089 合同会議2
「ちなみにハウザー側というか、僕らと敵対しそうな人達の人数って分かってるんですか?」
真壁の言葉に、明け方の面々は顔を見合わせた。
加藤に会話のバトンを渡されて、食満が答える。
「いや、はっきりとは分かっていないんだ。石上さんの話では、20人程度とは言っていた。でもそれも今となってはどこまで信用したものか。よく考えたら20って数の出所も不明だしな」
「お兄ちゃんが・・・」
「そしてこちらはここにいる7人と、そちらの待機している須藤さんで8人。他にタケさん関連で、もう三人のチームとは連携が取れている」
「つまり動けるのは十人か。そのうち戦えるのは?」
「僕、翔太、まひる、優征、あとさっき優征が言っていた他のチームの三人は全員戦える」
あわせて7人。
石上湊が言う20人が本当であれば、あまりに心許ない人数ではある。
相馬にとって、明け方のメンバーは、一人で脅威に挑むしか無いと思っていたところに現れた、願ってもない戦力だ。
しかし、同時に敵も増えてしまっている。
正確には増えたというより、その存在が明らかになっただけだが。
なんにせよ、手放しで状況が良くなったと言える状況では無い。
「ぶっちゃけ勝算は?」
「分からないわ。ハウザーだけならまだしも、石上さんの話を信じるなら、多勢に無勢もいいとこだわ」
「そんな・・・」
「ごめんなさいね、少し意地悪だったわ。この多勢に無勢は最悪のパターンの話よ。そもそもあいつらは一つのチームじゃ無いのだから、わざわざこちらが挑戦状でも叩きつけない限り、全面戦争にはなりようがないわ」
「あ、それもそうですよね。こちらの狙いはハウザー1人だけでした。なんかつい話の流れで全員と戦わなきゃいけない気になってました」
凛の言葉に、加藤は悪戯っぽく口の端を上げて笑っていた。
基本的にクールな彼女の笑顔は珍しい。
笑いのツボは人とは少し違うようだが。
「妹さんは素直で可愛らしいわね。そう、あくまでハウザー打倒が目的。それでどうなるかは分からないけど、それが成功すれば、この世界の危険度はぐっと下がる」
「そうですよね。私は玲奈さんを助るのが最優先です!無駄な戦いは避けたいです」
「素晴らしい心構えだ凛!その初心を忘れずに、力を合わせて頑張ろう!」
「えっ、はっ、はい!」
「光、今はスミレが話してたんだけど」
呆れる加藤だったが、天城は悪びれない笑顔で謝る。
心から反省しているわけではないだろう。
だが、加藤も本気で怒っているわけではない。
正反対にも見える二人だが、意外と気が合っている。
一通り自己紹介と、お互いの目的の一致を確認すると、今後の方針の話をした。
現状の確認。
ハウザーを見つけた時、見つかった時の対応。
集団戦になった時の各々の動き。
話は尽きず、長い会議となった。
「さて翔太、とりあえず今日はこのへんで終わりにしようか」
「俺も賛成だ。そろそろ目も覚める頃合いだろうしな。皆もいいな?」
目が合った誰しもが頷く。
多田なんかは途中から暇していたようで、あからさまに喜んでいる。
しかし無理も無い。
決して楽しい話では無かった。
現実では無いにしても、現実にいる人間と、命を懸けて戦わなければならないのだ。
平和なこの時代に生まれ育ったほとんどの人間に、そんな過酷な戦いに慣れた者はいないであろう。
それでも、戦いを避けては通れない。




