5章 魔王の力 39話-新たな魔王の誕生
〈39-1 魔神石〉
▶︎レインオラクル国
アランのガンドリアV2は
命からがらレインオラクル国に帰還する事ができた
アランはナンバーズのNo.1の機士
リオンの姉のセリカに殺されたが
フェアリーの命と引き換えに蘇ったのだった
何故自分が
同じレインオラクル国の機士に殺されたのか
その真実を敵のリオンから聞かされた
妹のアイナを戦争の道具として使う上で
兄であるアランの存在が邪魔になったのだと
その事を知り、アランは考えた
そんな事をする奴は、アイツしかいないと!
バンカーに居たオリーブは
ボロボロになったガンドリアを見て驚いた
オリーブ
『どうしたんだアラン!?
ガンドリアがここまでやられているなんて!!
一体誰に!!』
オリーブは必死そうにアランの心配をする
アランはオリーブに聞いた
怒りを感じさせる口調で
アラン
『ドズルは何処にいる!?奴は今何処なんだ!!』
オリーブ
『ドズル大臣なら、
多分地下の第1ブロックに居ると思うけど...』
アランはその事だけを聞いて
何処かに走って行った
オリーブはどうしたんだと思い
ガンドリアV2を見た
▶︎レインオラクル国 地下 第1ブロック
アラン
『おいドルズ!!貴様何処にいる!!』
アランは真っ暗な場所で叫んだ
すると
照明が点き、プルネンが現れ
更にその奥には
超巨大な魔装機が現れた
アランはその巨大な魔装機を見て驚く
アラン
『なんだこの魔装機は!?』
プルネン
『アラン、まさか君がここに来るなんてね?』
アラン
『プルネン!?貴様もドルズの手下か!!』
プルネン
『手下?違いますよ、私とドルズは一心同体の存在
貴方達魔族の家族は、
私達の野望の道具でしか無いのですよ?』
アラン
『なんだと?』
巨大な魔装機の真ん中にある
動力炉の様な宝石の様な石の中から
誰かの声が聞こえて来た
アイナ
『お兄様!!』
アラン
『アイナ!?どう言う事だプルネン!!
何故アイナがあそこに!!』
プルネンは不気味に笑いながら言う
プルネン
『アレは魔神石を巨大化させた物
その中にアイナさんを入れ、
魔神石に溜め込んだ魔力を彼女に注ぎ込む機械です
アイナさんの魔族の体を通して
あの魔装機は起動します
あの魔装機で世界を変える力を見せつけるのです』
アイナ
『助けてお兄様!!』
アラン
『待ってろ!俺が直ぐに行く!』
巨大な魔装機の中からドルズの声が聞こえた
ドルズ
『アラン、貴様も見ていくがいい
この世界の終わりを、そして、始まりをな』
アラン
『ドルズ!!』
ゴゴゴゴゴっと地面が揺れ
巨大な魔装機の床ごと上に上がり始めた
アランはどうする事もなく
それを見ていた
アラン
『クソー、ドルズ!!プルネン!!』
プルネン
『上で待っていますよ、貴方も、そして
今から来るであろう彼らも』
巨大な魔装機の中からは
アイナの助けを呼ぶ悲鳴だけが聞こえて来た
アランは急いでその場を離れ
ガンドリアがあるバンカーに向かった
アランがバンカーに付くと
ガンドリアV2は少し姿を変え
新しく強化され修復されていた
アランが来たのを見てオリーブは言った
オリーブ
『新しく強化したガンドリアVXだよ、
それよりさっきの揺れはなんだい?
とても強い揺れだったけど?』
アラン
『助かるぞオリーブ! 直ぐに出撃する!』
オリーブ
『魔神石の魔力がかなり消耗しているよ!!
どうして魔力が
そこまで減っているのかわからないけど
長期の戦いはできない、
それと魔力解放は使えないから注意してくれ』
オリーブは知らなかった
ガンドリアの魔神石に溜め込んだ魔力は
プルネンが作った巨大魔神石に奪われていた事を
アランは返事をしてガンドリアVXに乗った
妹アイナを助けるため
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〈39-2 魔界の門〉
▶︎レインオラクル国 街の中
アランはガンドリアVXに乗りバンカーから出ると
目の前にドルズとアイナが乗る
巨大な魔装機が街の中央に現れていた
街の人達は混乱し悲鳴を上げる者もいた
ドルズ
『来たかアラン!!
