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魔装機マナリリアン  作者: ロア
   WORLD of END 8章
77/120

8章 波乱の戦い 65話-宿命のライバル対決

〈65-1 マナブと謎の魔装機〉


 暗い....眠っているのかしら....


 私は

 レインオラクルの小さな村からやって来た

 謎の少女と謎の魔装機と戦っていた、

 そこまでは覚えている....


 私は....アレスリージョンを使い

 時間を止め勝負を一瞬で決めようとした....

 でも....私がアレスリージョンを使っても

 時間は止まらず、気付いたら私は....


 そう....私の時間が止められたのね....

 私の力を使われたって事なのかしら....


 ベシュトレーベン....あの魔装機は一体....



▶︎治療室


 キサラギは目を覚ますと

 治療室のベッドの上にいた


 近くにいたロニーが

 目を覚ましたキサラギの名を呼んだ


 キサラギは自分に付けられた

 呼吸器を取り外し、

 体を起き上がらせロニーに聞いた



キサラギ

『大会はどうなったの?』


ロニー

『会場が壊れて

 次の試合は後日に持ち越すことに成ったよ』


キサラギ

『そう....』



 キサラギは俯いた、

 彼女が何を考えているのか

 ロニーには全て分からなかったが

 コレだけは分かっていた



ロニー

『マナブとベシュトレーベンって魔装機、

 凄い力を持っていたね』


キサラギ

『試合開始と同時に、私はアレスリージョンを使った

 でも、時間を止められたのは

 私とジャンヌダルクの方だった』


ロニー

『どう言う事だい?、意味が理解できないよ』


キサラギ

『私も分からないの...こんな事初めてだったから』



 まさかと思い、ロニーは考えた

 あのベシュトレーベンって魔装機も

 ジャンヌダルクと同じく

 時間を止める力を使えるのではないかと?


 キサラギはそれを否定する

 ベシュトレーベンには時間を止める力は無いと



ロニー

『じゃあ何故?』


キサラギ

『まだ答えは出てないわ』



 キサラギは立ち上がる、

 病室から出ようとするキサラギに

 ロニーはまだ動かず身体を休めるように言う



キサラギ

『もう大丈夫よ、それより行きたいところがあるから

 後の事はロニーが頑張ってちょうだい』



▶︎クラブの家


 ロイヤルフラッシュのメンバーは

 ローズストーン国にあるクラブの家で

 ハートが頑張ってリオンと奮闘した

 今日の試合での事で話しが盛り上がっていた



エース

『凄かったぞハート』


ダイヤ

『後少しで勝てそうだった』


ハート

『私は負けちゃったけど

 まだ隊長が残ってるからね!!』


エース

『明日はジョーカーの試合か、頑張れよ』



 エースはジョーカーにそう言うが

 ジョーカーは上の空だった


 心配する仲間達

 エースは、「あの魔装機の事か?」っと聴いてみた


 あの魔装機...

 マナブのベシュトレーベン


 ベシュトレーベンはどうやったのかは不明だが

 一瞬であの

 ローズストーン国最強の機士の乗る

 ジャンヌダルクを倒した


 恐ろしく強いダークホースの登場に

 ロイヤルフラッシュのメンバー達も

 少し不安になっていた



ジョーカー

『戦うとしても

 決勝で当たるかも知れないってだけだ、

 英雄の3人がまだ居るし、

 ダンとの試合だって勝てるのか分からない』


エース

『何言ってる!!ジョーカーなら勝てる!!』


ハート

『そうだよ!!私達は全力で応援してるよ!!』


ダイヤ

『・・・でも、実際ダンは強い..

 マナが高ければ

 あのキサラギも超える機士になってたと思う...』



 エースとハートは黙った


 仲間の皆が待っている自分の家に

 クラブが屋台の食事を沢山手に持ち帰って来た



クラブ

『何を買うか迷いました、

 アレ?どうしたんですか皆さん?』



 楽しく飲み明かそうと思っていたクラブが

 皆の顔を見ると、

 ロイヤルフラッシュの仲間達は皆

 何だか少し元気が無い様子だった


 屋台で買った食べ物を

 ハートは喜び、皆に配った

 さっきまでの悪い空気を無かった事にするために



ジョーカー

『クラブ、サンティエルジョーカーの準備は?』


クラブ

『今から最後の仕上げをヤリに行きます

 皆さんは自由にこの家を使ってください』


ジョーカー

『私も手伝うよ』


クラブ

『ジョーカーさんはゆっくりしててください』



 クラブの優しさが嬉しかったのか

 この場所の居心地が良かったのか

 ジョーカーは少し微笑んだ



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-2最強の機士として〉


▶︎人気の料理店


 ミムジィを預かっていたアケミ達は

 ネル、リオン、アランと合流して

 人気の料理店に来ていた


 美味しそうな料理が次々運ばれ

 ミムジィとナナミは目を輝かせた



ネル

『明日は俺とアランの試合だからな、

 少し早めの勝利祝いって事で食べてくれ!!』


リオン

『勝利祝いって...誰のですか?』


ネル

『もちろん俺のだ!!

