休息とこれから②
とりあえずチェックしよ!
───確かに、ベッド?はあるけども…
ここまで一緒に歩んでくれた友の言葉だ、信じるより他にない。俊輔は恐る恐るストレッチャーに乗った。すると突然、ヴンッと音を立て天井にディスプレイが浮かび上がる。なるほど、そういうことは先に言って欲しかった。
『こんにちは、初めての方ですね。これからバイタルチェック、ストレスチェックを始めますので、体の力を抜いて楽にしてください。』
「は、はい」
抑揚のある、女性のような機械音声が優しく言う。地球の母親だった人を思い出し、少し切ないような懐かしいような気持ちが湧き上がった。
言われた通り、深く息を吸って体の力を抜く。
『今から一瞬、特殊な光線が頭から足の先まで潜り抜けます。少しくすぐったいかもしれません。では、目を閉じてください』
「はい」
『終わりました。目を開けてください』
「ん、え?!何もなかったような?!」
『ふふ、皆さんそうおっしゃいます。』
「あったよ。光の速さだからわかんないだけだ」
「光…」
「そう、光。お前の雷と似たようなもん」
光の速さって、どれくらいだっけ?雷の速さは?音よりは早かったのは覚えてる。光、音、雷…なんか繋がりそうな、そうでもないような…。
『───バイタル異常なし、オールクリア。ストレス値、イエロー。軽度の反応あり、環境の変化と思われる疲労が見られます。この後のリラクゼーションでゆっくりお休みしてください、それでおおまかには回復できますよ。』
「は、はい、わかりました」
ディスプレイに現在の状況を視認化したものが映し出される。身体のチェック項目はオールグリーンであったが、精神の項目は何箇所かイエローになっていた。瞬きする間に画面が切り替わる。
『これより能力診断を始めます。この診断は貴方の能力の強化の方向性や潜在的な力を深く掘り下げていくものです。きっと今後の活躍に、生活に役立ちますよ。では、ゆっくり呼吸をして、目を閉じてください。それでは……あなたの深層心理を覗いてみましょう』
「…深層心理?」
『そう、深層心理。あなたの能力は本来、どういうものなのでしょうか?どういう使い方が、あなたにとってベストなものなのでしょうか?きっとこれは、ちょっとしたヒントなのです。さあ、目を閉じて。もう一度ゆっくり深呼吸をして。───何か見えますか?』
部屋が暗転した。再び目を閉じ、一つ深呼吸をする。言われた通り、何か見えた気がした。見えていないはずなのに、景色が瞼の裏に浮かび上がってくる。
「……原っぱ、草原?が見えます。一面に綺麗な青空と草原が広がってて、他には何も」
『では、その青空を見上げてみましょう。何か、ある気がしませんか?』
「───……雲、が……大きな雲が、あります。積乱雲?みたいな…どんどん近づいて……あ、空が曇ってきた。周囲が暗くなってきて、雷が鳴って……雨が降ってきました」
『───雨は、どうなりましたか?』
「───雨はすぐ止みました、けど、雷の音はずっと鳴っています。今すぐ足元にも、落ちてくるような…勢いで…」
『───その雷を、どう思いましたか?』
「怖い、です。ここから逃げ出したい。ここにいたら、危険だ。あの雷は───あの雷は、この原っぱを全て焼き尽くしそうな気がする。俺ごと、全部」




