表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
集合的無意識が私達に与える影響について  作者: 10MA
夢での詭謀

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/81

067 行動開始

目を覚ますと現実での日曜日。


西岡のオフィスに来ているが、社長席に人の姿は無い。

島になった席には相馬の他に、須藤、凛、真壁が座っている。


昨夜は夢を見ていない。

夜は眠るのが遅くなったが、朝早く起きる羽目になったのは、鳴り止まない着信音のせいだった。

電話の主は真壁透。話があるから来て欲しいとの事で、この部屋に集合する事になった。

この部屋はそのうち引き払うつもりではあるが、とりあえず今はそのまま残っている。

西岡達の件は事件性が無いということで、不気味な程にあっさりと警察は手を引いた。

真壁の話では、以前からこのオフィスで死人が出ても、ほとんど騒ぎにならず、ニュースになっても、その記事もすぐ消えてしまうらしい。


「あの女か?」

「たぶんそうですね」


凛から聞いた新井武臣が死んだ時と同じだ。

やはりあのタマキが、何かしら暗躍している可能性が高い。


「このオフィスも探ったんですけど、ほとんど何も残されていませんでした。現実でも、あっちでも。ほとんどの情報はタマキさんが管理していたんですけど、ご覧の通りで」


真壁は長谷川環が座っていたデスクの引き出しを、ガラガラと音を立てながら開けていく。

引き出しの中は全て空だった。

机の上には筆記用具や、本が数冊置いてある。

本のタイトルは、ごく一般的に販売されているデザイン関係の専門書で、相馬達の役には立ちそうに無い。


「僕達のデスクには元々大した情報はありませんでした。パソコンはそのまま残してくれたみたいですが、綺麗に初期化されていました」

「徹底していますねー」


このオフィスから得られる情報なんて、元々期待はしていなかったので問題無い。

しかし、こうなる事を予想して、いつ実行する時間があったのかと思うと怖いものがある。

監視カメラでも付いてるんじゃないかと、部屋を見回してしまう。


「みんな凛から新井武臣の話は聞いてるんだよな?」


全員が頷く。特に須藤の様子を気にかけたが、大丈夫そうだ。真剣に話を聞こうと集中している。

まずは凛が口を開いた。


「あの後も調べたんですけど、あの会社について詳しくなるばかりで、夢の話なんか全然出てきてません。すみません」

「凛さんが謝る事じゃないって。僕はあっちの世界で実際にその会社に入り込んでみました。結果として収穫はほぼ無しです。新井武臣の会社は、名前だけが残ってるような状態で、別の会社に買い取られています。当時の社員もほとんどいないようで・・・」


簡単に行くとは思っていなかったとはいえ、ここまで何も手掛かりが掴めないとは。

敵ながらタマキの手際の良さには恐ろしいものを感じる。


「どうする翔太?このままだと八方ふさがりだよ。やっぱり私があの二人のどっちかの場所を突き止めるしかー・・・」

「ダメに決まってるだろ。それなら俺が跳びまわって誘い込む」

「二人ともオトリになるようなマネはダメですよ!・・・私の案を聞いてもらえませんか?本当はまだ全然話せる程の中身は無くて、言うか迷ってたんですけど。現実であの二人のどちらかと会えませんかね?できればタマキさんの方が話が通じそうで良いんですけど。現実でも会ってたんですよね?」


そう言って真壁を見る凛。


「確かに・・・。あっちで会わなければ命の危険は無い。のか?」


確証は無い。現実でも事件を闇に葬れるほどの影響力を持っている。しかもスタジアムの時の口ぶりでは、現実世界のために夢の世界を利用しているようだった。おそらく現実で全くの無害という事は無いだろう。

しかしそれでも、もし戦闘になったとして、あの世界でのように動けるはずがない。


「そうだよな、俺だって現実であんな動きはできない。きっとあいつらだって」

「問題はどうやって探すかだよねぇ」

「前使ってたメッセージそのまま生きてたりしない?」

「ダメですね。アカウントが消えています」


全員で頭を捻るが良い案は浮かばない。

沈黙が続く。時折、須藤が考えを整理するように、あえて言葉にしていてくれるが、事態は進む気配がない。


「私達が見つけ出すのはかなり難しそうだもんねぇ。夢の中みたいに誘い出すしか・・・。でも夢じゃないから誘い出す手段も使えない。あの人が食いついて来そうな事ってなんだろう」

(玲奈の言うとおりだ。あいつの興味、関心、目的・・・。いや、考え方を逆にすれば案外簡単な話じゃないか)

「あいつ好みのエサを用意できないなら、あいつがされて嫌な事をすればいいんじゃないか?」

「と、言いますと?」


思いついた案を全員に伝える。

全員の協力が不可欠だ。危険も伴い、現実で行動する以上は日常生活にも支障が出る。

三人とも頷いて聞いてくれてはいたが、後半の方は表情が引きつっていた。


「・・・って感じなんだけど。あれ?俺おかしい事言ってる?」

「翔太の性格の悪さに引いてるんだよ。よくもまぁ平気でそんな提案できるね・・・」

「でも翔太さん。それをやって、あっちの世界で狙われたら同じことじゃないんですか?」

「そこはタマキの有能さに賭ける。もし俺の考えが的外れなら、かなり分の悪い賭けになってしまう。お前達に強制はしない。ここで降りてもいい」


話している間、須藤の顔は見れなかった。きっと不満そうに話を聞いているはずだ。

なんせ運命共同体なのだ、こう聞かずとも答えは決まっているだろう。


「いえ、翔太さんの話に乗りますよ。そういうのは得意ですからね!」

「私もです!本気を見せちゃいますから少し時間をくださいね!」

「ありがとうな、みんな」


横から須藤のため息が聞こえたが、特に何も言わなかった。

心の中で謝罪と感謝を伝える。


それから凛と真壁に詳細を伝える。二人はやる気十分で、案は出したが、あまり詳しくない相馬に代わって作戦を補足してくれた。

成功したら何を話そうか。タマキの目的は具体的には分からないが、あの世界を『ナワバリ』と言っていた。おそらくは、あの世界こそが居場所だと思っている西岡のようなタイプだ。この世界から脱したい、無くしたいと思う自分達とは目的が違う。

無理に協力関係は望ます、まずは何を置いてもこの世界の情報が欲しい。


それからさらに時間をかけて話し合い、この日は解散した。


西岡のオフィスを出て、須藤を家まで送っていく。

日曜日の街中は賑わい活気がある。人混みは好きではないが、街が賑わっているのは嬉しい。


「うまくいくといいねぇ」

「お、良かった。さっき不穏な空気出してたからまた何か言われるのかと」

「思ったよそりゃ。でもあの二人の覚悟は分かるからねぇ」

「さすが相棒。感謝だよ」

「あ!そういえば昨日の!凛ちゃんすごかったんだから!」


油断していた。今日は完全に夢の世界での頭に切り替わっていて、それどころではなかった。


「電話でさぁ『どうなったんですか?好きなんですか?意識したのはいつから?』って怒涛の質問!あんなにグイグイ来る凛ちゃんは初めてだったよ・・・寝不足」

「ははは、ごめん。玲奈ならうまくやれるもんだと」

「若さには勝てないよぉ~。ちなみに今後は翔太に聞くように言っといたから」

「我が相棒ながら恐ろしい・・・さすがだ」

「仕事は早く、確実にだからね」


思ったより簡単に許されたと安堵したが、どうやらすでに仕返しは済んでいたようだ。

さらにやり返そうかとも思ったが、いたずらっぽく笑う姿に免じて許すことにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