 俺が勝つに決まってるだろ!!』


アラン

『勝負をする前から勝つ気でいるのは別に良いが

 それが口先だけでは無いとしっかりと証明しろよ、

 お前は肝心なところでヘマをするからな』


ネル

『いつ俺がそんな事したよ』



 アランの小言に

 ネルは少し不機嫌になった


 確かに、アランは楽に勝てる相手では無い

 1度は負けた相手だ

 本調子じゃ無いマナリリアンで

 アランのガンドリアとどこまでやり合えるのか


 口では強がっているが

 ネルの本心は

 負けるかも知れないと思っていたのだ


 ミムジィはお口を汚しながら食事を食べ

 ナナミはミムジィの口をハンカチで拭いてあげた



 アケミは気になった事をネル達に聞いてみた、

 あのマナブと言う少女は

 何者なのか、ネル達の知り合いなのかと


 ネル達は、マナブの試合を思い出し

 真剣な表情で答え始めた



ネル

『分からない、でも

 あのキサラギを倒すなんて只者じゃ無い』


リオン

『キサラギさんの命に

 別状は無かったから良かったですけど』


アラン

『謎の女と謎の魔装機って事しか分からないな』



 不安そうな顔の3人に

 ミムジィは不安になり言った


 リオン兄ちゃんが負けたらやだよと


 リオンは優しくミムジィの頭を撫で

「戦ってみないと分かりませんね」っと答えた


 ミムジィはアランにも言う

 アランも負けないで!!っと力強く



ネル

『アランと戦うのは俺だからな、

 もしかするとアランが負けるかも知れないぞ?』


ミムジィ

『ヤダ!!アラン兄ちゃんは負けない!!』


ナナミ

『そうですよ、

 戦ってみないと分からないじゃ無いですか』


アケミ

『子供相手になにムキになってんのよ』



 ネルの味方は誰1人としておらず

 アレ?っとした顔でネルは困っていた


 夜も遅くなるからと

 アランはミムジィに帰るように言うと

 ナナミが「ミムジィさんをお家に連れて帰ります」

 っと率先して言った



▶︎魔装機倉庫


 ソーブレイドの点検を1人でしていたリース


 ダンはリースに

 そろそろソーブレイドの点検を辞めて

 明日にしたらどうだ?っと聞いた



リース

『後少しだけッス、そしたら辞めるッス』



 5分前も同じ台詞を言っていたと

 ダンはヤレヤレとさせていた


 魔装機倉庫にダイヤモンド隊の隊長

 キサラギがやって来て

 ダンを探していたのか、ダンを見て言った



キサラギ

『ダン、君に用がある 付いて来てくれ』



 ダンは二つ返事で

 キサラギに付いて行った


 キサラギとダンがやって来たのは

 夜の魔装機訓練場だった、

 キサラギは

 ダンに訓練用のソーダストに乗れと命令した


 何が何だか分からず

 言われた通りダンは訓練用のソーダストに乗った


 キサラギも同じ訓練用のソーダストに乗り

 広場の真ん中まで来いとダンに言い

 2機の訓練機は広場に行く



キサラギ

『ダン、私と勝負しろ』


ダン

『え!!』



 キサラギは淡々と試合のルールを説明した

 武器は剣のみ、

 相手を先に剣で一撃与えた方の勝ち


 ダンは困った様子で言う



ダン

『キサラギ隊長大丈夫なんですか!?

 体は平気なのですか?少しは休んだ方が』


キサラギ

『説明は以上だ...、行くぞ!!』



 そう言うと、

 キサラギの乗った訓練機のソーダストは

 ダンに襲い掛かった


 突然の出来事に、ダンは驚いたが

 剣の攻撃をしっかりと見切り

 剣で防いでいた



ダン

『ちょっと待ってくださいキサラギ隊長!?』


キサラギ

『待たぬ!!、私には確かめる義務が有る』



 キサラギの訓練機のソーダストは

 ダンの乗る訓練機のソーダストに

 剣での攻撃を繰り返す


 何故キサラギが、自分を呼び出して

 このような戦いをするのか、

 ダンには何も分からなかった


 話し合おうにも、キサラギは聞く耳を持たない

 仕方ないとダンは思い

 キサラギと魔装機での戦いをする事にした


 防戦一方だったダンの乗る訓練機のソーダストも

 次第に攻撃を繰り出し

 キサラギが押され始めてきた


 戦いを通じて、キサラギは感じた

 最強の機士と呼ばれる私だが、

 それはマナの量とジャンヌダルクの力があってこそ

 魔装機の操縦技術と戦いのセンスは

 私はまだまだ未熟だった、いや

 ダンの方が遥かに上だと感じた



 気がつくと

 キサラギの訓練用ソーダストは剣を失い

 ダンの訓練用ソーダストに剣を向けられていた


 負けた、私が...


