表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
集合的無意識が私達に与える影響について  作者: 10MA
夢での邂逅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/81

056 打ち上げ


自室で休養し、夕方になってようやく活動を開始する事ができた。


駅前で凛と真壁に合流する。

顔を合わせると、凛は相馬の姿を見るなり、感極まったのか瞳に涙を溜めて抱きついて来た。

通行人に見られて少し恥ずかしかったが、子供をなだめるように背中を叩いてやった。

背後から「へぇ誰でもいいんだ」と聞こえた。怖い。


西岡チームの事は、各々折り合いを付けてきたようだった。

もちろん完全に割り切る事はできない。一生忘れる事も無いだろう。

対立したとはいえ、目の前で理不尽に奪われた命。

そうなる前に、分かり合える道は無かったのだろうか。理解するために出来ることは、全てできたのだろうか。

何度も繰り返し後悔してしまう。

しかし、それぞれ心にしこりを残しながら、それでも前を向く事を決めた。



少し時間は早かったが、以前にも使った居酒屋に入った。

相馬翔太、須藤玲奈、石上凛、真壁透、今回の戦いを乗り越えて、生き残った面々。

控えめに乾杯をした後、戦いで重要な役割を担ったが、ほとんどその場にいられなかった真壁に話をしてやる。


「マジですか。タマキさんがー・・・。他の奴らも死んで・・・いや、すみません。悲しいとかじゃないんですけど、頭の整理が。僕も含めて、ロクな死に方できないだろうなとは思ってましたけど、さすがに意味が分からなくて」


真壁は長谷川に虚偽の情報を流した後、現実に戻り、待機していた張本をダグアウトに向かわせていた。

その後は、自分も再度あの世界に入ろうとしたが、上手くいかず結果を待っていたらしい。


「本当にありがとうございました。透さんがこちらに付いてくれていなかったら、かなり危なかったと思います」

「い、いやいや!ていうか凛さん、歳近いんだから敬語やめましょうよ」

「じゃあお言葉に甘えて。って透くんのそれも敬語だよ」


頭を掻いて笑う真壁と凛。意外と相性は良さそうだ。

歳が近い仲間ができて嬉しいのだろう。


話をしていくと、真壁は「しばらくは安心して夢を見られますね」と言った。

どうやらコートの男は、意識ある者を狙っているが、連続して何人も殺す事はほとんど無いという。

今なら理解できる。初めは天災のような存在に感じていたが、同じ人間というのであれば、現実での生活があるはず。

そう頻繁に現実で原因不明の遺体が出ては、何か不都合があるのだろう。

話の通じ無さと、あの巨体で怪物のように思っていたが、意外と理性的であるようだ。

今回は同じ会社から三人も死者が出たのだ。原因不明とはいえ騒ぎになる。


「マジか!もっと早く分かってたらなー。言ってもしゃあないけど」

「確かに、これからはニュースも要チェックだね」

「そうですね。少しでも安全な日が分かれば助かります」


今回の騒動で様々な事が明らかになった。続けてあの世界の事を知るために、この機会を逃す手はない。


「まずはタケさんってやつから調べよう。あの三人の中で、唯一素性が分かる人物。だよな玲奈」

「うん、亡くなった時にニュースで見たし、会社と名前は分かるよ」


ため息をつく須藤。ドリンクをマドラーで回し、無表情でそれを眺めている。動いてグラスに当たる氷の音が虚しく響く。

命の恩人だと思っていた人が、突然よく分からない存在になったのだから無理もない。


「それではあっちの世界で会社を調べる仕事は僕に任せてください。場所さえ分かれば、たぶん入り込めますんで」

「じゃあ私はこっちで過去のニュースとか追ってみます。玲奈さん、後でその人のこと教えてくださいね」


複雑な心境の須藤を気遣ってか、率先して行動してくれようとする凛と真壁。

相馬は申し訳なく思いながらも、任せることにした。

重くなりそうな空気を察してか、凛がグラスを高く掲げる。


「さて、とりあえず飲みましょう!気にするなと言われても無理ですが、あんな目にあってもせっかく無事だったんですから!」

「ま、確かにな。久々に頭からっぽにして楽しまないと、何のためにあんなに痛い目に合ったのかもわかんないしな」

「ふへっ、頭空っぽなのは今だけ?」

「あはは、玲奈さんって結構言うんですね」

「そうかな?でも翔太にだけね」


夜は更けていく。

辛い思いは十分にした。

無理はしているが、それでも明るく振る舞う。

そうしているうちに本当に楽しくなって来る事を信じて。

こんな日もあってもいいだろう。

今まで以上の苦難が待ち構えているであろうこの先も、なんとしても生き残る。

楽しい時間をたくさん作ろう。辛い事があっても、その先には幸せが待っていると信じて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