ディナガードとローズストーンの連中は
まだ到着してない様だが、まあいいとするか』
アラン
『ドルズ!!アイナを返せ!!』
ドルズ
『助けたいのなら、助け出してみるがいい』
ドルズは巨大な魔装機を少し操作すると
アイナが閉じ込められている魔神石が輝きだし
アイナは苦痛で悲鳴を上げる
アラン
『アイナ!!』
ドルズ
『さあ開くぞ?魔界の門が、その一部がな』
頭上の空間が歪み、魔界の門が開いた
その門の中から
巨大な竜が現れ、街の人達を襲い始めた
アイナ
『お兄様!!皆さんを助けてあげてください!!』
アラン
『クソ!!』
ドルズ
『ふむ?まだ本調子では無いのか?魔力が足りない』
アランは妹の言葉を受け入れ
その竜と戦う
【サンダードラゴン】
魔界の魔物 危険度不明
サンダードラゴンは
ガンドリアVXに向け稲妻の光線を放つ
アランはソレを回避し
ミサイルや剣での攻撃をする
しかし
サンダードラゴンには余り効果がなく
大したダメージにはならなかった
アラン
『コイツ強い!?』
ドルズ
『流石は魔界の魔物、
素晴らしい力を持っているな』
サンダードラゴンはガンドリアVXに反撃する
全ての攻撃を回避しながら
アランは思った
時間は掛かりそうだが
時間を掛ければ必ず勝てるっと
▶︎レインオラクル国 研究所
研究所で待機していたバリルとプラクトは
何かを待っていた
バリル
『なんか外の様子が騒がしいな?
なんか起こってんのか?』
プラクト
『さぁーね』
バリル
『それよりクロの野郎を見てねーな?
任務を投げ出して
プルネンにお仕置きされてるって聞いたが?』
プラクト
『もしかして、もう始末されてたりして?』
バリル
『まっどーでもいいけどよ、
それより、オドマンの野郎、
まだ準備に時間がかかるのかよ』
プラクト
『さてね、私達は待つしか無いからね』
いつも見たく
余裕そうにしているプラクトを見たバリルは思った
今からディナガードとローズストーンの連中が
攻めて来るってのに
コイツはいつもこんな感じだよな?
不安な事とかコイツには無いのか?っと
オドマンの研究室から
「終わったぞ」っと大声で聞こえて来た
プラクトとバリルは
オドマンの研究室に入ると
そこには
20名のレインオラクルの機士達が
虚ろな目で立っていた
皆 均等に並び
オドマンは「どうじゃ!」っと言ってきた
バリル
『コイツらが全員強化魔女って奴らか?』
オドマン
『ただの強化魔女じゃないぞ!!
命令には全て言う事を聞く、
パーフェクト強化魔女じゃ!!』
バリルはフーンっと思いながら
1人の強化魔女に靴の裏を見せつけ言った
バリル
『俺様の靴をお前の舌で綺麗にしろ!!』
強化魔女は地面に伏せ
バリルの靴の裏をペロペロと舐め始めた
バリルは思った
こりゃすげーなっと
オドマン
『コイツらをビヨンダルに乗せ
奴らディナガードとローズストーンの連中達に
目に物言わせてやるぞ!!』
プラクト
『流石オドマン博士、
とても素晴らしい考えですね』
オドマンはホホホっと笑い
プラクトとバリルは 戦いの準備を始めた
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〈39-3 魔王の名〉
▶︎レインオラクル国 ネルが囚われている研究室
大きな揺れを感じ
ネルはなんなんだと警戒する
しばらくすると
ガラス越しの奥の部屋から
プルネンがやって来た
机に置かれていた紙やら何かやらを取り始めた
ネルはプルネンに聞こえるよう
大声で叫んだ
ネル
『オイ!!今の揺れはなんだ!!
外で何が起きてるんだ!!』
プルネン
『貴方には関係ありませんよ
ですが貴方には感謝しています、
貴方とあのマナリリアンって魔装機のおかげで
私が作った魔装偽が完成したのですから』
ネル
『あ?魔装偽?』
なんだそれはっとネルは思う事しかできず
プルネンは何も言わずに外に出て行った
クソ!こんな所で何も出来ず
手足を拘束され、無駄に暴れる事しかできない
ネルはそんな自分の状況に
苦しむ事しかできなかった
▶︎レインオラクル国 街の広場
アランのガンドリアVXと
魔界から現れたサンダードラゴンは戦っていた
巨大魔装機の魔神石のコアの中で
兄が戦う姿を見守る事しかできないアイナ
その戦う姿を平然と見ていたドルズ
アイナ
『お兄様.....』
ドルズ
『そうだ、いいぞアラン』
サンダードラゴンの口が開いた瞬間
ガンドリアVXは口の中に突っ込み
口の中へと入っていった
アイナは口を押さえ、ショックを受けた
お兄様が食べられた!! そう思っていたら
サンダードラゴンの口から大量の血が吹き出し
中からガンドリアVXが現れた
サンダードラゴンはそのまま地面に倒れると
サンダードラゴンの魔力を
巨大な魔装機が吸い始めた
アラン
『しまった!!ドルズの狙いはコレだったのか!?』
ドルズ
『魔神石の魔力が十分に溜まった!!