 キサラギは確信した、

 もしダンに、高いマナと強い魔装機が有れば

 私は超えられていたのだと



キサラギ

『時間を取らせて済まなかった』



 キサラギはダンに謝り

 最後に、明日の試合を頑張れ と、だけ言い

 何処かに行ってしまった


 何が何だか分からなかったダンは

 1人訓練場に取り残された



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-3 謎の女性の目的〉


▶︎魔装機訓練場


 夜の訓練場から物音がすると

 ジョーカーの魔装機を点検しに来たクラブは

 訓練場を覗くと

 キサラギとダンが訓練機に乗り

 試合をしている姿を目にしてしまった


 最強の機士と呼ばれるキサラギに

 互角....それ以上の戦いをするダンに

 クラブは驚いていた



リース

『凄いッスよね、キサラギ隊長もダンさんも』


クラブ

『リース!?....えぇ、凄いですよ』



 いつのまにか後ろに立っていたリースに

 少し驚いたクラブ


 クラブは正直思っていた

 明日ジョーカーが戦う相手は

 この国最強の機士を超えるかも知れない相手だ、

 そんな相手とジョーカーは戦う


 普通ならば

 嫌な相手だとか仲間の負ける可能性が高まり

 怯えたりするのだろうが、

 クラブは違った



クラブ

『相手にとって不足なしですよ、

 リースが作った次世代機の量産機に

 最強の機士を超える魔装機乗り、

 自分が作った魔装機と

 ジョーカーさんはそれを倒して見せます!!』


リース

『楽しみッス』



 リースとクラブ

 2人の整備士は熱い炎を目に灯していた




▶︎ローズストーン国 中央通り


 警備の仕事を終えた

 トパーズ隊の副隊長リニアと

 ダイヤモンド隊の副隊長タナミア


 2人は夜の出店で食事を買い

 明日の仕事に備え、身体を休めていた


 ローズストーン国周辺の警備で

 外に出ていた彼女達も

 魔装機大会の話しは耳にしていた


 最強の機士、キサラギが敗れ

 名も知らぬ女性がキサラギを倒したのだと



タナミア

『明日はダンの試合だな』


リニア

『あの人なら大丈夫でしょう、

 それより私は疲れました、少し早めに就寝します』



 食べてすぐ寝ると太るぞ、っとタナミアは言うと

 肉が増えた方が私は良いのです、

 そうリニアは言い返し

 トパーズ隊の寮に帰って行った


 タナミアも、自分の部屋に帰ろうかと思ったら

 近くの屋台から

 何やら騒がしい声が聞こえてきた



屋台の叔父さん

『凄かったよ君!!、

 まさか最強の機士さんを倒すなんてね!!』


マナブ

『離してください...』



 女性の腕を掴む屋台の店主に

 嫌がっている素振りを見せる女性


 女性が腕を振り払うと

 近くに置かれていた商品が地面に落ちた、

 さっきまでご機嫌だった店主は

 豹変して女性に激怒した



屋台の叔父さん

『内の商品に何をするんだ!!

 コレだからレインオラクルの人間は!!』


マナブ

『ごめんなさい、私...そんなつもりは...』



「なんの騒ぎだ!!」っとタナミアは声を出し

 店主から事情を聴いた


 店主は怒りながら事情を話し、

 タナミアは分かったと返事をして

 ダメになった商品を弁償する為に

 多めの金貨を出し、店主を黙らせた



タナミア

『コレで文句は無いな?』


屋台の叔父さん

『へへ、ごめんなさいね

 機士の人に迷惑かけてしまって』



 儲かったと思ったのか、

 店主はソレを顔に出しニヤニヤと笑っていた


 マナブは、

 駆けつけてきたタナミアが機士だと分かると

 凄く嫌そうな顔になった



マナブ

『・・・・助けていただき、ありがとうございます』



 お礼だけ言って

 その場を去ろうとするマナブ


 マナブのお腹はタナミアの耳に聞こえるぐらい

 大きな音を鳴らし、マナブは顔を赤らめた



タナミア

『お腹を空かせているのか?』


マナブ

『・・・・・』



 タナミア、

 帰って食べようかと思っていた屋台の食事を

 マナブに差し出した


 他人に

 ここまでしてもらって凄く情けなくなり

 マナブは顔を曇らせていた


 下ばかり向き顔を曇らせるマナブを見て

 タナミアは、前までの自分と重ねてしまった


 クルセニア家の人間として

 ビダールに自分の役目を押し付けようとして

 結果的に彼女を殺してしまい

 モネやユナハの事も助けられなかった自分、

 そんな自分の影を、マナブと重ねていた


 タナミアは少女に聞いた、

 良ければ話しを聞かせて欲しいと


 マナブは言った、

 どうして貴方みたいな優しい人が

 ローズストーン国の機士なのだと、

 どうしてお爺ちゃんは

 この国に良いように使われてたのだと


 マナブは、見ず知らずのタナミアに

 全て話した


 そして

 聞かされたマナブの真実に

 タナミアは驚かされていた



マナブ

『私は私のやり方で、この国の機士に復讐します!!

