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エピソード2 「適正見の儀」

 村長の家は、村の中央にあった。

 他の家よりひと回り大きく、屋根には見たこともない鳥の骨みたいな飾りが取り付けられている。

 ’’異世界感あるな……”なんて場違いなことを考えながら、僕――坂田水蜜は母さんの後ろを歩いていた。

「緊張してる?」

「まぁ、少し」

 嘘だ。かなり緊張してる。なんせ、これから異世界テンプレイベントが始まるのだから。

 適性。

 才能。

 将来。

 そういうものが全部決まるイベント。

 前世で散々“向いてない側”だった僕からすると、あまり笑えない。もしここでもハズレだったら?

 農民適性とかだったら?いや農民を馬鹿にするつもりはないけど!

 でもこう、物語的には地味というか……。

 そんなことを考えているうちに、村長の家へ着いた。

 中には既に十人ほどの子供たちが集まっていた。

「あ、水蜜!」

 声をかけてきたのは、赤毛の少年だった。記憶が反応する。幼なじみ。

 名前は――。

「……レオ」

「なんだよその間!」

 レオはケラケラ笑った。距離が近い。眩しいタイプだ。

 前世の僕なら絶対苦手なタイプ。

 でも、今は

不思議と嫌じゃなかった。

「お前、今日ずっと変だぞ?」

「……まぁ、ちょっと」

「緊張してんのか? 大丈夫だって! 水蜜、昔から変な勘だけはすごかったし!」

「変な勘」

「この前だって崖崩れ当てただろ?」

「……へ?」

 知らない記憶が浮かぶ。山道で、「こっち危ない気がする」と僕が言った数分後、本当に崩れたらしい。

 ……偶然?

 いや。

 もしかして。

「観測者権限と関係あるのか……?」

「ん? なんか言ったか?」

「いやなんでも」

 その時だった。

 部屋の奥から、杖をついた老人が現れる。

 村長だ。

「静かにせい」

 一瞬で空気が変わった。村長の隣には、水晶みたいな球体が置かれている。

 青白く光っていて、いかにも“魔法アイテム”って感じだ。

「これより、適性見の儀を行う」

 子供たちが息を呑む。

 村長は順番に名前を呼び始めた。

「エリク。“鍛冶”」

「ミナ。“薬師”」

「レオ。“剣士”」

「よっしゃぁ!」

 レオが飛び跳ねる。

 周囲から歓声。やっぱ人気職っぽい。

 そして。

「……坂田水蜜」

 来た。

 心臓がうるさい。

 僕はゆっくり前へ出た。水晶に手を置く。

 ひやり、と冷たい。

 直後。

 水晶が眩く光った。

「――っ!?」

 部屋がざわつく。光が、止まらない。普通じゃない。それだけは分かった。

 そして。

 頭の中に、あの黒い文字が浮かぶ。


【観測者権限 起動条件を再確認】


【個体適合率:98.2%】


【権限解放まで残り条件:1】


「な……」

 その瞬間。

 バキンッ!!

 水晶が割れた。

「……は?」

 静まり返る部屋。誰も動かない。

 村長だけが、青ざめた顔で僕を見ていた。

「そんな……馬鹿な……」

 震える声。

「“無適性”だと……?」

 ――空気が変わった。

 さっきまでの期待が、一瞬で冷えていく。

「無適性……?」

「初めて見た……」

「そんなことあるのか?」

 周囲の視線が刺さる。

 無適性。

 つまり、“何にもなれない”ってことだ。

 前世みたいだ、と思った。

 何者にもなれない。どこにも行けない。

 そんな、人生。

 けれど。

 その時。

 僕だけに見える黒い文字が、ゆっくり浮かび上がる。


【適性偽装を確認】


【観測者権限保護のため、表層適性を秘匿します】


「……え?」

 つまり。隠されてる?僕の本当の適性が?

 混乱する僕をよそに、村長が重々しく告げる。

「……坂田水蜜。“無適性”だ」

 その言葉に、子供たちがざわつく。

 レオだけが、気まずそうに僕を見ていた。

 そして僕は理解した。

 この世界。思ってたよりずっと、生きづらい。

やぁやぁ諸君!元気かい?元気だよ!エピソード2だねぇ。3も4も4いっちゃうよ!読んでってね!

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