ありがとうと感謝させてもらうよアラン!!
コレが私の魔装機の真の姿だ!!魔力解放!!』
ドルズが巨大魔装機の魔力を解放させると
その魔装機は闇のオーラに包まれ
眉のような形になった
数秒でその闇のオーラは剥がれ
中から禍々しく光巨大な魔装機が姿を見せた
アランはコアの魔神石を見ると
妹のアイナが魔神石の中で気を失い宙に浮いていた
アラン
『アイナ!!』
さっきとは比べ物にならないぐらいの
膨大な魔神石の力に、ドルズは驚きながら
アランに言う
ドルズ
『素晴らしい!!コレがこの魔装機の....
ココに新たな魔王が誕生した!!喜べアラン!!
この、【グランバルファルス】を!!』
【グランバルファルス】
ドルズとプルネンが作り上げた巨大魔装機
コアの巨大魔神石の中に
魔族のアイナと大量の魔力を注ぎ
稼働するレインオラクル最強の魔装機
そして、新たな魔王になる魔装機
アラン
『グランバルファルス...』
アランは怯えていた
とてつもない魔力の力を感じ
この魔装機が有れば
この世界は
いや
全ての世界をも破壊する事ができる
そう感じさせる程に
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〈39-4 抗えない闇〉
▶︎レインオラクル国 街の広場
アランは
巨大で禍々しく輝くグランバルファルスを見て
怯えていた
凄まじくヤバそうな
その魔装機に気を取られていると
グランバルファルスの後ろから
見た事もない魔装機が現れた
その魔装機はアランに通信を送ってきた
プルネン
『おやおや、どうしたのですか?
貴方程の機士がそんなに怯えて?』
アラン
『プルネン!?どうしてお前が魔装機に!?
その魔装機はなんだ!!』
アランは混乱する
何故プルネンが魔装機を動かしているんだ?っと
男でウィザードでもない奴が
魔装機を動かせるハズが無い!!
そう思っていたからだ
ヤレヤレとした感じで
プルネンはアランに教えてあげる
プルネン
『全く、声が少し大きいですね?
コレは魔装偽、未来の技術では誰でも魔装機を
操縦できるマシンを作っているのですよ?』
アラン
『なんだと!?』
プルネン
『しかし本来の魔装偽で有れば
魔装機の半分の力も出せません、
しかし
あのマナリリアンの設計と魔神石の力を取り込み
魔装機を超える魔装偽、
【ヴァルグラヴン】が完成させたのですよ』
【ヴァルグラヴン】
マナリリアンの設計をベースに作った魔装偽
コアに魔神石を取り入れ、
魔装機以上の力を使う事が可能
姿形はマナリリアンとは全く別物
アラン
『魔装機を超えた機体だと!?』
プルネン
『試してみますか?アラン?』
プルネンがアランを挑発すると
ドルズはプルネンに聞いた
ドルズ
『次のゲートを開くまで、どれくらい掛かる?』
プルネン
『そうですね、あと30分ってところでしょうか?