 ソレが間違っていたとしても!!』


タナミア

『君は....!!』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-4 第3試合:先手〉


▶︎コロシアム


 翌朝

 コロシアムの会場には、

 昨日よりも多くの観客で賑わっていた


 リオンとハートの激戦に

 ローズストーン国最強の機士キサラギを倒した

 無名の少女マナブ


 更に今日の試合

 ダンとジョーカーの試合に

 ネルとアラン、英雄同士の試合もある、

 観客の期待値は昨日よりも上がっていた


 1試合目で敗退になったハートは

 ロイヤルフラッシュの仲間の皆と一緒に

 客席でジョーカーの応援をしていた



ハート

『隊長大丈夫かな?』


クラブ

『大丈夫です、

 私達のジョーカーさんは負けませんよ』



 ミムジィの面倒を観ながら

 アケミもナナミも客席に座っていた



ミムジィ

『アランまだかな〜』


ナナミ

『ミムジィさん元気ですね』



 嬉しそうに笑うミムジィに

 いつもニコニコしているナナミ

 そんな2人を見るだけで

 アケミの顔は和やかになっていた



 コロシアムの真ん中に

 司会進行役のロニーと、

 ダンの乗る魔装機

 ソーブレイドと、

 ジョーカーの乗る魔装機

 サンティエルジョーカーがやってきた


 ロニーは会場の客に軽く挨拶をすると

 第3試合を開始しようと

 ダンとジョーカーに準備は良いか聞く


 2人は力強く返事をして

 ロニーは後ろに下がり

 試合開始の宣言をした


 第3試合

 ダンのソーブレイド

      対

 ジョーカーのサンティエルジョーカー

                  試合開始!!



