろ向きな逃げ帰り」ではなく、「前向きな撤退」へ気持ちが切り替わった瞬間。


私はこの半年間、奴の甘言に乗って関西に来たことをずっと後悔していた。しかもなぜ、ここを動けないのか、苦しくて仕方なかった。


でも、私の過去世が教えてくれた。全ては起こるべくして起きたことだと。というより、是が非でも起きなければいけなかったのだ。カーサと山霧の魂を今世で完全に振り切るために。


今はそれがよくわかる。過去世から何千年も復讐心に燃えて追いかけてくるような奴だもの、ちょっとやそっとでは離れていかないだろう。


だから、私の魂は、今回大きな賭けに出たのではないか。敢えて奴に本気で惚れた後、こっぴどく騙されるという選択をした。奴の復讐心を満足させるように。


更に、奴の方から私を“執着する価値のない存在”として、徹底的に見切りを付けさせるような状況を作ったのだ。


カーサの魂がこれほど長年執着してきたものを、今回、興味を失い自分から捨てるように仕向けたのだ。絶対にもう一度拾おうと思わないように。奴のようなタイプには、それが一番確実で有効な縁切り方法だと私も思う。


そこまで徹底してやらなければ、私はきっと本当に危なかったのだ、と、奴の復讐がどういうものだったのか、全貌が何となく見えてきた今はわかる。


実際、私は山霧と別れてから、無気力になり、


(魂の片割れなんてやっぱりおとぎ話でしかなかったんだ。馬鹿みたい。そんなものずっと信じていたなんて。いくら待っていたって出会えない。私の人生は無意味だった。もう生きていても何の希望も見いだせない)


そう思うようになっていたから。一番大事な私の生きる理由が無くなったと思った。もう生きることを辞めたいとすら思っていた。


これこそが、カーサの魂の復讐の目的だったのではないか。リアの魂を完膚なきまでに絶望の闇に落とす。永遠に二度と立ち上がることのないように。もう二度と誰かを愛せないように。「来世の結婚」実現の可能性をゼロにするために。それは考えられないほど非情な復讐。


その復讐はしばらくは成功したかに思われた。けれど、私は救われたのだ。自分の魂の計画と、片割れとの愛の力によって。見破られたとき、闇の効力は消えるのだと思う。


だとすると・・計画は大成功ってことだね?私、無駄に男に騙されて捨てられたわけじゃなく、実は、自分の魂が綿密に計画していたことを予定通りにこなしただけ。


もしかしたら、あの時点で店から離れなければ、心身ともにもっとひどい状態に陥った可能性すらあったのではないか。私にとって最悪と思っていたことが、魂が望んでいた最高の成果だったということで・・。


これがラドゥが言っていた「勇敢に頑張った」ということだったのかも。ここまで思い至って、圧倒される。魂の計画って・・すごい。


それにしても、誰かにこれほど恨まれるという究極的ネガティブ体験は、魂の片割れに愛されるという究極的ポジティブ体験と、ただの裏表っていう感じもする。全てはただ、バランスを取るための経験でしかないのかもしれない。


これらが全て解き明かされるまで、私はここにとどまることになっていた?・・全てを失って逃げ帰る敗者としてではなく、魂の計画を成功に導き、自らを解放した勝者として帰るために。私・・頑張ったじゃん。


今、私の中の何かがはっきりとシフトした。眠っていた私の魂が目覚めたような感覚。生まれ変わったような清々しさがある。嬉しい、なんて感情、本当に数か月ぶりかもしれない。


今私は又嬉しいと感じられている。感謝の想いが溢れてくる。リアとラドゥにも・・。厳密には自分自身かもしれないけど、私は1人じゃなかったんだと思える。


しかも、本当に私にも「運命の人」がいることがわかったし。今はその情報だけで十分すぎるほどだ。


今日という日は、久しぶりに予定ができた。関東に引き上げるための引越しに向けての色々を早速始めるのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