ですが、一度開いた魔界の門なら
何度でも開くことが可能かと』
ドルズ
『そうか、なら!!』
ドルズはグランバルファルスを操縦する
コアの巨大魔神石が光り
中にいるアイナが悲鳴を上げ叫ぶ
アランはアイナの名前を叫んでいた
▶︎ローズストーン国
1人の機士が、慌てた様子で
副隊長のタナミアとダンに声をかける
「大変です!!城より離れた場所ですが
周辺の魔物達が急に苦しみだし
突然消滅していきました!!」
タナミアとダンはその報告に驚く
一体この世界に
何が起きてるんだと思いながら
▶︎レインオラクル国 広場
グランバルファルスの周りに
闇のオーラの玉が集まり始めた
アランは次はなんだっと驚く
ドルズ
『この世界の魔物から魔力を吸い上げ、
このグランバルファルスの力に変えた』
アラン
『なんだと!!』
ドルズ
『このようなレベルの事
このグランバルファルスにとって容易い事
さて、地獄の門を開かせて貰おう』
グランバルファルスの周りに
次元の歪みが複数現れ始めた
その歪みの中から
無数の魔物が現れ始める
コアの中のアイナは
常に苦しみ悲鳴を上げる
アランはこのままではアイナがやばいと感じ
ガンドリアVXを
グランバルファルスに向け突撃させる
アラン
『ドルズ!!』
ガンドリアVXは刀を構え攻撃するが
グランバルファルスの周りに魔装壁が現れ
刀での攻撃を防いだ
アラン
『魔装壁?だがこの程度ならガンドリアの力で!!』
ドルズ
『無駄だ、グランバルファルスはこの世界
いや、全ての世界で最強の魔王
貴様如きでは倒せんよ』
グランバルファルスの腕から
強力なレーザーが放たれ
ガンドリアVXは避ける事ができず、
その攻撃を受けた
ガンドリアVXは地面に倒れた
圧倒的な力に
アランは何も出来ず
ガンドリアVXは瞬殺された
プルネン
『素晴らしい、コレが私達の力
この力が有れば、世界を闇で包む事だって!!』
アランはガンドリアVXの中で
どうする事もできず 気を失っていた
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〈39-5 魔族の子供〉
アランはガンドリアVXの中で
どうする事もできず 気を失っていた
アランが目を閉じると
見たことのある、昔の夢を見た
▶︎10年以上前のレインオラクル国
レインオラクル国の王 リューズ王は
先代の王達の命により
他種族の者達を探し、始末して来た
その理由は
大昔に人族が作り出した魔装機に
他種族が危険視し、反旗を起こし
人族と他種族の大きな戦争が起きた
その戦争の後でも
家族や同族を殺された他種族の怨みは消えず
残った残党が人族に復讐に来た
ディナガード国やローズストーン国の国々も
残った他種族の残党達に苦しめられたが
先代のレインオラクル国の王が
残党狩りを率先して、嫌な役目を引き受けた
レインオラクル国の機士達によって
反旗を起こした他種族もその残党も
かなりの数を減らす事ができた
その命を
レインオラクル国の王は守って来た
だが
リューズ王の代のある日
殺した魔族の子供2人が見つかり
幹部会の人達は
その子供をどうするのかで、意見が分かれた
「子供とはいえ魔族の子供だ!!
生かしてはいけないハズだ!!」
「相手は子供です!!子供まで手にかけなくても...」
「それでは、私達がやって来た事が無駄になる
王よ!!貴方の判断を!!」
リューズ王は悩み
悩んだ末結論を出した
リューズ
『成人するまで地下の独房でこの子達の存在を消す
子供まで手にかけるのは、
少しだろうと批判を受けるかもしれない』
リューズ王は
レインオラクル国で初めて異例な事を成した
そして
その2人の魔族の子は
成人するまでの間
レインオラクル国の地下深くに閉じ込められた
幼いアイナ
『お兄様、私達...どうなるのでしょうか?』
幼いアラン
『大丈夫だ、必ず俺がお前を守る!!』
2人の子供は
殺された母の最後の言葉を思い出した
アランとアイナの母
『いい?私が殺されても、
決して人族を恨んではいけません』
幼いアイナ
『どうしてですかお母様?』
アランとアイナの母
『争いが起き、
このような事態にまで世界は変わってしまった
復讐は新たな復讐を生むだけ
それを昔の人達は気づいてなかったのです』
幼いアラン
『だけど!!黙って殺されて!!
そんなの俺は嫌だ!!』
アランとアイナの母
『信じましょう、やがて世界は平和になり
全ての種族のイザコザが消えるのを
その時まで、アイナを頼みましたよアラン?』
俺達が牢獄に入れられ数年が経ったある日
誰かが牢獄の扉を開け
俺達を外に出してくれた
そいつは
プルネンとドルズ アイツらだった
プルネンは俺達に言った
プルネン
『この世界に
次なる勇者が現れるかも知れません』
アラン
『勇者?』
プルネン
『そうです、勇者は魔族を倒す人間の魔女の事
その様な存在が生まれる前に
貴方の力で阻止してください
勇者から妹を助けるために』
プルネンの馬鹿げた話しに
俺はまんまと乗せられた
妹を助けるため戦う
それが俺の役目だと思ったからだ
俺は母の言葉をもう一度思い出した
妹のアイナの事を守ってあげて
その言葉を
そして俺は誓った、必ず守る!!っと
必ず守る か
俺にも 守る者がいる
アイツらもそうだったんだろうな
俺はディナガードの機士や
ローズストーンの機士達を沢山殺してしまった
妹を守る為
魔族の敵の勇者を生まない為
だけどそれは間違いだった
俺のやった行動は
新たな怨みと復讐を作る
その罰が
俺にも来ただけなのか
アランは
夢の中でそう考えていた
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