 開始の合図と同時に

 ジョーカーの魔装機、

 サンティエルジョーカーは

 棒の形をした武器を取り出し

 ソーブレイドに襲い掛かった


 棒の形をした武器は

 一振りすると変形して

 大鎌の形に武器は姿を変えていた


 いきなりの強襲だったが

 ダンのソーブレイドも、

 盾を構えしっかりと攻撃を防いでいた


 開始早々、白熱した戦いに

 観客達は声を上げ喜んでいた



ダン

『まさか、いきなり攻めて来るなんて...』



 そう思っているのも束の間

 サンティエルジョーカーは

 反撃されまいと、攻撃を畳み掛けてきた


 もう一撃鎌を振り

 それを盾で防ぐと、向きや方角を変え

 すかさず攻撃を繰り出す


 後ろに下がり距離を取るが

 鎌を振る回転の力を最大限に活かし

 魔装機を回転させ鎌の攻撃に威力を追加させた



観客A

『攻撃を繰り出す鎌使いの魔装機も凄いが、

 ソレを防ぎ続ける向こうの魔装機も凄いぞ!!』


観客B

『なんだか分からないけど、どっちも頑張れー』



 右から攻撃や左の攻撃に

 しっかりと対処するソーブレイド、

 ジョーカーは、そんなソーブレイドを見て

 流石だダン、っと感心していた


 ソーブレイドは盾をサンティエルジョーカーに向け

 盾の後ろに隠されていた銃口から魔弾を放った


 しかし、ジョーカーは

 ソーブレイドの手口を理解していたのか

 魔弾が放たれると同時に

 ブラステッドライフルを取り出し

 魔力レーザー、魔光線を放ち

 ソーブレイドの盾ごと吹き飛ばした



ダン

『嘘だろ!?』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-5 第3試合:劣勢〉


ダン

『嘘だろ!?』



 盾の後ろに隠されていた

 仕込み銃で魔弾を放とうとした瞬間、

 サンティエルジョーカーは

 ブラステッドライフルを瞬時に構え

 高威力の魔光線を放ってきた


 ソーブレイドの盾は弾き飛ばされ

 ダンはソーブレイドを動かし

 盾を拾おうと動いたが、

 サンティエルジョーカーはソレを阻止して

 アローライトの大鎌を振るい

 ソーブレイドに攻撃する


 その光景を見ていた観客達は思った

 盾を失い剣だけでは勝てないだろうと


 試合を見ていたキサラギとロニーは

 サンティエルジョーカーの強さにも驚かされたが

 耐え続けるダンのソーブレイドにも驚いていた


 ジョーカーの応援をしていた

 エースは何かに気がつく



エース

『おい、ジョーカーの動きが鈍くなってないか!?』


クラブ

『ジョーカーさんなら

 マナ切れの心配は無いと思いますけど、

 確かにさっきよりは動きにキレが無い気が?』


ハート

『え!?、どうしたの隊長!!』



 サンティエルジョーカーの猛攻が続き

 ダンのソーブレイドは

 誰の目が見ても不利な状況だと分かる


 だが!!、何故かジョーカーの乗る

 サンティエルジョーカーの動きは

 少しではあるが遅く、ゆっくりとなっていた



ジョーカー

『流石だダン、攻撃を防ぎ回避しながら

 確実にサンティエルジョーカーの隙を見つけ

 反撃のチャンスを窺っているな。

 この魔装機の起動力と性能が無ければ

 私は既に負けていただろうな』



 ジョーカーの心の中では

 私はこの魔装機に生かされているに過ぎない

 そう感じていた


 動きを鈍く見せているのは

 相手にコチラの全てを見せない為、

 無論、そんな事はダンも気付いている



ダン

『反撃を見せた瞬間に向こうは何かするつもりだ、

 動いても負ける

 このまま守りを固めていても負ける、

 それなら取るべき行動は....』



 ソーブレイドは剣を構え

 サンティエルジョーカーに反撃する素振りを見せた


 会場がザワつく、

 防戦一方だったソーブレイドが反撃する

 コレで勝敗は決まるかも知れないと


 ロイヤルフラッシュの皆も

 ローズストーン国の機士も

 戦いに関しては素人のアケミにも分かっていた、

 アレはブラフ

 剣での攻撃は目で分かりやすい動きで

 その攻撃とは別の何かを仕込んでいると


 サンティエルジョーカーは

 ソーブレイドの剣を叩き落とそうと攻撃する



ダン

『来たか!!』


ジョーカー

『無論知っている!!、その次の手も!!』



 サンティエルジョーカーは剣を叩き落とすと

 ソーブレイドは素手で

 サンティエルジョーカーの大鎌を奪いに掛かった


 次の行動も分かっていたジョーカーは

 ソーブレイドから距離を取り 離れた



ハート

『危なかったね!!』


ダイヤ

『コレでダンの野郎は武器を全て失った!!』



 距離を取り 次の攻撃で勝てる

 そう皆は考えていた


 だが


 その瞬間だった、

 ソーブレイドの肩から閃光弾が放たれ

 辺り一面は光に包まれた



ジョーカー

『くっ、目眩しか......』



 時間にして数秒の出来事だったが

 ジョーカーは気がついた、

 ソーブレイドは武器を拾い直すつもりだと、

 また耐久戦に入れば

 自分のマナが枯れ

 向こうが有利になる可能性も有ると


 サンティエルジョーカーは

 ソーブレイドの落とした剣と盾を見た


 しかし、剣と盾はその場に落ちていた、

 ソーブレイドは

 武器を拾いに閃光弾を放ったのでは無かった


 ジョーカーは不思議に思った

 何故武器を回収しに動かなかったのだと

 その油断を突き

 ソーブレイドは素手の格闘戦で

 サンティエルジョーカーに攻撃した


 一瞬の油断をしていたジョーカーは反撃に出遅れ

 サンティエルジョーカーは地面に倒れた


 倒れたサンティエルジョーカーに

 正拳突きをするソーブレイド、

 サンティエルジョーカーは

 ブラステッドライフルを使い

 ソーブレイドに魔光線を撃つが、簡単に避けられ

 ブラステッドライフルに蹴りを入れられ

 ライフルは少し遠くに吹き飛んでしまった


 ジョーカーは直ぐに

 サンティエルジョーカーの態勢を立て直し

 ブラステッドライフルを拾った



ジョーカー

『油断したよ、

 まさかこんな無謀な行動を取ってくるとはね』


ダン

『だけど、君は武器を1つ失った訳だ』



 失った?、何を言ってる

 そうジョーカーは思っていた


 だが、ダンの言った通りだった


 気がつくと

 サンティエルジョーカーの右手に持っていたハズの

 アローライトの大鎌は、

 ソーブレイドの手に握られていた


 あの時の攻撃で

 ブラステッドライフルに蹴りを入れたと同時に

 ダンはサンティエルジョーカーの

 アローライトの大鎌を奪っていたのだった


 さっきまで

 劣勢に見えたダンのソーブレイドだが、

 状況は逆転されていた


 激しく鬩ぎ合う2人に

 観客達の声援は 天高く響いていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-6 第3試合:秘策〉


 奪われたアローライトの大鎌

 サンティエルジョーカーの足元には

 さっきまでソーブレイドが使っていた剣が...


 サンティエルジョーカーは剣を拾い

 ブラステッドライフルを腰に仕舞った



▶︎コロシアム ネル視点


 白熱するダンとジョーカーの第3試合、

 俺はリオンとアラン達と

 応援室で2人の戦いを見ていた


 武器を奪ったり奪われたりする戦いは

 昔、レイナと試合した時の事を思い出すな


 だがどうしてジョーカーは

 ブラステッドライフルを仕舞い

 剣だけで戦おうとしてるんだ?


