休息とこれから
(……この星にも、夕方って来るんだ。いや、思い返せばきちんと昼と夜があった。それと、体感だけど……地球と時間の流れが似ている、気がする。自転速度とか、地球と同じなのかな)
俊輔はゆっくり地平線に沈む太陽をぼーっと眺めながら、ただ漠然と思った。
───第三の地球は、なんとなく地球と似ているのかも、と。
輸送された日は、何が何だかわからなくて混乱していたし、そもそも地球の外へ出たのも初めてだったし、宇宙は暗くて怖くてそれどころじゃなかった。第三の地球って、太陽系のどこらへんにあるんだろう。少なくても陽は上り沈んでいるから、昼と夜がある。普通に呼吸もできているから、大気も地球と似通っているはず。四季とか寒暖差はまだわからないけど……うーん、火星とかその辺の近く…?
そんなことを考えていると、海野少年の声がした。校舎から急いでから走って来たらしく、息が少し上がっている。
「わりぃ、訓練が思いの外長引いた!それと昨日は本当に悪かった!結果的に、連れ回した」
「訓練お疲れ様!えっと昨日のことは能力の練習もできたしなんていうか、そんなに気にしないでほしい!」
「そう言ってもらえると楽になる。佐原井って人が良いよな。よし、気を取り直して、今日こそはカウンセリングルームに案内するから」
「うん、ありがとう」
───昨日、二人がシュミレーションルームから寮に戻る頃には、時計の針は十二時を回っていた。当然カウンセリングルームどころではなく、慌てて街を飛び出し、急ぎ食事と風呂をすませて、速やかに就寝したというわけだ。そして今日、二人揃って見事に遅刻をした。AIに『おやおや、昨晩はつい楽しくなってしまいましたね?わかりみ。私も新しいアプデが入ると無いはずの心が踊りますし。』と揶揄われたほどだ。
「この俺が遅刻する日が来るなんてなあ」
「海野くん、時間に厳しそうだしね」
「正直めっちゃ厳しい。基本十分前には完了させたい系」
「めっちゃぽい!A型ってよく言われない?」
「残念、よく言われるがC -型」
「………ん?何、C型?」
「C型」
「えあの、初めて聞いたんですけど」
「地球人は基本的にABO型らしいな。月人は基本C型なんだよ、ついたぞ」
雑談をしていたら街に着いた。徒歩で校舎からも寮からも十五分で街に辿り着けることは有難いな、と俊輔は思った。二十四時間稼働しているモールは、何かあった時に助けになりそうだと思ったからだ。
昨日と同じ東棟一階へ向かい、今度はカウンセリングルームの前にある名簿に、海野少年にならって名前を記入する。すると、扉が自然に開いた。
「名簿に名前を書いたら自動で開くから、そのまま入って大丈夫」
「お、お邪魔します…」
『いらっしゃいませ、カウンセリングルームへようこそ。本日のご用件をお一人ずつお伺いいたします。』
「え、えっと…」
「佐原井 俊輔の能力の進化や強化の方向性の診断とアドバイス。それとバイタルチェックとストレスチェックとリラクゼーション。海野茂樹は彼の付き添い、リラクゼーションだけで頼む」
『かしこまりました。お部屋にご案内いたしますね、こちらへとうぞ。』
(すごい、何言ってるのか全然わからない)
抑揚のついた落ち着いた音声で、人間のようなロボットはいう。ロボットに案内された個室は、白い壁、そして二台のストレッチャーのほかには何もなかった。
「…?」
「横になれ。」
「え?」