 俺の疑問に、アランが答えを出してくれた



アラン

『魔弾より高威力のレーザーは

 マナの消費が大きく何発も撃てないんだろう』


リオン

『アランさんのガンドリアも

 光線の攻撃を使うから分かるんですか?』


アラン

『俺の魔力は消耗しないが

 使い過ぎてオーバーヒートを起こす時はある』



 ふーん、そうなんだ

 って事は、ガンドリアの対策を1つ知れた訳だな


 俺はニシシと笑っていると

 アランは冷めた瞳で俺を見つめていた



▶︎コロシアム


 ダンのソーブレイドは

 奪ったアローライトの大鎌を使いこなし

 ジョーカーの

 サンティエルジョーカーを圧倒していた



ジョーカー

『使い慣れないハズの武器を

 手足の様に扱えるとは....流石はダンだ』



 押され始めるサンティエルジョーカーに

 ロイヤルフラッシュの皆は冷や汗を流していた



ハート

『隊長が負けちゃうよ!!』


エース

『粘れジョーカー!!』



 会場の空気も

 ダンの声援の方が勝り

 ジョーカーが負けると、皆思い始めてきた

「さっきまで劣勢だったのに、

 今度は向こうの姉ちゃんの方が勝ちそうだぜ!」

「頑張れダン副隊長〜」


 ダイヤは悔しくて涙を流した

 あんなクソ野郎に

 隊長のジョーカーが負ける姿を想像して


 ジョーカーが負ける、あの女は

 また自分の本名を皆の前で大声で叫ぶに違いない

 そうなんだと思いながら



ダイヤ

『ダンなんかに負けて欲しくない』


クラブ

『・・・・・いや、

 勝てますよ・・・ジョーカーさんは』



 クラブの言葉に

 ロイヤルフラッシュの皆は「え!?」っと

 びっくりした表情でクラブの顔を見た


 何か秘策が有るのか?っとエースは

 勿体ぶらず教えて欲しいと声を張る


 クラブは真っ直ぐと

 サンティエルジョーカーを観ながら

 不安な表情で話し始める



クラブ

『サンティエルジョーカーには

 あのマナリリアンをも超える力を、

 瞬間的にではありますが 引き出す事が出来ます』


エース

『どう言う事だ?』


クラブ

『理屈やシステムについては省略しますが

 その力はとても危険で

 人間のマナを大きく吸い上げ

 長時間の使用は命の危機すらあるんです』


ダイヤ

『それを使えばジョーカーは勝てるのか!?』


ハート

『でも....危ない技なんでしょ?

 どれくらいの時間

 その技を使えるのクラブちゃん?』



 クラブは口を開け「5秒」っと答えた


 短過ぎる時間に、皆の目は変わった、

 正確的に言えば、5秒以上は

 試した事が無いとクラブは教えた


 5秒の実験で

 ジョーカーは一度死にかけた事もあるらしい



ハート

『そんな...そんな少ない時間で勝つなんて...』


エース

『・・・・だが、マナリリアンと

 同じぐらい強くなれるのなら....或いは....』



 皆は心配した表情で

 サンティエルジョーカーを見守っていた


 クラブは願った

 5秒以上は、どうかあの技を使用しないで欲しいと



 サンティエルジョーカーは剣を構え

 ソーブレイドの攻撃を防ぎ続けていたが、

 距離を取ると 剣を投げ捨て

 ダンに回線を繋げ

 ジョーカーはダンの事を褒めた



ジョーカー

『昔と変わらず凄い強さだよダンは、

 左目を失ったとは思えない実力だよ』


ダン

『この失った左目に

 友のゼルとバインの魂が宿っているからね、

 ハンデどころか、強化なのだよ』


ジョーカー

『心の強さも私以上だよ....』


ダン

『武器を捨てて 降参するのかい?』


ジョーカー

『まさか、負ける時は全力を尽くして負けるよ』



 普通の機士ならば

 そんな台詞はハッタリかブラフかと

 色々考えるのだろうが


 ダンは違う、

 ジョーカーの、

 ポオカの言葉に嘘偽りは無いと思っていた


 ポオカは何かを仕掛けてくる

 ダンはソーブレイドを、守りの構えにした




ジョーカー

『数秒しか私の身体が持たないのでね、

 一瞬でケリを付けさせてもらうよ!!』



 この技は

 マナリリアンやガンドリア

 リオンのドラグーンの時に

 取っておきたかった秘策だったと思っていた


 ジョーカーは

 サンティエルジョーカーの秘策

 高出力モードを起動した



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-7 第3試合:数秒〉


 サンティエルジョーカーは

 高出力モードを起動すると

 サンティエルジョーカーの周りからは

 赤黒いオーラが吹き出ていた


 会場にいた観客からも

 モニター越しに観ていたネル達にも

 そのオーラは目に見えていた



ネル

『なんだアレ!?』


アケミ

『なに...この危険な感じ...』


観客

『おい....大丈夫なのかアレ?』


リース

『なんッスか、コレ?』


クラブ

(お願い、ジョーカーさんに力を)



 ダンは、危険なオーラを見て

 少しだけ震えていた


 その一瞬だった、

 サンティエルジョーカーは消え

 ソーブレイドの左前方から現れた



ダン

『速い!?』



 直ぐに左を向き ガードの構えを見せると

 サンティエルジョーカーはまた姿を消し

 直ぐ後ろに現れていた



ダン

『なんだと!?』


ジョーカー

『終わりだ、ダン!!』



 サンティエルジョーカーの拳は

 ソーブレイドの動力炉を貫いていた


 その光景を目の当たりにした皆は

 声を出せず、ただ 2機の魔装機を観ていた

 何が起きたのかも

 どう言う状況かも直ぐには理解できなかった


 勝った、そうジョーカーは心の中で思っていると

 ソーブレイドはアローライトの大鎌を振り

 サンティエルジョーカーに攻撃した


 咄嗟の判断だったが

 サンティエルジョーカーは

 攻撃を回避する事ができた、だが

 どうして動力炉を破壊したのに

 ソーブレイドは動けているのだと

 ジョーカーは直ぐには理解する事が出来ずにいた



ジョーカー

『どうして....』


ダン

『どうやら、

 なんとか致命傷は避けられた見たいだね』



 ソーブレイドの動力炉を攻撃される数秒

 ダンは人並外れた操縦技術で

 動力炉の攻撃を外させていた


 こんな事は

 ネル達やキサラギでも不可能だ、

 ダンの才能と、並外れた

 魔装機への操縦テクニックがそうさせる事が出来た


 間違い無く彼女は

 マナや魔装機の戦力差が無ければ

 最強の魔装機乗りだった


 ジョーカーの魂は怯えていた

 彼女の底知れぬ強さに


 高出力モードを使った反動で

 ジョーカーの口から血が吹き出した



ジョーカー

『グフ......こんな時に....』


ダン

『勝負は終わっていない

 半壊したこの魔装機で、君に勝って見せるよ』



 ダンのソーブレイドが

 アローライトの大鎌を持ち近づいてくる


 逃げるか避けるかしないと

 このままでは負けてしまう


 ジョーカーの体力は限界に近かった

 魔装機を動かすのも やっとだった



ジョーカー

『・・・・負けたく無いよ

 こんなところでは・・・・・・』



 サンティエルジョーカーは

 2度目の高出力モードを起動した


 ソレを見たクラブは叫ぶ

「辞めてくださいジョーカーさん!!」

 仲間の皆も叫んでいた


 赤黒いオーラが吹き出て

 またあの攻撃が来るとダンは身構えた



ダン

『また来るのか!?』


ジョーカー

『・・・・・』



 サンティエルジョーカーはまた姿を消した

 いや、消えたのでは無い

 音速で移動して、目に捉えられないだけだ


 ダンは周囲を警戒していた

 だが


 サンティエルジョーカーは

 アローライトの大鎌を取り返し

 ソーブレイドを真っ二つに切り裂いていた


 ロニーは勝者の名を言った

 ジョーカーの名を


 観客達はジョーカーの声援を送った

「凄い戦いだったぞ!!」

「あんな戦い方ができるなんて!」


 ダンは魔装機から降り

 ジョーカーに拍手していた


 だが、サンティエルジョーカーは

 ソーブレイドに攻撃した後から

 一歩も動かなかった


 様子が変だと皆は思った、

 ダンもロニーも

 その事が気掛かりだった


 ジョーカーの仲間達

 ロイヤルフラッシュの皆は涙を流していた

 もしかすると

 ジョーカーは力を使い過ぎて

 死んだのではと思っていたから



ダン

『何故彼女は魔装機から降りて来ない?』


ロニー

『医療班、直ぐにタンカーを運んできてくれ!!』



 皆の心配する声が

 サンティエルジョーカーの

 コックピットには聴こえていた


 ジョーカーは上を向き 目を閉じていた


 観客達の声の中に

 クラブ ダイヤ エース ハート

 仲間達の声が聞こえてくる、

 こんな場所で寝ている場合ではない


 ジョーカーはゆっくりと目を開け

 空気を吸い込むと

 口の中から大量の血を吐き出した



ジョーカー

『ハァ....ハァ....勝ったのか?』



 ジョーカーが魔装機から降りると

 観客達から激励の言葉が耳の中に鳴り響いた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-8 市の淵〉


▶︎病室


 試合が終わった後

 ジョーカーは病室に運ばれていた


 仲間の皆は

 ジョーカーの病室に入り

 ジョーカーの心配をしていた



ハート

『本当に心配したんだよ隊長!!』


クラブ

『生きてて良かったです』


エース

『仲間の私達の事も考えてくれ....』



 ジョーカーは白いベッドの上で

 皆に頭を下げ謝っていた


 病室に、ロニーとキサラギが入ってきた


 どうして隊長の2人がこの場所に?

 そう皆は思っていた


 キサラギは

 ジョーカーの顔を見て後 ロニーの目を見た



ロニー

『君は試合に勝ち

 次の準決勝に出る権利を獲得した。

 だが、あんな身を滅ぼす危険な魔装機で

 このまま試合に出場させる訳にはいかない』


ダイヤ

『そんな!!』


キサラギ

『貴方の事を思っての事よ分かってくれるわね?』



 エース達は下を向いた

 確かにこの人達の言う通りだ

 次の試合に出れても

 またあんな危険な目にジョーカーを遭わす訳には

 そう仲間の皆は思っていた


 残念だが、

 大会を辞退しようとエースが言おうとした時

 ジョーカーは立ち上がり

 キサラギとロニーに言った



ジョーカー

『その事ですが、もう心配無いと思います』


キサラギ

『どう言う事かしら?』


ジョーカー

『もう1度

 私をサンティエルジョーカーに乗せてください』




▶︎魔装機倉庫


 ジョーカーはサンティエルジョーカーに乗り

 また危険な高出力モードを起動した


 ソレを見た仲間達は驚き

 直ぐに辞めるようジョーカーに言う


 しかし

 20秒 30秒が経過しても

 高出力モードは起動出来たままだった


 40秒後、ジョーカーは魔装機から降り

 自分が平気だと言う証拠を 手を広げ皆に見せた



クラブ

『そんな!!、

 5秒しか体が耐えられなかったのに?』


キサラギ

『死の淵を見て、限界を越えたのね』


ロニー

『だけど....』



 ロニーは、ソレでもと

 ジョーカーに辞退するように言うが

 自分は大丈夫です

 そうジョーカーはロニーに話した



ロニー

『・・分かったよ、でも

 今度危険な状態になったら

 嫌でも辞退してもらうよ』


ジョーカー

『分かりました、ロニー隊長』



 ロニーとキサラギは

 ジョーカー達をその場に残し、

 コロシアムに戻って行った


 ジョーカーの仲間達は

 凄い!!っとジョーカーに言ったが


 ジョーカーは気付かず鼻から血を流していた



エース

『おいジョーカー!?』


ジョーカー

『あ!、まさか身体に多少は負担がある見たいだね』


ハート

『あんまり無茶しちゃダメだよ隊長』


クラブ

『もう少し様子を見た方が良さそうですね』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈65-9 第4試合:主役の登場〉


 少しアクシデントはあったが

 ダンとジョーカーの試合が無事終わり

 次は俺とアランの試合だ!!


 俺はマナリリアンに乗り

 アランはガンドリアに乗る、

 俺達はコロシアムの真ん中に立っていた


 アランと戦うのはコレで3回目だ、

 初めてアランと戦ったのは

 謎の漆黒の魔装機が

 ディナガード国に突如現れた時に...、

 次に戦ったのが

 ローズストーン国に現れたアランが

 俺とマナリリアンに1対1の決闘を挑んで来た時だ


 初めて戦った時は

 圧倒的な力でアランのガンドリアを

 ディナガードから追い出す事が出来たが

 次に戦った時は

 俺とマナリリアンの全力を出しても

 アランのガンドリアには勝つ事が出来ず

 敗北してしまった、

 今思うと

 初めて魔装機での戦いに負けたのがあの時だったな


 アランとは

 1勝1敗の引き分けの状態だった、

 宿敵と書いて

 ライバルと呼ぶ人物が居るのだとすれば

 間違い無くアランとガンドリアだろうな


 引き分けのままなんて

 男として、どちらが強いのか

 ハッキリとさせときたい


 アランの奴もそう思ってるハズだ!!

 負けないぜ アラン!!



▶︎コロシアム


 コロシアムの真ん中に

 ネルのマナリリアンと

 アランのガンドリアが現れた


 英雄達の試合に

 観客達は大いに盛り上がりを見せた


 アランの事を応援するミムジィ

 ナナミも2人の応援をした


 興味無さそうに観ていたアケミも

 心の中でネルの応援をしていた



アケミ

(頑張りなさいよ...ネル)


ミムジィ

『アケミお姉さんもアランの応援して!!』


アケミ

『わかったわかった、頑張れアラーン』


ナナミ

『ネルさんもアランさんも頑張ってください』



 ロイヤルフラッシュの皆も

 ローズストーン国の機士達も2人の試合を

 真剣な顔付きで見守っていた


 応援室のモニターで

 試合を観ていたマナブも

 2人の試合を無言で観ていた



リオン

『マナブさんも来てたんですね』


マナブ

『世界を救った英雄の力、

 この目で確かめたいです』



 ロニーがマナリリアンとガンドリアの前に立ち

 ネルとアランに準備は良いかと聞いた


 2人は同時に返事をすると

 ロニーは客席に向け言った



 第4試合

 ネルのマナリリアン

     対

 アランのガンドリアVX

              試合開始!!


 開始と同時に

 アランのガンドリアは魔力解放を使い

 蒼に輝き凄まじい気迫を放つ



ネル

『最初から全力か....

 ならコッチも答えるぜ!!マナ解放だ!!』



 マナリリアンはマナ解放を使うと

 翠に輝きマナのオーラに包まれた


 2機の魔装機を見て

 観客達の声援は大きく膨れ上がる



ネル

『行くぜアラン!!』


アラン

『次も俺とガンドリアがお前を倒す!!』



 そうネルが叫ぶと

 マナリリアンの輝きは消え

 翠色から元の赤いカラーに戻っていた


 それ以降

 動かなくなったマナリリアンと

 立ちすくむガンドリア


 観客達も機士の皆も

 どうしたのだろうと不安になっていた



観客A

『まさか、第二試合の時と同じで

 もう決着が付いちまったのか?』


観客B

『でも、

 マナリリアンとガンドリアも壊れて無いわよ?

 どう言う事なのかしら?』


ナナミ

『どうしたのでしょうか?』


アケミ

『何やってんのよアイツ..』



 ロニーは、動かなくなったマナリリアンに近づき

 どうしたのだとネルに聞いた



ロニー

『どうしたんだいネル君?』


ネル

『・・・・・止まった』



 え?っと返事を返すロニー


 ネルは震えた口調でロニーに教えた

 マナリリアンが動かなくなってしまったと


                   next▶︎66

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